2025年6月13日 (金)

益田のひとづくり益田出身の方地域づくり生きがい

「UIターン者のライフキャリア」樋野あゆみさん

UIターン者のライフキャリアシリーズでは、県外からUIターンされ益田市でいきいきと生活されている方を紹介し、自分なりの豊かな暮らしについて考える機会をお届けします。今回紹介するのは、吉田地区自治協議会の一員で、小中高生の地域活動団体「ヨシダリーダーズ」の運営の支援をはじめ様々な地域活動をされている樋野あゆみ(ひの・あゆみ)さんです。

益田から出ることに憧れていた中高生時代

本日はよろしくお願いします!最初に、自己紹介とこれまでのご経歴を教えていただけますか?

樋野あゆみです。益田で生まれましたが、親が転勤族のため幼少期は市外で暮らした時期もあり、小学4年生の頃から再び益田で暮らすようになりました。以後、益田中学校、益田高校と進学し、大学入学を機に松江に出ました。松江市にある短期大学で保育士資格を取り、松江でしばらく働いたのちにUターンして今に至ります。帰ってからもう10年以上経ちましたね。今は夫と2人の娘と一緒に暮らしています。

小中学生の頃はどんな子どもでしたか。

活発な子だったと思います。住んでいた地域の周りに男子が多かったというのも影響していたのかもしれませんが、男子と一緒に外遊びをしていることが多かったです。音楽も好きで、部活動はずっと吹奏楽部に所属していました。

 学生時代、益田のことはどう思っていらっしゃったんでしょうか。

とにかく「何にもない」「早く外に出たい」と思っていました。学生時代に魅力的に見えていたチェーン店や同世代で遊べる場所が、当時の益田にはなかったので、そういうものがある場所に行きたいという気持ちでいっぱいでした。

中高生の樋野さんの思いからすると、念願叶って新天地での大学生活がスタートしたという感じだったのでしょうか。大学進学までの経緯と大学生活について聞かせてください。

高校時代に保育の道に興味を持つようになり、保育が学べる短大に進学しました。当時の松江のまちは、私にとっては、ほどよくお店や遊ぶところがあるものの、人が多すぎなくて生活しやすいと感じました。友だちにも恵まれて楽しいキャンパスライフを送りましたね。

保育士になるための勉強は大変でしたか?

短大ですから2年間で資格取得のための学科の勉強も、保育実習もしないといけません。そういう忙しさはありましたね。ですが、保育士を目指している友人たちと助け合いながらだったので、そこまで苦にもなりませんでした。仲のいいグループで交互にサプライズの誕生パーティーを開いていたのが今でもいい思い出です。

素敵なエピソードですね。卒業後はそのまま松江で保育士になられたということでしたが、実際に働いてみていかがでしたか?

もともと子ども好きなので、子どもたちが本当に可愛いと感じました。一方、実際に働いてみると、それまで思い描いていた仕事とは異なる面もたくさん見えてきましたね。学生時代には見えていなかった仕事がこんなにもあったんだと気づかされました。

数年勤めたのち、保育士としての仕事を退職し、結婚して二児の母になりました。松江でしばらく子育てをしていましたが、上の子が4歳ぐらいになったころ、益田に住まいを移しました。

実は、仕事や子育てに追われる中で、心身に不調をきたすようになり、いろいろなことがままならなくなった時期があったんです。それで家族の勧めもあり、益田の実家で少し心身を休めようと戻ってきました。そのまま一家で定住することになり、今に至ります。

 

「地域で子どもを育みたい」が地域活動のきっかけに

最初から「戻ろう」と思ってUターンされたというわけではなかったんですね。今は様々な地域活動にかかわり、益田暮らしをとても楽しんでいらっしゃるように見えますが、地域活動を始めるようになったきっかけはなにかあったんでしょうか?

地域の人と関わろうと意識し始めたきっかけは、子育てをする上で、人とのつながりが必要だと感じたことだと思います。私たち夫婦と娘2人の4人家族が益田で新生活をスタートした時に、「意外と地域の人のことを知らないな」と思ったんです。

実家で暮らしていた時には、自治会のことなどは親世代がやっているし、私も近所の人と顔見知りだったので、あまり不都合は感じなかったのですが、実家から出て住んだことのない地域で暮らそうとなった時、周りに知った人がいないことに不安を感じました。それで、安心安全に子育てをするために、地域の人とつながりをもちたいと思い、自治会や地域のイベントに積極的に出るようになりました。

そのうちに近所の方が、娘たちに「樋野さんちの子だね」と声をかけてくれるようになったんです。そういう場面に触れるたび、「私はこういう子育てがしたかったんだ」と思いました。次第に私の行動の幅も広がり、公民館のイベントに行ってみたり、PTA役員の話が回ってきたときに受けてみたりするようになりました。その延長線上に今の活動がありますね。

地域の方とのつながりのなかでお子さんを育みたいという思いが、今の活動につながったんですね。多岐にわたる活動をされている樋野さんですが、なかでも大切にしたいと思えるような場や、コミュニティはありますか?

