令和7年12月に、益田市としては初めての中山間地域振興に特化した計画として、「益田市中山間地域振興基本計画」(以降、中山間計画)を策定しました。実施期間は令和8年度から5年間です。中山間計画は、付属資料も含めると50ページを超える大作となっています。
これから5年間、どのような方針で中山間地域振興をしていくのか、本記事では、その中山間計画で示された、重要なポイントを選別して、わかりやすく紹介したいと思います。
中山間計画の本文については以下のリンクよりご覧ください。

図:益田市中山間地域振興基本計画の表紙
前提となる益田市の特徴
まず、前提となる知識として、益田市の特徴を紹介します。
益田市は、100年前まで現在の面積の中に21町村あり、6回の合併を繰り返し、現在の1つの市になった経緯があります。だからこそ、2つの特徴があります。
1つ目は、面積がとにかく大きいということ。全国1741市区町村中90番目(トップ5%)に大きく、東京23区さらにいうと国を超えてシンガポールよりも広大な面積を誇っています。(令和8年2月現在)
2つ目は、合併して1つの市になったものの、住民のコミュニティ感覚や地域づくりの単位は、いまだに旧村を基本とした20地区で行われているということです。それを象徴するように、もともと「益田」ではなかった旧村地域に住んでいる方が、今でも「益田にいく」と口ずさむことをよく耳にすることがあります。また、文化や景観においても多様性があり、元城下町、商業施設が立ち並ぶ都市部、港町、田園風景広がる農村部、そして高津川の恩恵に与る川のまちなど、益田市は一概に語ることが出来ない魅力が溢れています。

図:多様性に溢れた益田市の景観
計画のポイント1:20地区単位の地域振興に焦点を当てた計画であること

図:益田市の20地区
そういった背景を踏まえて、今回の計画は、20地区単位の地域振興に焦点を当てているといった特徴があります。計画名が「益田市中山間地域振興基本計画」という名称ですので、ともすると益田市の市街地を外した農山漁村地域だけを対象とした計画と捉えられるかもしれませんが、本計画は一部の地区を対象とした計画ではなく、20地区全てが対象地域となっています。
また、本計画は、新たな施策等を打ち出したものではなく、すでに策定されている市の最上位計画「第6次益田市総合振興計画」をはじめとした、「中山間地域の振興」に資する様々な計画を実施する際の「指針」として定めていることも重要なポイントです。
以上のことを踏まえて、もし仮にこの計画に別名を与えるとするのであれば、「20地区単位でのまちづくりを推進するための羅針盤」と表現してもよいかもしれません。
計画のポイント2:中山間地域振興の基本目標として、「縮充」が示された。
今回の計画で、最も大事なポイントが、中山間地域(各20地区)振興に関して、益田市公式の目指すべき目標が示されたことにあります。
それが、こちらになります。

図:基本目標 (中山間計画p.15)
一点留意しないといけないのが、人口維持・拡大を諦めたものではないということです。
「縮充」とは「縮小としても充実させる」という造語ですが、益田市は独自に定義を与えており、「地域を持続させるために必要な人口を維持していくとともに、人口が減っても豊かに暮らし続けられる仕組みづくりが必要となります。本計画では、この一連の考え方を「縮充」と定義します。」と記載されています。
少子高齢化そして人口減少と真正面に向き合うために、必ずしも人口維持・拡大にこだわるのではなく、「たとえ人口が減少したとしても、誇りと生きがいをもって、豊かに暮らしていけること」を目指していくと謳ったことが特徴的です。
計画のポイント3:「縮充」を実現させるための、地域づくり体制の方針が示された。
そして、その目標を実現させるために、具体的な基本方針も示されました。
それが、こちらになります。

