2020年1月15日 (水)

地域づくり,大学連携教育,高校生

ミライツクルプログラム冬の陣④~大学ってどんな場所なんだろう?~

12月22日(日)、令和元年ももう終わろうとする中、市民学習センターの一角に、16名の高校生と、東京・京都・鳥取など、全国各地から集まった、益田が大好きな大学生が集いました。ミライツクルプログラム「大学ってどんな場所なんだろう?」の開幕です。

益田には、大学がありません。そのため、「偏差値が高いから○○大学に行く」「都会に出たいから△△大学に行く」という、ふわっとしたイメージや周りのすすめで大学に行って後悔したり、逆に「大学って遊ぶところなんでしょう?だったら就職でよくない?」と、学ぶ意欲があるのに就職を選択したりする子どもだちが多くいるのが現状です。

そんな中、とある高校生がこんなことを考えました。

「インターネットの情報や噂ではなくて、本物の大学生と対話して、しっかり大学進学について考えたい!」


地域で活動することに意欲的な、16歳の少女、そんな彼女の言葉は切実なものでした。

「数十年先の未来を行く大人のイメージって結構できるけど、5年先の未来を生きる大人に出会う機会ってなかなかない。活躍する場所は違えど、益田のことが大好きな大学生と、高校生の対話の場を作りたいな」

ミライツクルプログラムの企画チームも、そう思っていました。

そんな中、たまたま高校の先生・企画チーム・大学生たちが益田に集う機会がありました。そこで立ち上がったのが、『大学ってどんな場所なんだろう?』というプログラムです。

<TATSUJIN紹介>

今回は、現役大学生や、大学を卒業したての社会人ら8名にTATSUJINとして登場していただきました。

①松川雅美さん(島根県立大学1年)

大阪出身だけど、「島根県をフィールドに地域活動をしてみたい!」と、浜田の県立大学に進学しました。

②岩田直樹さん(公立鳥取環境大学大学院2年)

鳥取で益田のひとの講演をきき、「いつか益田でプロジェクトをしたかった」と、5時間車を飛ばして駆けつけてきてくれました。

③馬場悠介さん(益田市役所)

生まれも育ちも東京ながら、「社会教育がやりたい!」と、益田に新卒で飛び込んできました。

④河野朋樹さん(島根大学2年)

美濃地区出身で、益田高校OBの彼は、島根大学に通いながら、「益田で子どもたちとかかわりたい」と、いつもJRで飛んで帰ってきてくれます。

⑤山崎萌果さん(龍谷大学科目等履修生)

学校外での教育に関心を持ち、All教育フェスタや、エデュコレなど、教育系のイベントの運営を手がけています。そのご縁で、来年から益田で教育にかかわる仕事に取り組むことに決めました。

⑥井上高臣さん(益田市役所)

神奈川県出身の彼は、大学の実習で益田と出会い、益田の魅力に惹かれました。その縁で、益田市役所で4月から働いています。

⑦伊藤祐介さん(大正大学1年)

新潟県出身の彼は、大学の実習で今年度はじめて益田にやってきました。高校生と年齢が一番近いこともあり、コミカルなキャラで打ち解けていました。

⑧窪田晴一さん(大正大学2年)

去年実習先として益田にやってきた彼は、現在東京の商店街活性化事業に取り組むなど、精力的に活動しています。来年再び実習で益田にきてくれる予定です。

総勢8名!海外留学経験者や益田出身者、理系と文系、さまざまな顔ぶれとなりました!

<当日の様子>

期末試験も終わり、いよいよ本番当日です!
前日飛行機に乗り遅れてしまい、汽車で来た大学生がいるというハプニングもありましたが、無事スタートです!

井上「僕は、堕落した大学生活を送っていました。それが、益田というフィールドに出会ったことで、学ぶ意欲が芽生えただけではなく、益田のことが好きになりました。結果今の仕事に結びついています。みなさんも様々なロールモデルとの対話を通して、大学ってどんな場所なんだろう?将来どんな大人になりたいんだろう?ということを考えてみてください。」

実体験がもとになった井上さんの始まりの言葉は心に突き刺さるものでした。

さっそく大学生の先輩の話と行きたいところですが、緊張の様子の生徒たち。そこで、大正大学の2人がアイスブレイクを実施してくれました。チーム対抗の、短期記憶力が試されるアイスブレイクです!

伊藤/窪田「いまから写真を3秒間投影します。写真に写っているモノをなるべく多く紙に書き出してください。」

実際の写真には、16個の文房具が写っていたのですが、生徒たちは8個や10個など、大苦戦。一方大学生チームは11個と大健闘!そこは年上のプライドを見せたようでした。たった5分であったのに、生徒たちの緊張はみるみるほぐれていきました。窪田くんと伊藤くんの明るい雰囲気が伝わったんですね!

続いて先輩の話コーナーです。大学生や若手社会人が、「なぜその大学を選んだのか?」「大学進学を通して学んだことは何か?」「大学生活の失敗談」を赤裸々に語ってくれました。

松川「私は大阪の超進学校出身で、勉強・勉強が当たり前の環境にいました。それが、学校外の高校生の集まりに参加したことがきっかけで、地域で高齢者にかかわるボランティアを始めたら、マイプロジェクトアワードという、高校生の祭典に呼ばれたんです。とっても嬉しくなりました。そこから、「地域」「高齢者」のことがガッツリできる、島根県をフィールドに大学生活を送ろうと思ったんです。来年からは、益田で地域のことを学んでいきたいと思ってます!」

河野「僕は益田高校で、しょっちゅう職員室に呼び出される不真面目な生徒でした。そんななか、先生が「河野教師になれば?」と声をかけてきてくれたことがきっかけで、島根大学の教育学部に進学することになりました。ただ、最近は対話プログラムや島根大学の1000時間ボランティアなどがきっかけで、学校外で子どもたちにかかわることに興味を持っているんです!なので、益田の方から呼ばれたら、いつでも駆けつけます!」

山崎「高校のころから、中学・高校の英語教師になることが夢でした。ずっと教育に興味があったのだけど、フィンランド留学を機に、様々な学校外での教育活動にかかわり、自分自身が学び、「学べる場所って大学だけじゃないんだ!」ということに気づいたんです。そんな中であったのが益田で、来年から益田で働く予定です。高校生のみんなには、周りがどうであるかを気にせず、自分が探究したい問いをもって、学生の身分を活かして人生を突き進んでほしいです!」

岩田「平凡過ぎる高校生活を変えたいと、高校の文化委員としてステージを企画したことが楽しくて、企画の楽しさに浸かりました。その一環で経営に興味を持ち、チャンスが溢れている地方に行こうと思い、鳥取の大学に進学しました。大学に進んで起業部を立ち上げ、地域で様々な人を巻き込み、企画を成功させてきました。またそれが大学や大学院での研究への意欲にもつながり、勉強も地域活動も楽しんで今までやってきました。高校生のみなさんには、やりたいことがあったら挑戦してみることをお勧めします。」

馬場「大学に進学することが自明視されている家庭や地域で育ち、社会が得意だから何となく文系に行き、学費が安く偏差値が高いから東大を目指しました。ただ、いざ入ってみると、周りのレベルが高すぎて劣等感を感じ、堕落した大学生活を送ってしまいました。それが、課外活動を契機に中高生の学校外活動に興味を持ち、社会教育をライフワークにすることにしたとたん、大学の勉強も課外活動もどんどん楽しくなっていきました。そのご縁で出会ったのが、益田なんです。高校生のみなさんには、自己責任で物事を考える力を身につけて欲しいです」

5人の大学生の話は、十人十色。初めから猪突猛進でやりたいことに全力で取り組んできた学生。挫折を経験しながらも、今前向きにいきている学生。将来どう生きるのか迷っている学生。特定の価値観に偏ることなく、生徒たちは様々な話を聞くことができました。

大学生同士が語り合う、クロストークの時間も設けられました。実はイベント開始前に、事前に高校生に「大学生に何を聞きたいですか?」と、投票してもらっていたんです。

「大学生活で一番失敗したことってなんですか?」

「高校と大学って、ぶっちゃけどっちが楽しいの?」

それに対し、大学生同士が赤裸々に答えていきます。

「センター試験の願書を間違えて捨てられてしまった」

といった衝撃的な失敗談や、

「大学って、自己責任の場所だけど、それが楽しいって思ってます。」

「高校の方が小さいコミュニティで仲間を感じれて、楽しかったなー」

と、意見の違いなど、本当に5人が違う人生を歩み、違う価値観を持っているのだなと思いました。

最後に、60分、3人の大学生とみっちり話す「座談会〜大学ってどんな場所なんだろう?」の時間です!先ほどプレゼンをした5人に加え、井上くんのブース、大正大学のブースと、7ブースの中から3ブース選んでみっちり対話をすることができます。

「どうやって勉強すればいいの?」といった受験にまつわる話。「どうして益田に来ようと思ったの?」といった、人自身に関する話。そしてなによりも、高校生と大学生との間のアツい対話。

高校生「自分は世間知らずな人間になりたくない。どうすればいいですか?」

大学生「うーん、そうだねぇ。正直自分自身が世間知らずだったからなあ…最初は、世間知らずであることに気づいていなかった…」

高校生「やっぱり、学校の外で活動するのがいいんですか?正直勇気がなくて…」

大学生「自分でいきなり企画しよう、とするとハードルが高いよね。まずは、ミラツクみたいなイベントに参加することから始めてみたら?」

これはほんの一部にしかすぎません。他のブースでは、またそれぞれ対話の物語が繰り広げられていたことでしょう。

イベント自体は16時で終了となりましたが、その後17時に部屋が締め切られるまで、ほとんどの生徒がのこって、大学生たちとじっくり対話していたのでした。

今日参加してくれた生徒たちはまだ1,2年生。まだ十分学生生活時間が残っています。今日をきっかけに、より自分がどう生きたいかを考えるようになることでしょう。そして、話す側であった大学生も、高校生との対話をきっかけに、自分の価値観を再確認したり、転換したりすることができたのではないか、と思っています。

ミライツクルプログラムは冬の分は今回で終了ですが、来年以降も引き続き実施して行こうと考えています。

※ミライツクルプログラムとは?
高校生を対象とした、益田で意欲的に活躍していたり、益田にゆかりがあったりする大人が講師(TATSUJIN)となる、学校外でのワークショップです。


・これから先どう生きるかを悩んでいる高校生が、
講師の生き方・あり方、そして職業の専門性に触れて、
将来の生き方の選択肢を増やすこと
・学校でも地域でも主体的に学んでいける人材の育成
・学校外での取り組みや地域の日常的な取り組みへの参加へのハードルを下げる

ということを目的としています。

主催:益田市教育委員会社会教育課/益田市役所人口拡大課

文責:人口拡大課

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