子どもを中心に置いた活動には、特に思い入れがあります。ここ1~2年でいうと、「ヨシダリーダーズ」や「吉田地区何にもしない合宿」といった活動を継続的に行っています。

「ヨシダリーダーズ」は小中高生の地域活動団体なのですが、「何かやってみたいことがある人、集まれ!」と声をかけて集まった子どもたちと一緒に活動をしているので、やりたいことがある子たちが集まってきます。

それに対して「吉田地区何もしない合宿」の方は、ただただみんなで集まってお泊まりをする会なので、何かしたいことがある子というよりは、「あそこで何かやっているから行ってみよう」といった感じの子たちがやってきます。こちらは地域の大人と子どもが顔見知りになる、つながりをつくる、といったことを目的にした活動なんです。

私、「地域のおばちゃん」になりたいと思っているんですよ(笑)目指しているところがそこなんです。だから、こうした活動で出会った子どもたちが顔を覚えてくれて出会ったときに声をかけてくれたりすると、とても嬉しい気持ちになりますね。一度同じ時間を過ごしていると、危なそうなことをしていたり、困っている様子だったりするときにこちらから声をかけやすいし、きっと向こうも何かあったときに頼ってくれるだろうなと。

私の活動の出発点には、知っている人がたくさんいる中で安心安全な子育てをしたい、という思いがありました。その思いから行動を起こしていった結果、そういう子育てを自分の子どもたちだけではなくて、地域の子どもたちにもできているというのが、とてもいいなと思うんです。どの子もみんな、一緒に地域で育てていける、そんな環境を作っていきたいですし、子どもたちがちょっとしたときに顔を思い浮かべて頼ってくれる、そんな存在になりたいですね。

樋野さんが取り組んでこられた地域活動は、ご自身が大切にしたい子育て環境を、樋野さん自身が整えて、地域の子どもたちに開いていった感じなんですね。「地域で子どもを育てる」という時間を経て、お子さんたちに変化はありましたか。

地域に知り合いが増えたのを会話の端々から感じます。「今日、〇〇さんに会ったよ」とか、「〇〇さんが声をかけてくれたよ」といった話を聞くことが増えました。また、幅広くいろいろなことに「やりたい」「やってみよう」と思えるようになったと感じます。

興味のあることなら誰だってやりたいけれど、よく分からないことって、参加をためらいがちですよね。「特に興味ないから今回はいいかな」って。

でも、そういうことをあまり言わなくなりました。「こういう活動あるけど、どう?」と聞くと、「そう言うならやってみようかな」と言うようになったのは、嬉しいですね。それは地域の中でいろいろな人に育ててもらったからこそかなと思っています。

 

楽しそうな大人がいるまち、益田

子どもたちの自己実現やつながりづくりのための活動を中心にお話を聞かせていただきましたが、樋野さん自身が活動の主体となって楽しんでいるものについても教えてもらえますか?

ゴッチャ楽団という名前の楽団を結成して音楽活動を楽しんでいます。昔は音楽をやっていたけれど今はやっていないという大人たちが集まって、ただただ楽しく音楽をしようと始めた活動です。大人の部活動ですね。

地域のイベントや保育園、福祉施設等で演奏をしています。楽器も曲のジャンルも音楽歴も年齢も仕事も、なにもかも違うメンバーが、一緒に音楽を作り上げるというのが本当に楽しいんです。イベント前には、聞いてくださる方も演奏する私たちも楽しめる曲を意識して、みんなで時間をかけて選曲して練習を重ねています。

ありがとうございます。益田に戻られて、この地での子育ても経験された今、益田というまちに対する印象は変わりましたか。

大きく変わりましたね。自分が大人になったせいもあるとは思いますが、「魅力的な大人」の姿をよく見るようになりました。そういう大人たちはきっと昔から益田にたくさんいたのだろうとは思うのですが、今は楽しんでいる大人の姿を目にする場面が増えたように感じます。私もそういう大人の一人になれていたらいいな、とも思いますね。

たしかに、大人が楽しんでいる姿がいろいろなところにあるのは益田の魅力の一つと言えそうですね。そういう大人同士のつながりを感じることも多いです。

そうそう。楽しそうな大人たちって、他の楽しそうな大人を紹介してくれたりもするんですよね。それで新たな関係性が次々に生まれていく。そこも面白いと思います。私も活動の中でいろいろな人と出会いましたし、そういう面白い大人たちを子どもに紹介できることは自分の強みだとも思うのですが、反面、それは私でなくてもできることだろうとも思うんです。

人とのつながりをつくり、その中で生きていけば、誰にだって人と人を引き合わせることができる。益田がそういうまちなんだなと、今は思っていますね。

 

大切なのは「余白」~今の活動をいつまでも続けるために~

最後に、樋野さん自身が今後実現していきたいことや、挑戦したことがあれば教えていただけますか。

なにか大きなことをしたいという思いは無いのですが、今の活動をゆるやかに継続していけたらいいなとは思います。そのためにも、頑張りすぎないことを意識しています。

どこかに無理が生じてしまって大人が楽しめないような活動になってしまうと、子どもを巻き込んでもきっと楽しんでもらえないと思うんです。だから、余白を大切に、その時々の状況を見ながらどんどん作り変えられる余地を残していろいろな地域活動を続けていきたいですね。大人自身が楽しくできることをする、というのも大切だと思います。そうやってモチベーションを保ちながら、いつまでも今ある地域活動をやっていけたらいいですね。

あとは、私自身もチャレンジし続けたいと思っています。興味が芽生えるかどうか、できるかできないか、そういうのは一歩踏み込んでみないとわからない。やってもいないことに「興味がありません」「できません」なんて言うのはもったいない。「やってみたら楽しかった」ということが私たちの周りにはあふれていると思います。

子どもたちの背中をそっと押していくためにも、私自身が挑戦し続けたいです。

貴重なお話、ありがとうございました!

文責:益田市連携のまちづくり推進課
文章:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー

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