2023年2月1日 (水)

益田のひとづくり教育,新職場体験

中学生が仕事を通じて大人の生き方に触れる「新・職場体験」

人生100年時代と言われる昨今、職業も多様化し、人々の生き方も変化しています。そんな中、益田市ではライフキャリア教育の取り組みのひとつとして、中学生が仕事の体験をするだけではなく、仕事を通じて大人の生き方=ライフキャリアに触れるプログラム「新・職場体験」を行っています。

新・職場体験とは?
従来、職場体験というと仕事を実際に体験し、何をするのか、どんな職業に就くのかを体験者が考える機会として捉えられることが多かったかもしれません。しかし、益田市が2016年度から開始した新・職場体験では、中学生がどう生きるのか、どう暮らすのかを「仕事」という切り口から感じ、考えることを大事にしています。

ではその「新」の要素はどういったものなのか。
大事にしているのは以下の4つのポイントです。

ポイント① 求人票の発行
中学生が事業所の「想い」「願い」にふれる最初の機会として、参加する事業所から求人票を発行してもらい、中学生はそれをじっくり読んだ上で新・職場体験当日を迎えます。

ポイント② 中学生への面接
益田市職員を中心とした面接官が、全ての参加中学生に対し事前に面接を行うことで、新・職場体験で生徒の学ぶ意欲を喚起します。

ポイント③ 事業所研修会
中学生を受け入れる事業所には任意で事前研修会に参加いただきます。
研修会では市からの新・職場体験のねらいの共有や、他社の事例紹介、受け入れプログラム作成と情報交換・対話を行い、事業所同士がつながる機会にもなっています。なお、事前研修に参加できない事業所にも目的の説明や研修などのフォローを個別に行なっています。

ポイント④ 体験時の対話
新・職場体験の中では中学生と事業所の大人との対話の時間をつくるように事業所にお願いしています。対話を通して、働く大人の職業観や人生観に直接触れることを狙っています。

では、実際の新・職場体験の様子はどんなものなのでしょうか?
少し覗いてみましょう。


今回は益田市内のフランス料理レストラン「BONNE-MAMAN NOBU」に伺い、新・職場体験で中学生を受け入れている様子を取材させていただきました。

日本海が一望できるフランス料理レストラン
BONNE-MAMAN NOBU
〒698-0041 島根県益田市高津町ロ485-18 Tel:0856-23-2060

BONNE-MAMAN NOBUでは、益田市立小野中学校の3年生1名を3日間受け入れていました。今回は受け入れ2日目に取材をさせていただきましたが、初日はとても緊張していたそうです。

今回の新・職場体験では、主にお料理の盛り付けとお客様への提供、そしてお皿洗いなどを生徒に体験してもらうそうです。

生徒はお店の開店前にお客様を迎え入れる準備をし、11時30分になると予約していたお客様が来店します。
お客様が来る前はオーナーシェフの奥さまである直美さんと一緒にその日の予約の確認や動きの確認を念入りに行います。

お客様が来店するとすぐに直美さんが注文を聞きにいきます。その後、生徒はお客様のところに行き、お水を注ぎます。

その次はお料理を提供するために、上田シェフの指導を受けながら料理の盛り付けを行います。こちらのお店は料理の味はもちろんのこと盛り付けなどの見た目もこだわっているため、生徒もしっかりと盛り付けを行います。

料理の盛り付けをした後はいよいよお客様に料理を提供しに行きます。
盛り付けた料理が崩れないように慎重に運び、お客様の前に置きます。
きれいに盛られた料理が届くとお客様も思わず「美味しそう〜!」と喜んでいました。

そしてその後も食べ終わったお皿を下げて、次の料理も手慣れた様子で提供していきます。
こちらのお店はコース料理を提供するお店なので、毎回お客様の食べ進めるスピードによって次の料理を提供するタイミングやお皿を下げるタイミングが違います。そうした細かなところも直美さんの指示を受けながら進めていきます。

