UIターン者サポート宣言企業 社員紹介
株式会社キヌヤ 水津 憂哉さん
コロナ禍を経て、好きなことを仕事にする働き方が広がり始めている。
今回取材をした、株式会社 キヌヤの水津 憂哉さんもこの働き方を体現している一人だ。
広島出身の水津さんは、野球の才能を小学生時代から発揮し続け、高校時代は特待制度で宮崎の高校に進学したという。野球に打ち込んでいたにもかかわらず、益田にあるキヌヤで働くに至った理由とは。そして、益田で暮らす道を選んだ背景にはどんな思いがあったのか。水津さんに伺いました。
野球に熱中しながら、釣りにもハマり始めた
水津さん「小学生のときからプロ野球のジュニアチームに所属するなど、高いレベルで野球をしていました。家族に釣りへ連れてかれたのもこの時期で、最初は釣りの楽しみが分かりませんでした。
しかし、釣りを覚え始めると、釣りの面白さとロマンを追い求めてルアーを自作したり、釣った魚の写真をネットにあげたりしていました。」
中学では、中四国代表のメンバーとして日本2位の成績をおさめ、高校野球も順調なスタートかに思えた中での怪我。ずっとレギュラーとして試合に出てきたからこそ、「試合に出れないなら野球はやらない」という信念があったそうです。
水津さん「野球部を辞めてしまうと、一般生徒に戻ってしまうため、どうしよう…。そう悩んでいた時、父と兄の卒業校である益田東高校からお声がけいただき、転校することになりました。転校したのちは新しい道に進むべく、陸上のやり投げ・短距離をやってみようと心に決め、最終的にやり投げで島根県2位になることができました。」
野球ができないことを悔しいと思う時があったものの、
釣りをしたり友達と遊んだりいう時間も生まれ、こんな生活もありだと思い始めた水津さんは、スノーボードや釣り、学業、部活と高校生ながら自分のライフスタイルを確立していました。
地物があることがキヌヤの魅力の一つだった
高校に入っても、釣りに時間を割くことは厭わなかった水津さんは、
なぜキヌヤに入社したのでしょうか。
水津さん「地物が置いてあることが大きかったです。キヌヤも地物がなければ、他県からの魚を仕入れることがありますが、基本は益田・萩・浜田から魚を仕入れる。そこが魅力の一つでした。
もう一つが、自分がお客さんとして訪れたお店の接客・対応が良かったからでした。商品の場所が分からない自分に、店員さんが丁寧に笑顔で対応してくださいました。就活で悩んでいたときだったので、そういった接客ができる会社は人間関係が社内でうまくいっていて、魅力的な会社だと思ったんです。
それに加え、キヌヤは益田の中で大きい会社であること、社是に「地域社会への奉仕」を掲げていることが分かりました。それならば、地元の魚の良さを知ってもらえるのではないかと考え、入社面接の際に社長へ「鮮魚部門で仕事がしたい」と想いを伝えて入社が決まりました。」
お客さんとコミュニケーションをとりながら、
魚に触れる仕事がやりたかったという水津さんは、現在どんなお仕事をされているのでしょうか。
水津さん「丸魚が入ってきたものを3枚におろし、柵状に加工したり、
お客さんの要望・用途に応じて、魚を切ったりということをしています。触ったことのない魚を捌くときは、上司に捌き方を聞くようにし、分からないことは正直に伝えています。この職場は、分からないことが言いにくいことはなく、仕事しながらプライベートの話もできる。それは人間関係が良好だからだと思います。
人間関係ができていなければ、仕事って続かない。肉体的な辛さよりも精神的な辛さの方が堪えるけれど、この職場で仕事に行きたくないと感じたことは一度もありませんね。」
趣味だった釣りをきっかけに、魚を美味しく食べて欲しいという思いが芽生え、動画を参考に自分で魚のおろし方を覚えた学生時代。自分でも捌けるのではないか?というワクワク、魚の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという想い。それが水津さんの仕事の原点であり、やりがいだといいます。
水津さん「お客さんが喜んでくれるために、どうきれいに魚を見せるのか。
自分が作った魚の盛り合わせでお客さんが喜ぶ姿を見れることが、わたしのやりがいです。
お客さんは食べる前に、刺身の盛り合わせを見るじゃないですか。
それを見て、「こんなにきれいにしてくれたんだね」と言ってくれる。その瞬間に、この仕事をやり続けていてよかったと、感じますね。」
暮らす上で、最高の環境が益田だった
益田で5年ほど暮らした今、益田で暮らす良さをどう感じているのだろうか。
水津さん「遊ぶなら広島が良いかもしれませんが、住むとなったら益田がいいですね。広島には2時間あれば行けますし、買い物は毎日するわけではない。だから、「住む」を前提に、暮らす場所を選んだ方がいいと思うんです。
益田の夜は静かで、星が綺麗に見える。その一方で、広島市内は夜遅くまで光っている建物が多いので、星が見えないし、治安が心配です。
さらには、益田は自然の中で暮らしているので、静かで星も空気も水も綺麗。住む上では最高の環境ですよね。たまに買い物にいくときは、2時間で出雲・山口・広島に行けますし、3時間かければ福岡まで行ける。困るところは正直ないと思っています。」
娯楽施設は益田にはないかもしれないけれど、大好きな釣りが思う存分できる環境がある。釣りライフを満喫しながら、友人との時間や仕事の時間も満足している水津さん。
最後に、今後の目標についてお聞きしました。
水津さん「今の役職の上には、各店舗の責任者にあたる「チーフ」というポジションがあります。チーフをまとめるバイヤー、鮮魚のトップである部長とポジションがある中で、部長まで行かなくてもバイヤーやチーフになり、商品数を増やしたり、美味しい魚の食べ方といった料理提案をしていきたいんです。それを通じて、魚の魅力・美味しさを伝えたい。だからこそ、早く上の立場に成り上がっていきたいです。」
インタビュー中に、「魚を持ってきてもらえれば、無料でさばく。これもキヌヤの奉仕の1つですよ」と伝えてくれた水津さん。
自分の好きなことであり、趣味の“釣り”をきっかけに、お客さんの喜ぶ顔を見るにはどうすれば良いかを考え、奉仕をしていく。趣味と仕事は、自分自身が気付かないところでつながっているのかもしれない。
取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市 連携のまちづくり推進課