BONNE-MAMAN NOBU

上田 幸治

感謝の気持ちが芽生えた時、世界が劇的に広がった。

「お金は取りに行くのではない。お客さまに置いて行ってもらうものだ。」料理人であり経営者である父や祖母から、そんな言葉をたくさん聴き、その後ろ姿を見て育ちました。
2001 年に益田で店を構えて4 年後、商売がやっと軌道に乗り始めた頃、店が全焼するという出来事がありました。もうすべておしまいだと途方にくれた時、これまで繋がりのあった、たくさんの人が駆けつけてくれたのです。おむすびを持ってきてくれたり、炭にまみれた皿を洗ってくれたり。心の底から嬉しかったです。こんなに温かい仲間や益田のひとに恩返ししなくちゃと、心に決めました。不思議なもので、そう決心してから、これまで以上にたくさんのご縁をいただき、世界が広がりました。火事は辛い出来事でしたが、それがあってこその今の自分や店だと思っています。
トワイライトエクスプレス「瑞風」では一流の料理人に混じりメニュー開発に参画させてもらいました。こういう機会に益田の地や農家さんをもっとアピールすることでわずかでも恩返しになるかなと思いますし、田舎の無名レストランでも、できることや可能性はあるのだということの発信にもなると思っています。

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