2021年3月11日 (木)

仕事,UIターン者サポート宣言企業益田20地区,安田

地域の人が安心して暮らせるセーフティネットを

UIターン者サポート宣言企業 企業紹介 公益社団法人 益田市医師会

益田市の安田地区で医師会病院・介護老人保健施設・介護医療院を併設し、
保健・医療・福祉を通じて地域へ貢献するというゆるぎない哲学のもと、地域のニーズに耳を傾けてきた益田市医師会は昨年、発足から60周年を迎えました。

今回は、益田地域医療センター 医師会病院の院長 狩野 稔久さんに医師会で行っている業務内容から益田地域への思いをお伺いしました。

地域のニーズに合った医療サービスを

狩野さん 医師会病院では、会員の共同利用施設として診断・治療のみならず、健康増進、疾病予防からリハビリテーション、ターミナルケア、生活支援にいたるまでの幅広いサービス提供を行いながら、地域包括ケアシステムの中核を担う病院として、地域の医療ニーズに即した独自の医療サービス体制づくりを行っています。

昭和60年に厚生労働省(旧:厚生省)から、地域医療拠点病院(旧:へき地中核病院)の指定を受けて、診療所や無医地区への巡回診療を行うなど、地域の状況に合わせて医療サービスを提供しています。

益田市医師会の中核施設が益田地域医療センター。
その敷地内には、病院をはじめとしてリハビリテーションセンターや保健予防センター、衛生検査所、在宅医療介護連携の研修センター、さらには職員保育所もあるなど、益田の医療を包括的に支えています。

益田市医師会で大切にされていることはどういったことなのでしょうか。

狩野さん 益田圏域の保健・医療・福祉の連携を通して、地域の人が安心して暮らせるセーフティネットをつくることが医師会の目指す方向です。そのため、病院理念を「安心して暮らせる地域づくり」を目的とし、「益田地域のニーズにあった保健・医療・福祉の提供を行います」と定めています。

父が勧めてくれた医療への道

高校卒業後、お父様に勧められた自治医科大学に入学し、
医学の道に進むことになった狩野さん。なぜ、医療に進んだのでしょうか。

狩野さん もともと強い興味があったわけではなく、学費免除と奨学金で進学できるというのが大きかったかもしれません。
卒業後は、医療に恵まれない島しょ部などの県知事が指定した医療機関で、大学に在席した年数の1.5倍の期間勤務すれば、奨学金が返済免除となる制度でした。

実際に大学に入ると、大学設立初期だったこともあり、教育に関わる人たちがとても熱心でした。地域医療や今後の医療についてどうあるべきかを先生や学生が真剣に考えていたことで、わたしも次第に地域医療への興味が湧いてきました。

地域医療への興味が高まったこともあり、大学卒業後は島根県で働くことになった狩野さん。卒業後、隠岐諸島などでの勤務を12年ほど経験し、この益田に来ることになったといいます。

狩野さん 医師会がある程度のキャリアを持った管理者クラスの医師を探していた点や公的分野で地域に貢献していたこともあり、島根県から派遣されました。

田舎暮らしの経験しかなかったので、初めて市民になれると楽しみに来ましたが、最初に住んだのが益田の外れの方だったので、結構田舎だなと思いながら生活を始めました。

その後、院長になったことで、心境に変化が生まれたと話します。

狩野さん 職員やその家族の生活も考えていかないといけないという点が一番の重みとなりました。
そして、病院理念を実現させるためにも健全経営を大事にしないと。
健全な経営が前提で質の高い医療サービスを提供するための機器の整備や職員の労働環境改善のための原資の確保ができるわけですから。

慢性期やリハビリに関わる人を増やしたい

益田市医師会は益田圏域で医療を完結させることを目指し、活動がスタートしたそうで、益田の地域に対して、心がけていることがあると狩野さんは話します。

狩野さん 病院と地域との関係は、地域の文化・風土・人口構成・産業構造・医療資源などの組み合わせで千差万別なので、その特徴に合わせたサービスを提供するように心がけています。

ここでしかできないような、ここだからできるようなサービスの提供を事業として展開していますし、他団体と連携して地域の包括ケアを進めていくことがこの益田でのやり方ですね。

益田圏域は人口が減少していく。高齢者が多く子どもは少ない。さらに広い地域に住居が点在している。その状況下で、どのようなサービスがふさわしいのかを考えています。

地域の先生が高齢化している現状を踏まえると、今後の医療の在り方や地域の医療ニーズの先取りが大事になってきますね。


日本各地で医師不足がニュースとなっていますが、益田も同じだといいます。
益田市医師会に希望して入られる方もいるのか、お伺いしました。

狩野さん 医師に関しては、新専門医制度が始まったことで、若い医師の多くは専門医資格を取得することになります。そうなると取得に有利な急性期の病院に目が行きがちで、わたしたちが主に行っている慢性期やリハビリに目を向けてくれないため、スタッフの確保に頭を痛めている現状です。

野球に例えると、急性期は花形のような先発領域ですが、医療需要の多くは亜急性期から慢性期です。そのため、中継ぎやクローザー的な役割であるリハビリや慢性期の領域に関心のある人を増やしていく必要があると考えています。

慢性期やリハビリに入ってもらえる人が少ないという悩みが
UIターン者サポート宣言企業への登録につながったのでしょうか。

狩野さん 病院の持続可能な運営のためには、人材の確保や育成が重要になります。
都会の急性期の現場だと入退院の回転が速く、患者さんと向き合ったとしても顔を覚えたか覚えないうちに退院してしまうことがあります。

その一方で、ここでは2〜3週間、療養病棟だと半年や1年その人と向き合うこともあるため、その人に今後どんなサービスが必要かなど、家族や周囲の人たちと共にじっくりと考える、病気だけを見るのではなく生活や人生を考えることができます。そんなところが地方の良さかもしれませんね。

医療にやりがいを感じる人と働きたい

人材確保や育成が急務であり、今後の病院経営に必要だと考える狩野さん。
益田市医師会としては、どのような人材と働きたいのでしょうか。

狩野さん 仕事のやりがいや意義を感じ、実力を十分に発揮できる人ですね。
わたしたち医療人の仕事は、人相手の仕事です。そうすると、個々の資質が医療の質につながるので、この仕事にやりがいを持って高いモチベーションで仕事に取り組める人を求めています。

問題意識を持って、解決能力があって、相手の立場に立って、他人のせいにしないで仕事ができる人を求めています。そのような人との仕事は楽しいし、そういった人が増えていくと現場力が高まり、活気のある職場になると思います。それをめざしQC(Quality Control)活動の音頭を長年とっています。

私自身は、QCを通して、そのようなひとづくりで現場力を高め、さらにTQM(Total Quality Management)を通じたガバナンス構築によって、職員が満足してもらえるような職場をこれからも作っていきたいです。
QCは近視眼的に見ると経営改善が目的ですが、長期的に見るとひとづくりにつながると考えています。

最後に、若い世代へ伝えたいメッセージをお聞きしました。

狩野さん その時は何に役立つかわからないことでも、一生懸命にやっていると何か選択に迫られた時に役立つことがありますし、無駄なことはないと思うので、何に対しても一生懸命取り組んで欲しいです。

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公益社団法人 益田市医師会
HP:https://www.masuda-med.or.jp/
〒699-3676
島根県益田市遠田町1917-2
TEL 0856-31-0545
FAX 0856-31-0543

益田市UIターン者サポート宣言企業 宣言内容(益田市医師会)
①仕事と子育ての両立を図ることができるように、
 継続して働きやすい職場環境の整備を進めます。
 (年休等の休暇取得率の向上、時間外労働時間の削減、
 男性職員の育児休業取得の推進、風通しのよい職場構築など)
②一人ひとりが持てる力を最大限に発揮でき、
 そして自己の成長が実感できるようキャリアアップ支援に向けた
 取組を推進します。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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