2021年3月10日 (水)

仕事,UIターン者サポート宣言企業

ものづくりをきっかけに、 街で暮らす人々の生活を豊かにする

益田市UIターン者サポート宣言企業 企業紹介
カツデンアーキテック株式会社 島根益田工場

昨年6月、ある企業の工場が益田に竣工しました。
それが、東京・上野に本社を構えるカツデンアーキテック株式会社です。
「新年度になる前に新しい家を建てたい人が多いため、3月が繁忙期ですね」
そう語るのは島根益田工場 管理課係長の坂田 右京さんです。

今回は、坂田さんにカツデンアーキテックがどのような会社なのか、なぜこの業界・会社に関わり始めたのかお伺いしました。

社会に貢献するために自分たちができること

坂田さん カツデンアーキテックの設立は1961年で、国内では島根益田工場と埼玉美里工場の2つの生産拠点で操業しています。島根益田工場は2020年8月1日から稼働し始めました。
現在は20名で働いていますが、繁忙期ということもあり埼玉美里工場から2名の従業員が短期で派遣されています。

弊社は、主に住宅用のスチール製シースルー階段の製造・販売をしています。
売上の約9割が階段事業ですが、手すりやサイクルスタンド、うんてい・薪ストーブなど住宅に関わる板金製品を製造しています。
私たちの会社では、世の中の動きや変化から今求められているものが何なのか、製造業として持っている技術やスキル・設備などでどのように社会に貢献できるのかを考えた答えが階段やサイクルスタンドを販売することだったので、具体的に将来こういったものを売っていくという考えがあったわけではありませんでした。

会社名に「カツデン」と入っている通り、元はアルミ製のテレビアンテナの製造・販売を行っていたカツデン株式会社。その後、社会や時代の流れを受けて、自社の強みであるアルミの加工技術を活かした“アルミ製手すり”に目をつけたそうです。

坂田さん アルミ製手すりの販売を始めたことで、建材事業を大きく成長させ、手すりのカツデンと呼ばれるまでになりました。

順調に売り上げを伸ばしていたある日、お客さんに「スチールで室内階段を作れないか」と相談がありました。当時のカツデンはアルミの外階段を作っていて、スチールで作ってくれれば住宅の中で使うと言ってくださったんです。

建築基準法の関係で、アルミ構造の階段は室内では使用不可となる場合が多い一方、鉄だと室内でも使用ができます。鉄を扱ったことは当時なかったのですが、素材が違うくらいだし、それならばやってみようということでやってみたところ、一筋縄ではいきませんでしたが、地道な試行錯誤とひたすら技術訓練を繰り返した結果、今の製品につながるスチール製階段を作ることができました。

その時は、お客さんの要望があったから作ったわけですが、リビングに階段を置くことで、子供との会話が増えたり、家族内のコミュニケーションが円満になったという声を聞くようになりました。そして、ものを作るというのは製品を届けるだけでなく、その先にある生活を豊かにしたり、街や暮らしを良くすることにつながる最初の一歩だと気付き、”ものづくりで世の中を変えることができる”という思いが当社の根底にあると思っています。 

数多くの建物に貢献する

ものづくりを通して、一人ひとりの生活の充実につながり、ひいては街の暮らしの向上につながると実感している坂田さん。
そもそも、坂田さんは昔からものづくりに興味があったのでしょうか。

坂田さん もともと図工が大好きで、将来は何か物を作る仕事に就きたいと思っていました。実は、わたしの祖父や父がこの会社の経営に関わっているのですが、当時は会社の中で偉い立場であることは認識していたものの、どういった仕事をしているのか分かりませんでした。

小学5年生のある日、新築で自宅が建っていく様子を見て強い興味を抱き、建築家になろうと決めたんです。それを父親に話したら、とても喜んでくれて。なんでこんなに喜んでくれるんだろうと疑問に思ったのですが、その時に父が建築学科を経て建材業界に携わっているということをきちんと認識しました。そして、自分自身も建築家になるために大学で建築学科を志望しました。

早稲田大学の建築学科で建築について学ばれていた、坂田さん。
大学を卒業して就職をするのか、大学院に進学をするのかで迷った時、学部卒だと自分にしかないものが見つからないのではないかと葛藤し、大学院の進学を決めます。

坂田さん もともとは建築家を目指して大学に進学したものの、目立った成績も残せず平凡な学生で、もはや建築家になるという夢も自信も失い、せめて何か自分の強みを見つけなければ、と思い大学院への進学を決めました。

私が所属していた研究室では、メンバーの大半がゼネコンに就職するようなところだったので、ゼネコンに就職する選択肢も私にはありました。ただ、研究の一環でゼネコンの監督さんとお話をする機会がある中で、「地図に残るような大きな建物に関わることができるが、人生の中で数えるほどの建物にしか携われない」ということに漠然とした違和感を抱くようになりました。むしろ、自分の手に納まる範囲や小さな規模でより多くのものづくりに携わるほうが自分の性分にあっているような気がしたんです。

今思えば、階段や手すり、扉・床・窓・家具などの集大成が建築なわけで、その一つ一つに本気で向き合ってものづくりをしていくというあり方も建築との関わり方としては、面白いのではないかと思いました。
そんな思いを抱えた中で、ふと幼少期を振り返ると、父が仕事に行くとき、毎日楽しそうだったんです。「うちの会社を継げ!」と言われることは一切なく、幼少期の光景を思い出したことで、モヤモヤとした思いが自分の中でストンと納得がいき、今の会社に入社することを決めました。

大きな現場や地図に残り続ける現場に関わることが仕事のやりがいと感じる人もいれば、いろんな現場に関わることがやりがいと感じる人もいる。
そう語る坂田さんに、この会社に入ってからのやりがいをお聞きしました。

坂田さん 今のお客さんの殆どが当社を「階段メーカー」と認識していると思うのですが、我々としては階段に特化しているわけではなく、その時々のニーズにあった商品を作っているメーカーでありたいと考えています。

次の新商品としてスチール製のベッドを開発していますし、私のアイデアで車止めを商品化したりなど、今までやってきた仕事以外でもいろいろなものづくりができることがやりがいですかね。
自分たちの持っている技術や設備は高いレベルだと感じる中で、今まで決まっていた仕事だけではなく、アイデアや工夫次第で仕事の幅を広げることができるのは面白いです。それが商品開発部に限った話ではなく、社員全員がアイデア出しができる環境も魅力です。

小さな目的を持った人とこれからを共に

商品開発部でなくとも、営業・設計・製造でも新商品の提案はしやすい環境だと坂田さんは話します。益田で働き始めて約9ヶ月、益田で働くよさはどういったところなのでしょうか。

坂田さん 時間の流れが緩やかですし、異動してきてから、日常で感じるストレスが減りました。周りの喧騒から開放されているのもあり、心身共に健康になっている気がします。
もちろん都会のように何でもある刺激的な街なんて事はなく、無い物は無い、そんな場所ですが、どうにもならないという程のものでもないということに飛び込んでから気付きました。正直、来る前は「こんなど田舎に行っても何もできない」と思っていましたが、物が無いなら無いなりに、仕事も生活も豊かにできているので、本当に不自由なことって今の恵まれた時代にはないなと感じますね。

益田に工場を建設されたことで、益田にIターンした坂田さん。
そんな坂田さんにUIターン者に対する思いをお聞きしました。

坂田さん UIターンの人には、少しでも思い立ったら、益田に来てほしい。
わたし自身、益田に行くことが嫌でしたが、今は毎日非常に楽しく過ごしているので、悩んでいるくらいなら1度来て欲しいですね。「住むなら都会か田舎か」と聞かれれば「都会」と即答していたような私がそう思うのですから、なんとかなるもんですね。
住めば都という言葉を生み出した先人はすごいなと思いましたね。

UIターンしたとしても、生活するためには仕事をする場所が必要なので、UIターン者サポート宣言企業に登録されている様々な企業の中から弊社を選んでもらえたら嬉しいです。

坂田さん自身、移住直後は益田に知り合いがいなかったそうですが、会社以外のいろいろな場所で人と関わる機会を作り始めた結果、人とのつながりができたと話します。

今後、カツデンアーキテックはどんな人と働いていきたいのか。坂田さんにお伺いしました。

坂田さん なんでもいいやではなく、稼ぎたい、偉くなりたい、街に貢献したい、地元に戻ってきたい、田舎暮らしを堪能したいなど小さな目的や目標をしっかり持った人と一緒に仕事がしたいです。

例えば、何が何でもこの仕事で稼ぐんだ!という思いがエネルギーになるならば面白みもあるでしょうが、お金を稼げればなんでもいいやと消極的に考えるような人ですと、なんとなく仕事してある程度お金を稼げたら終わってしまうので、その先の目標や目的を持っている人でないと楽しく仕事できないですよね。

インタビューの最後に、今後の目標についてお伺いしました。

坂田さん 長期的な目標としては、10年後に今の埼玉の工場と同じだけの生産量に並ぶことです。初年度としてはなかなか良い形で来れたのですが、まだまだ課題は山積みなので、堅実に目標に向かっていきます。

あとせっかく新天地に作った工場なので、とにかく盛り上げていきたいですね。ここで働く社員も他の拠点にいる社員も、来場してくれたお客さんにも「益田の工場は楽しそうでいいなあ」と思われるような工場にしていきたいです。

作業服も勝手にオリジナルでデザインして作っちゃいましたしね。(笑)

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カツデンアーキテック株式会社 島根益田工場
〒698-2144
島根県益田市虫追町ロ320-119
石見臨空ファクトリーパーク内
TEL 0856-28-8019
FAX 0856-28-8039
HP https://kdat.jp/

益田市UIターン者サポート宣言企業 宣言内容(カツデンアーキテック)
①活き活きと活躍できる「場」を提供し、一致団結、若い力で益田を盛り上げます。
②資格取得等のスキルアップを奨励金制度や受験費用の助成によりバックアップします。
③ワークライフバランスと子育て支援に取り組み、働きやすい企業とします。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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