12月14日に、ミライツクルプログラム冬の陣を実施しました。今回は自転車と景観を意識したまちづくりについて学ぶ講座です!行政・学校・民間企業・NPO法人など、多種多様な団体とコラボした企画になりました。どんな内容だったのでしょうか!記事をご覧ください。
<TATSUJIN紹介>
○五輪キャンプ誘致推進課
五輪キャンプ誘致推進課は、主に益田市内の自転車によるまちづくりの推進に取り組んでいます。益田市が東京オリンピックの自転車種目において、アイルランド選手団のキャンプ地に指定されているので、そのコーディネートも行っています。今回は自転車によるまちづくりについてお話しいただきました。(公式ホームページはこちら。https://www.city.masuda.lg.jp/soshiki/187/)
○田中淳央さん(増本建設)
田中さんは、広島県の福山市の出身で、学生時代から島根県に移住し、現在では益田市の北仙道地区で暮らす建築士です。地域活動に熱心で、昨今では益田市や津和野町で、竹灯籠プロジェクトを実施しています。全国に竹あかりを点灯するプロジェクト「みんなの聖火」の島根県代表に選ばれている行動派です。今回は景観についてお話しいただきました。(みんなの聖火についてはこちら。 https://47akari.jp)
<当日の様子>
いよいよ本番当日!天気は、曇り。何とか持ってくれるかと思いきや、途中でパラパラと雨が降り始めました。運営スタッフはちょっと焦っています。なぜなら、雨が降ると滑りやすくなり、自転車ライドの安全性が低下するからです。ただ、降りはじめで地面はなんとか乾いています。なんとか実施できそうです。
高校生19名に、スタッフが10名の、計29名、にぎやかな開会式が始まりました。ただ、スケジュールはとてもタイトです。開会式が終わるとすぐに自転車に乗る準備に生徒たちは取り掛かります。
NPO法人益田市・町おこしの会の齋藤さん、益田サイクリングサークルの川本さん、明誠高校の小川先生、五輪キャンプ誘致推進課の板井さん、そして高津公民館の植田さんなど、自転車のことを知り尽くしているTATSUJINのみなさんのガイドのもと、生徒たちはどこへ行くのか、わくわくです。速度が遅いママチャリチームと、駿足のクロスバイクチームなど、4組に分かれ、まずは高津柿本神社へ。
人麿の歴史ロマンに思いをはせる余裕もなく、次は風光明媚な「飯田の吊り橋」に。高津川を彩る赤い吊り橋からはうっすら川面が見え、生徒たちはドキドキです。結構揺れるんです。「ギャー、怖い!」嬉しい悲鳴が聞こえてきますね。
そして、一行は万福寺へ。到着した生徒からはこんな声が。
「まだまだ全然走れます!楽しかった!」
生徒たちには笑顔があふれていました。
休む暇もなく、TATSUJINのプレゼンが始まります!
まずは五輪キャンプ誘致推進課の板井さんのプレゼンです。
「益田市が自転車に力を入れたり、なぜアイルランドの選手団を受け入れたりしているか、あまり知られていません。今日のミライツクルプログラムをきっかけに、自転車の良さを知って、もっと自転車に乗ってほしいなと思っています。」
懸命にメモを取る生徒たち。実際にがっつり1時間自転車に乗ったらこそ、TATSUJINの話もより頭に入ってきますね。
つづいて、田中さんのプレゼンが始まります。今までは自転車に特化したプレゼンでしたが、田中さんの話は自転車から見える「景観」にスポットライトをあてたものです。
「海外では受け継がれて来た景観を守り住み継ぐまちづくりって当たり前に行われているんだけど、日本は景観を意識する少し前に無造作に建築していった時代があるんです。そもそも景観という言葉になじみがないという人が多いんではないかと思います。」
「昨今では、その土地にあった景観にそって街づくりが行われています。おしゃれな建物も大事だけど、石州瓦が映える海辺の町並みであったり、田圃や畑が広がる風景であったり、そういったなじみある景観を大切にしてほしいです。」
それから、田中さんは、
「みんなにとっての景観はどこですか?」
という問いを出しました。
のちほどのアンケートに、とある生徒はこんなことを書いていました。
「私にとっての景観は、益田の全てだと思う。昔からある姿や新しくつくられた姿も全て含めて益田だと思うから。」
伝統的な家屋が立ち並ぶ街並みも、最近できたショッピングモールも、生徒たちにとっては生まれてからずっと親しんできた景観、ということなんですね。
そのあと、萬福寺の雪舟庭園を、田中さんが案内してくださいました。萬福寺は明誠高校・益田高校から徒歩圏内にあるのにも関わらず、「はじめて中庭に入った!こんなにきれいなのを知らなかった!」という声が多数でした。
江戸時代の庭園のような派手さはないけれど、奥ゆかしく上品な雪舟庭園。これを機会に再び訪れる生徒さんが増えそうです。
そのあとは市民学習センターに移動し、振り返りを実施しました。自転車体験・プレゼン聴講など、インプットだけでは、すぐに忘れてしまうでしょう。そこで、感想をびっしり紙に書き、それを全体に共有することで、「自転車」「景観」について思いをもった仲間を増やすことができるだけではなく、自分自身がしっかり学びとして消化することができます。
4人組に分かれてもらい、感想共有を行いました。各班にTATSUJINに入ってもらうことで、TATSUJINの方々へのお礼にもなったのではないかと思います。
「祖父母の家が二条にあるので、今度自転車で二条に行ってみます!」
「景観という言葉を知らなかった…」
「自転車で走ることで、普段意識しない益田の景観を見直すことができた」
うれしい感想が飛び交っていました。
最後に、町おこしの会の齋藤さんに、TATSUJIN代表でコメントをいただきました。
「I・NA・KAライドの運営にかかわってほしい。」
毎年9月に行われている、益田きっての自転車イベントに、高校生がかかわる日も近いかもしれません。
(I・NA・KAライドについては、こちらのレポートをご覧ください。http://www.pedalist.jp/news/18603)
あいにくの天気でしたが、TATSUJINのみなさん、参加してくれた生徒のみなさん、本当にありがとうございました。高校生の地域での挑戦を、これからもどんどん応援していきたいと思っています。
※ミライツクルプログラムとは?
高校生を対象とした、益田で意欲的に活躍していたり、益田にゆかりがあったりする大人が講師(TATSUJIN)となる、学校外でのワークショップです。
・これから先どう生きるかを悩んでいる高校生が、
講師の生き方・あり方、そして職業の専門性に触れて、
将来の生き方の選択肢を増やすこと
・学校でも地域でも主体的に学んでいける人材の育成
・学校外での取り組みや地域の日常的な取り組みへの参加へのハードルを下げる
ということを目的としています。
運営:益田市教育委員会社会教育課/益田市人口拡大課
文責:人口拡大課