図:基本方針 (中山間計画p.15)
この方針に関して、2つのポイントがあります。
1つ目は、各地区の地域づくり体制に関して、これまで益田市では20地区20通りという指針を示していました。今回はさらに表現を踏み込み、地区毎に「自助・共助・公助の最適バランスを追求」した地域づくり体制を構築すると示されました。これは、つまり地区毎に人口や課題等の状況が異なることを前提に、地区の支援のあり方(公助)も一律ではなく、変わってくることを意味します。例えば、現在最も人口が多いのが吉田地区で13,880人、最も少ないのが道川地区で94人です。(令和7年3月時点) この数字だけを見ても、地域づくり体制を標準化することの限界は明らかです。今回の計画を皮切りに、自助・共助・公助の最適バランスを追求した地域づくり体制の構築を目指して、一層地域と行政の対話・連携・協働を促進させていくことが重要です。
2つ目は、「自助・共助・公助の最適バランスを追求した、各地区単位における地域づくり体制の構築」にあたり、その具体として「地域自治組織を調整役とした地区別の地域づくり体制のモデル」が示されました。
現在、益田市では各地区の地域づくり体制として、全地区に「公民館」(拠点と人員)を設置・配置をして社会教育によるひとづくりを推進し、さらに官民連携の「地域自治組織」制度を導入して、地域づくりを推進しています。(公民館と地域自治組織の紹介は本記事では省略しますが、詳細は中山間計画(p.8)をご覧ください)
しかしながら、中山間計画に「地縁組織である自治会(連合自治会)、地域運営組織である地域自治組織、社会教育施設である公民館は、それぞれ目的を持って設置され、活発な活動が行われています。しかし、地域自治組織が設立されるまでは、各地区での活動は自治会(連合自治会)や公民館を中心に行われてきたこともあり、活動が重複していたり、連携が十分でなかったりする地区もあります。」と記載があるように、一体的な地域づくりを推進する上で連携体制に課題があることが指摘されています。
そこで、今回の計画では、公民館と地域自治組織が中心となり、より連携・協働を深めて、一体的なひとづくり・地域づくり体制が構築されることが示されました。 そのモデル図が、こちらとなります。

図: 地域自治組織を調整役とした地区別の地域づくり体制のモデル図 (中山間計画p.19-20)
地域自治組織が調整役となり、地域の将来像を示した「まちづくりプラン」を策定して、その実現に向けては地区毎に多様な体制のあり方があると、20地区20通りの解釈がより鮮明になった内容となっています。また、その実現に向けては、やはり住民だけでは難しいことが想定されます。そこで、公助(行政の支援のあり方)の1つとして、「地域を支える拠点である各地区の公民館が下支えする形で一体となって地域づくりを進めていくこととします。各公民館は社会教育施設としての機能(「つどう」「まなぶ」「むすぶ」「いかす」)を通じてひとづくりの活動に取り組み、まちづくりプランの実現を支援します。」と記載されています。上の図のモデルに限らず、住民と行政(公民館含む)が対話をしながら、地区毎に最適な体制構築をすることが大事です。
計画のポイント4:具体的な中山間地域振興のあり方 (重点戦略と基本戦略)
以上の3つのポイントを押さえつつ、最後のポイントとして具体的な中山間地域振興のあり方に関して、3つの重点戦略と4つの基本戦略が示されました。
ここでは詳細は省略しますが、以下目次を掲載します。詳細は、中山間計画(p.17以降)をご覧ください。また、各戦略の実現に向けて、重点戦略では「行政の役割」が記載され、基本戦略では「施策の方向性」と「具体的な取組」の例示が記載されています。

図:重点戦略・基本戦略と施策の体系(中山間計画p.17)
以上で、計画のポイントの紹介は終わりますが、この計画の実施者は行政だけではなく、住民も含めた、益田市民全体で推進していくものです。目標である「人口が減少しても、誇りと生きがいをもって、豊かに暮らしていくことができる、「縮充」による中山間地域の実現」に向けて、みなさんで力を合わせていきましょう。
文責:益田市地域振興課
文章:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー