2021年3月17日 (水)

益田のひとづくり益田20地区,安田おしらせ地域づくり

人と想いをつなぐ、地域のインフルエンサー

益田20地区を巡る 安田地区編

益田市の東側、海と山に囲まれた安田地区で家業と暮らしを営む、和田誠さんが今回の主人公。

 隣町・浜田市三隅町の出身であり、幼少期からの益田とのつながりを経て、十数年前家業を継ぐため益田に移り住んだ「Uターン寄りのIターン移住者」だ。

現在は、本業の建設業・誠和道路を経営する傍ら、安田地区にて仕事外の余暇を親子でアウトドア体験を楽しむ活動「オヤジーンズ」を始めとした地域活動に、力を注ぐ。

「益田市内では、安田地区は比較的規模が大きい地域。ここでは特に、志を共有する多世代間の人のつながりを創るため、楽しい!が第一の場づくりを心がけています。だから一番は自分が一番楽しむことです。」

手段だけでなく、目的を見据え、向上していく。

このように多方面から地域を盛り上げる和田さんは、どういった道を辿り今に至ったのだろうか。

何事も世のため人のために

和田さんのルーツは、益田市の隣に位置する浜田市・三隅町。自然に囲まれた環境にて幼少期を過ごした。

山奥の大自然を遊び場として、走り回ったこと。

そして親だけじゃなく近所のおばあちゃん、おじいちゃんに温かく接してもらったこと。

このようなたくさんの思い出が詰まった故郷には高校がなく、中学卒業後は当時の益田工業高校(現 益田翔陽高校)を 進学先として選ぶ。

「ちょうど父が土木系の会社を独立させたことも関係していたかは定かではないのですが…専門的な勉強をしようと思った時、工業の道に進む方が現実的に思えたのだと思います。」

その後、建設・土木業で広島・山口・北海道などでの経験を経て、20代半ばで帰郷。

父親の会社で働くことになった。

「それまでの社会人時代は、民間からの仕事で潤っている地域で働いていたため、地域の人と関わることや直接感謝されることが多かったですが、こっちに戻ってきてからは逆に公共工事の下請け会社なので地域の人に迷惑がられてしまう。

そこに対して一番ギャップを感じました。

それでも自分たちがいい仕事をすることによって、それが必ず世のため人のためになっているんだから、その信念を持つことが大切だと、色々な人から学ぶ契機にもなったと思います。」

安田公民館長の島田館長と共に。

生活の存在を喜んでもらえた場所

その後、9年の下積み期間を終え、33歳の年に代表を継ぐと同時に益田市・遠田町に移住。

もともと高校生活を送った益田、職場として通った益田ではなく、実際の生活を通して新たな一面を発見していく。

「初め安田地区に引っ越してきた時、近所に高齢者の方が多かったのですが、それが良かったようで、非常にかわいがってもらったんです。このようにして、地域で生活している自分の存在自体を住民の方が喜んでくれたっていうのはとても心強かったですね。」

子どもが生まれた時は、近所のおばあちゃんから誕生日プレゼントを頂くなどのサプライズもあったそう。

こうして、仕事場として通う頃はなかなか持ちづらかった地域との関わりは、生活の拠点から広がっていった。

「初めにこういう経験がきっかけとなって、自分の中で、地域に対して、時間がある時にはなにかしたい、地域の方が喜んでくれるなら、という意識を強く持ち始めたのかなと、思います。」

 

安田地区が誇る津田の海から見える夕日が、移住当時からのお気に入りだったそう。

「楽しい!」から地域の中につながりの連鎖を

やがて子どもが生まれ、親としてより地域と密接に関わるようになった和田さんは活躍の場を広げていく。

その代表格が、同世代の子どもを持つ父親友達を中心に、子どもたちに野外体験をしてもらおうという趣旨で立ち上がった「オヤジーンズ」だ。

そして、地域の小学校や、公民館にて30名くらい集まるイベントを運営する団体に成長していった。

オヤジーンズの活動風景

 

この活動は、和田さん自身が経験した幼少期の自然の中で遊んだ日々が起点となっているそう。

「親になって、自分の子どもを見るとき、昔こういうことして遊んだよね~と思い返すことが多くなりました。そうして考えてみると、故郷での自然や地域の人との繋がりを通じて経験したことが、大人になってから自分の指針になるんだという気づきがあったんです。」

親として子ども世代に継承したい価値観は、一体どのようにして表現できるのか。

 

この想いを胸に、多くの地域活動に出向き、勉強していく中で生まれたのが、「大人が楽しまないと」という第一コンセプトだった。

「子どもにとっては、大人がはしゃいでいる姿を見せることが、一番ビビットな印象として残るのではないかと思っています。環境づくりの作戦として、大人を中心に巻き込むといい!と気づいたんですよね。そうすると僕たち自身も楽しい。」

こうしたオヤジーンズの活動を通して、子どもたちには今のうちに体験や、その場の空気を通して、人の温かさに触れる機会を作ることが使命だ、と語る和田さん。

いつかは益田のオヤジーンズ、ひいては島根のオヤジーンズに。

 

「飛行機の機体って頭が上を向いてないと飛んでいかないですよね。」

その言葉通り、「人のためは世のためになる」という想いを出発点に、和田さんの夢はこれからも上へ、上へと多くの人を巻き込みながら膨らんでいく。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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