“ライフキャリアをデザインできるまち” 島根県益田市。
ここで暮らす、多様な「幸せのものさし」を持つ人々との出会いと対話を通じて、自分自身の生き方について考える2日間のプログラム「豊かな暮らしについて考える2日」を、益田市では実施しています。
今回は、令和5年1月14日(土)-15日(日)に開催された「豊かな暮らしについて考える2日 vol.3」の様子をお届けします!
DAY 1 | 1/14(土)
3回目となる今回は、7名の参加者を迎えスタートしました。
今回の参加者は、出身地が東京・神奈川・広島・大分などの島根県外の大学生と社会人の方から参加がありました。
まず最初は、本イベントの運営を担っている一般社団法人豊かな暮らしラボラトリーの事務所兼サードプレイスでガイダンスを受けました。
ガイダンスとして、今回の参加者同士の自己紹介、益田市の概要紹介、本イベントの趣旨説明を行いました。
さらに、本イベントでは参加者一人ひとりにどんなライフキャリアを歩んでいきたいかを考えてもらうべく、移住者3人によるリアルな益田暮らしについての発表を行いました。発表では、「ライフキャリア=生き方」という観点で話をしていただき、それぞれ暮らしの中で大切にしている価値観について発表しました。
その後は、海辺に位置する鎌手地区に移動し、「海のご飯屋ノラマーレ」という地元のレストランで海を眺めながら美味しいお昼ごはんをいただきました!
昼食後は、益田市の趣味の時間体験のものづくり編ということで、同じ鎌手地区に京都から移住をしてきた大石啓子さんのご自宅に伺いました。
大石さんは、鎌手地区の海が一望できる高台でハーフビルドという形で自宅を手作りしており、知識の経験もないところから自ら作り上げていったご自宅を見て、参加者の皆さんも驚いていました!
さらに驚くことにまだご自宅は完成していないとのこと…
大石さんのご自宅は、住居だけではなく木の器や小物を作成する工房にもなっており、「うみかぜ工作室」という名前で様々な作品を作成・販売しています。
今回は大石さん指導していただき、オリジナルのキーホルダーを作成しました。
そして、見学と体験だけではなく大石さんがどうして益田市に移住をしたのか、Iターンしてみて感じたこと、暮らしの中で大切にしていることなどについてお話ししていただきました。
Iターンとして益田市に移住したため、最初は地域の方とのつながりも薄かったそうです。しかし、益田市で一際目立つお家をハーフビルドしたことで興味を持って家を見にくる方などもおり、そうして段々と地域の方とのつながりも生まれていったそうです。
そして、現在は鎌手地区の魅力を発信していく、カマテチャームラボ(鎌手魅力づくり部会)にも所属し、一住民として地域活動にも関わっているそうです。
そんな大石さんが暮らしを振り返った上で、まずはやってみよう精神を持つことで新しい発見や出会いにつながるというお話がとても印象的でした。
大石さんのご自宅を後にし、次に向かったのは山に囲まれた中山間地域の北仙道地区。北仙道公民館をお借りし、益田市の趣味の時間体験のアウトドア編として初めてのテント張りワークショップを行いました。
講師になっていただいたのは益田市でアウトドアショップを開業した積田佳世さんです。積田さんはキャンプ・登山・防災用品を取り扱う「アウトドアベース Sunpo」の店主を務めており、商品の販売だけではなく、様々なアウトドアや防災に関するワークショップを通して、技術と知識、そして自然遊びの楽しさを伝えることをコンセプトにしています。
まず最初に積田さんを囲みお話を伺いました。積田さんは益田市出身で、小さい頃からご家族の影響でキャンプやアウトドアがお好きだったそうです。そして、前職はずっと憧れていた消防士として働かれていたそうです。
消防士を辞めた後は、家業のお仕事をしながら週末はアウトドアショップの店主として働いています。
そんな積田さんがなぜ益田が好きで、その益田でアウトドアショップを開業したのかなど積田さんのライフキャリアについて伺いました。
積田さんのお話を伺った後は、実際に初めてのテント張りワークショップを行いました。参加者は2チームに分かれ、説明書などは見ずにテントを貼ってみるというワークをしました。
それぞれ試行錯誤をしながら進めていき、最後は両チームともテントを張ることができました!こうした知識は災害時などにも役立つというお話を聞き、参加者も真剣に取り組んでいただきました。
この時間を通して自然豊かな益田市で趣味を持つことの大切さ、とりわけアウトドアという趣味の楽しさを感じてもらいました。
DAY 2 | 1/15(日)
2日目の最初は、益田の街中に近い中山間地域の豊川地区を訪れました。
そして、地域・家庭の時間体験の子育て編ということで、とよかわの未来をつくる会の河野利文さんより、豊川地区の子育て環境(ひとづくり)の取り組みについて伺いました。
豊川地区では、保育園・幼稚園段階から子どもたちの発達状況に合わせながら地域や小学校・中学校が連携をとりながら子どもを育てていくという特徴的な取り組みを行っています。その成果が認められ文部科学大臣表彰も受賞しています。
河野さんのお話を伺い参加者にとっても自分の暮らしだけではなく、ライフステージが変化し、いずれ子どもができた際にどんな環境で子育てをしたいかを考えるきっかけになったと思います。
河野さんのお話を伺った後は、豊川地区の空き家を地域の大人と中高生でリノベーションをした「とよかわの家」を豊川公民館の田原館長さんに案内していただき、見学させていただきました。
この「とよかわの家」は地域の活動拠点の一つになっているだけではなく、益田市外の方が益田暮らしを体験できるようにお試し住宅としても利用できます。
参加者も「すごーい!」「次来たときは泊まってみたい!」などとても楽しんでいました。
その後は、豊川地区で地域の大人や子ども向けに「ひとまちカレッジ とよかわキャンパス」という名前で定期的に様々なイベントを行なっている豊川公民館にお邪魔をしました。
この日は豊川地区で新たに果樹園を作り、その果樹園でできた果物を使いドライフルーツを作るというイベントがあり、地域の親子連れと一緒に参加をさせていただきました。豊川地区ではこのように大人と子どもが一緒になって体験をし学び合うという取り組みに力を入れています。
参加者も地域の大人と子どもと交流をしながら楽しくドライフルーツ作りに挑戦しました!
イベントに参加した後は、豊川地区の久々茂という地域に移動をし、地域の時間体験として、「くくもまちおこし 絆会」の皆さんとお昼ご飯をいただきながら交流をしました。
絆会は久々茂の町おこしとして、地域のための様々な活動を行っています。そして、この日は絆会メンバーの奥様たちが地元で獲れたイノシシを使ったイノシシ汁と一から育てて作ったお蕎麦、おむすびを用意してくださいました。
地方ならではの贅沢なお昼ご飯をいただき、参加者の中にはイノシシを初めて食べる方もおり、「臭みもなくてとても美味しい!」と感動していました。さらに、あまりの美味しさに何度もおかわりをしてイノシシ汁4杯、お蕎麦4杯を食べた大食漢な参加者もいました。
お昼ご飯をいただきながら、絆会の方の地域に対する想いや誇りなどについて伺いました。さらに参加者に対しても「どこから来たのか」「実際に来てみてどうだったか」などの質問をしている場面もあり、お互いに会話を楽しんでいる様子が伺えました。
さらに久々茂地域には益田市の伝統芸能の一つである石見神楽の「石見神楽久々茂保存会」があります。地域の中で脈々と受け継がれてきた石見神楽の魅力や迫力を知ってもらうため、過去の公演動画を見せていただきました。
そして特別に石見神楽久々茂保存会の稽古場も見学させていただき、実際に公演で使用するお面や衣装、小道具などを特別に見せていただいたり試着させていただきました。
実際に羽織ってみると20キロ近い重さの衣装に思わず参加者も「これで神楽を舞ってるなんて!」と驚いていました。
豊川地区での活動を終えた後は、ユタラボにて2日間の振り返りワークショップを実施しました。
今回のイベントでは、実際に益田の暮らしの一部を体験することをコンセプトに実施しました。同じ体験をしても参加者一人ひとりによって感じ方には違いがあり、お互いに2日間を通して考えた「幸せのものさし」について共有して今回のイベントは終了となりました。
参加者の方から頂いた感想(一部抜粋)
「これからの自分の暮らしにどう活かしていきたいか ・自分の幸せのものさしを考えるきっかけになった 。これまでは物・人・コトにあふれている都会の方が多様性理解があり良いイメージだと思っていたが、反対に人が少ないからこそ、一人一人にスポットライトがあたり存在意義を感じられるのだと思った。」
「実際に益田で生活する人の思いや暮らしを体験して、人との深い関わりの中で暮らすのが自分に合っているのだなと感じた。地元愛も強く、教科書以外で初めて伝統芸能を見て、感動したし、都会のように常に新しいモノの更新に重点を置くのではなく、伝統や古い時代からのものを後世につないでいくことの大切さを学ぶことができた。」
本イベントが参加してくださった皆さんにとって、それぞれの「豊かさ」について考えるきっかけになれば幸いです。
文責:連携のまちづくり推進課
文章:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー