益田高校3年生の小野、松﨑、岩本、竹内です。私達は1年前から空き家問題の解決に向けた活動をしてきました。
益田高校普通科では2年次からプロジェクトスタディという学校設定科目の授業の中で「課題探究」というプログラムがあり、地域の課題を高校生の視点で考察し、その解決に向けて何ができるかを考えています。私たちのチームは地元を活性化したいという共通の思いをもち、空き家問題に興味を持ったので、「家と生きる」というテーマを設定して探究活動に取り組みました。
私たち人間が生きるためには衣食住が整い、人からの助けが必要不可欠です。そして家も私たちと同じく、手入れなどの誰かの助けがないと劣化が激しくなり、倒壊の危険性や町の景観が悪くなるなどの問題の原因になります。つまり、家も人間と同じように生きているのだ、と考えました。
皆さんは、自分の家はずっとそのままそこにあるものだ、と考えていませんか?
その考えが空き家が増加する原因の1つになり得るのです。私たちは、すべての人が自分の家に最初から最後まで責任を持ち、家と一緒に生活していってほしい、自分の家の将来のことを考えてほしいという願いを、「家と生きる」というテーマに込めました。
ところで皆さんは、「空き家」という言葉からどんなことを考えますか?
古くてボロボロなもの、危険で怖い感じがするなどのマイナスなイメージを持つ人が多いかもしれません。中には空き家問題について詳しく知らない人もいるのではないでしょうか?実際に私たちもそうでした。
まずは、これまでの経験から、「空き家問題は認知度が低い」という仮説を立て、空き家についての情報収集から始めました。具体的には 、市役所や4地区の公民館を訪問して空き家についての話を聴いたり、インターネットや本などで空き家についての情報を集めました。私たちはこれだけでは情報不足と考え、空き家の所有者や元が空き家だったところに入居されている方へのインタビューをしたり、益田高校の3年生と2年生保護者・3年生保護者に空き家に関する意識調査アンケートを実施しました。
さらに、空き家問題について多くの人に知ってもらえるよう、島根や山陰の高校生の探究活動発表会にも参加しました。収集した情報については、私たちが作成した「空き家マニュアル」をぜひご覧ください。
私たちは、様々な活動を通して、課題であるのは、空き家問題の認知度の低さではなく、自分の家の将来を見据えている人が少ないことだとわかりました。新たに発見したこの課題を解決するためもっと多くの空き家に関する考え方や情報を知りたい、伝えたいと考えるようになりました。
私たちのその思いを形にしたものが『空き家を減らそう会議』という私たちが行ったイベントです。このイベントは、多くの関係者の方にご協力いただいて全2回実施できました。空き家が増える原因や空き家を増やさないためにはどうするべきかについて、計20人以上の地域の方々と話し合いました。新型コロナの感染拡大の影響もあり、活動が思うようにいかないところもありましたが、空き家が増える新たな原因とその解決策や専門的な知見など、たくさんのヒントをいただきました。
そして、探究活動のまとめとして、空き家で困っている人・空き家についてあまり知らない人向けに「空き家マニュアル」を作成しました。私たちが活動を通して学んだことや空き家Q&A、空き家の魅力など様々な情報をコンパクトに掲載しています。この「空き家マニュアル」をきっかけにしていただき、少しでも空き家に関する問題が解決に向かうことを願っています。
空き家問題には様々な種類があり、解決方法も様々です。しかし、一番の解決策は、自分が、自分の家についてよく考える事だと思います。現状のままでは空き家問題はもっと深刻に、そしてもっと危険な状態になってしまうでしょう。この問題は、解決できないわけではありません。「全ての人が自分の家とともに生きていく」ことが大切であり、問題解決の一番の近道になると考えます。皆さんもこのマニュアルを一度はご覧いただき、「家とともに」生きてくださることを願います。
文:益田高校3年生
文責:益田市連携のまちづくり推進課