お料理を提供する合間では、お皿洗いなども行います。シェフたちは、フレンチはコース料理ということもあり多くのお皿やカトラリーを使うので、お皿洗いが大変だとおっしゃっていました。
そして最後はデザートの盛り付けを行い、お客様のところへと提供しにいきます。

そして、ランチの営業が終わり片付けをすると、この新・職場体験の特徴の一つでもある、大人との対話の時間が始まります。
実際に生徒と上田シェフでどんなやり取りをしていたのか一部紹介します。

益田で働く良さを教えてください。
– 益田は自然が豊かなこともあり、食の面でもとても豊かだと思います。
さらに、都会に比べて人の表情がよく見えることも良さだと思っています。

なぜレストランを始めようと思ったんですか?
– 僕の実家が料理屋だったこともあり料理人という存在が身近でした。
そして、料理人だった父親は普段はとても厳しい人でしたが、僕が小学校3年生の時に作った料理を褒められたことがきっかけで料理人を目指しました。
そして、フレンチ料理でお店をやろうと思ったのは、実家の料理屋は和食屋だったこともあり、あまり親しみのなかった洋食に憧れていたからです。

お店をやっていて嬉しかったことは何ですか?
– 僕はとにかくお客様に喜んでもらいたい、料理を食べて笑顔になって欲しいという気持ちが強いです。なので、お店は忙しいけどお客様の笑顔を見れたり、帰り際に美味しかったですと言ってもらえるとどんな疲れも吹っ飛びます。

インタビューを終えた生徒は、後日新・職場体験で学んだことをまとめる課題があるため、忘れないうちに書き留めていました。

新・職場体験では仕事の体験だけでなく、そこで働く大人の職業観や人生観に触れるために、このような対話をする時間を設けます。
生徒も事前にどんな質問をするかをあらかじめ考えており、中には大人でも答えることが難しい深い質問もあります。
そんな質問に対して、シェフも本気で接している姿がとても印象的でした。

最後に生徒さんと上田シェフ、直美さんに今回の新・職場体験の感想を伺いました。

生徒さん
– 
今回BONNE-MAMAN NOBUを体験先として選んだ理由は、元々料理が好きだったため、お客様に料理を提供して喜んでもらいたいという気持ちがありました。
実際にお客様の前に出るときはとても緊張していたけど、お客様の喜んでいる姿を見られたことが嬉しかったです。そして接客だけではなく、お客様が来る前の掃除など実際に体験してみないとわからない大変さを学びました。

直美さん
– 
新・職場体験の受け入れ自体は何年もしてきましたが、昨年度初めて自分の子どもが新・職場体験を経験しました。子どもの緊張している姿を見て、生徒を受け入れる側の気持ちも職場体験に送り出す親の気持ちも両方知ることができました。それから私自身も生徒さんを受け入れる際の気持ちも変わりました。

上田シェフ
– 
職場体験として15年前から中学生を受け入れています。最初は未来ある子どもたちに何か伝えられることあればという思いで受け入れを始めました。
新・職場体験は生徒のための取り組みではあるけど、後日生徒が作る職場体験でやったことや学んだことをまとめた資料を読むと、生徒はこんなところに関心を持つのかと僕自身が勉強になりますし、今は自分の成長のために受け入れをしています。
最近では昔職場体験で受け入れた中学生たちが大人になってお客さんとしてお店に来てくれたりします。3日間の僅かな関わりではあるけど、あの時のことをずっと覚えてくれていて、成長した姿を見せてくれるととても嬉しくなります。

今回はBONNE-MAMAN NOBUに伺い、実際に新・職場体験で中学生をどのように受け入れているのかを取材させていただきました。

従来の職場体験は仕事の体験をするという職業観に触れる要素が強いものでしたが、新・職場体験では職業観だけではなく、この益田というまちで働いている大人の生き方=ライフキャリアに触れることを大切にしています。
中学生だけでなく大人も一緒になって学び合い、成長する、そのようなつながりがこれからの益田市の未来を作っていくのではないでしょうか。

取材:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー
文責:協働のひとづくり推進課

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