2021年1月5日 (火)

仕事,UIターン者サポート宣言企業

益田が元気になるために

UIターン者サポート宣言企業 社会福祉法人 梅寿会

昭和53年設立、今年で42年目。
益田の福祉分野をリードしている梅寿会の事業内容、経営理念、さらにはこの益田への思いなどを事務局長である服部 祐子さんにお話しいただきました。

だれもが「豊かに」「しあわせに」なるために

服部さん 現在の職員数は約240名となっていて、男性が24%で女性が76%ですが、最近は30代40代の男性が増えています。

梅寿会は、社会福祉法人として介護サービスを提供するだけではなく、「こまっている人のためになることをする」ことが使命だと考えています。
私たちは、高齢者や障がい者の事業所、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームの運営を通じて、介護サービスの提供をしています。その他にも、デイサービスセンターの運営、ヘルパーやケアマネージャーの事業所、従業員の子どもを預けられる事業所内保育所の運営を行っています。

服部さんが紹介した以外にも、介護の相談やケアプランの作成を行う居宅介護や高齢者に関する相談を受ける、地域包括支援センターの運営を行っている梅寿会。
そんな梅寿会の経営理念をお聞きしました。

服部さん 「私たちは人権が尊重され笑顔やさしさ思いやりのある豊かな地域社会づくりに貢献します」が私たちの経営理念です。私たちの仕事は対人援助職なので、相手との信頼関係が築けていないと本当の仕事の良さは伝わらないし、お年寄りの介護は、笑顔や優しさ、思いやりを持ちつつ、相手の思いや権利を尊重しないと本当に良い介護はできません。

また、高齢者や障がい者をとりまく地域が暮らしやすい環境になるように、「豊かな地域社会貢献づくりに貢献」を益田が元気になるための取り組みとして行っていきたいと考えています。

益田が元気になるような取り組みを意識している梅寿会。
益田への思いや実際の取り組みについてもお伺いしました。

服部さん 益田は私たちのふるさとで、空気や気候、その土地で暮らす人々の人柄、物価の低さを見ても暮らしやすい街ですが、コロナにしても他のことにしても地元でしっかり対応できるような仕組みがないと今後成り立っていかないと思っています。

まずは、私たちができることからやっていくために、地元で高齢者や障がい者が困っていたらそれを助ける活動をすることが私たちの仕事だと考え、地域公益活動をしています。
益田の20地区の公民館をまわる中で求められている、中山間地域に住む方を病院や買い物に送迎する交通支援活動を行っています。

それに加え、歯科衛生士による在宅介護者向けの口腔ケア講演会を行っています。老人ホームにいる方の口内は、不衛生になっていたり、歯に付着している食べ物カスが原因となる誤嚥性肺炎で入院する事が課題でしたが、口腔ケアにより、誤嚥性肺炎で入院する人が減り、食べ物が美味しく食べられるようになり、身体の内側から健康になる良い効果がありました。

さらに、その他の看護師やケアマネージャー、リハビリの職員が在宅介護者向けの講演活動をしたり、小中学校や高校、大学、専門学校などボランティア実習や体験学習の受け入れを行っています。

将来の益田を支えていくのは、受け入れを行う子どもたちです。その子たちに地元には、こんなに生き生きと働いている人がいるのだと少しでも見てほしい、老人ホームがどんな場所なのかを知ってほしいという思いがあるので、基本的には全部受け入れをしています。

心が通じる喜びが力になる

ここまで梅寿会の取り組みをお聞きしましたが、
次に服部さんがなぜこの梅寿会で働くことになったのかをお聞きしてみました。

服部さん 益田出身の益田育ちで、高校も市内の高校に通っていました。その後銀行で3年間勤めて、結婚を機に仕事を辞め、島根県内の転居を経て、平成4年に益田にUターンをしました。銀行のパートや市役所の臨時職員をしていた時に、梅寿会の事務員の話があり、そこから働くことになりました。

銀行で事務職として働いていたため、同じように事務の仕事ができるかと思い、梅寿会で働き始めたため、今の立場で働いていることは想像できなかったと服部さんは話します。

服部さん 今まで銀行でやっていた仕事はお金や時間をきっちり合わせる仕事でしたが、ここでの仕事は、老人ホームの高齢者の暮らしぶりから時間やお金では計れない、普通の日常をおだやかに暮らすことの大切さに気付かされました。また、人生の大先輩である高齢者から、その方の生きる姿を通してたくさんのことを教えられました。

本来この仕事は、高齢者や障がい者がその人らしく生きるを支える仕事なので、相手の思いを受け止め、相手に信頼されないといけないと思います。

入所者や職員と関わる中で、組織への愛着を深めていった服部さん。
「今をしっかり生きる」という生き方を体現していった結果、今の立場になっているのではないかと分析します。今を大切にする考えを変わらずに持っている中で、仕事でのやりがいや苦労した部分をお聞きしました。

服部さん この仕事はたしかに大変で、自分の思いがなかなかお年寄りに通じない場面があったり、精神的に辛くなったりもします。しかし、お年寄りが名前を覚えてくれたり、笑顔を返してくれたりなど、お年寄りに救われる場面があります。慌てる場面もあるかもしれないですが、平常心でいられるハートをもつことで、介護の仕事は自分を磨ける職だと思います。

また、高校卒業して梅寿会に入る子たちは、人の死をなかなか経験していないですよね。ここでは死を看取ることがあるのですが、その死を持って自分がとても大事な仕事をしていると気付かされます。これも高齢者が命を持って教えてくれるのだと思えるのです。

その一方で、すべて自分がやってしまうのではなく、メンバーがやっていける様に働きかけていくことが立場が上がると必要です。一緒にやる人がいかにその気になってくれるか、自分が行っている理由を伝えるときに相手が聞き入れる耳を持つような伝え方を意識しながら、どの場面でも心の言葉で伝えるように努めています。

若者が益田に帰ってくる時の受け皿に

最近の服部さんの仕事に、就職ガイダンスでの学生への説明があります。
その際、仕事や地域への思いを話す時は、思いがないと伝わらないと感じるそうです。

次に、梅寿会が拠点を置いている益田の地域にどういった思いで活動しているのか伺ったのですが、その際にUIターン者サポート宣言企業に登録している理由もお話しいただきました。

服部さん 梅寿会は社会福祉事業として、市内では大規模で運営している方だと思います。福祉の分野をリードしていきたいと考えていて、困っている人たちを助けるためにも梅寿会は益田になくてはならない存在でありたいと考えています。

私個人としては、益田で生き続けることが益田のためになると感じています。
私には娘がいるのですが、高校や大学を卒業したら益田には働く職場がないと当時は考えていました。そして、絵が好きだった娘の才能を活かせるのは都会しかないと思っていたので、娘は大学進学を機に益田を離れてしまいました。私は益田に戻ってきてほしいと伝えなかったことに後悔しているんです。

その経験から、子どもたちには1人でも多く益田に帰ってきて欲しくて、益田の良さを伝える仕事ならなんでもしようと思っています。益田の人口はどんどん減っていますが、人がいないことには栄えないですよね。たとえ大学進学のために益田を離れても、卒業後は益田に戻ってきてほしいので、戻るという選択を取れるような教育をしてほしいし、大学に行くことだけが目的ではない、その先の生き方について教えてほしいと思っています。

力をつけて益田に戻ってきたら、その力を活かせるところが絶対あると思うし、自治組織や地域での活動を下支えするためにはそういった知識がある人が必要です。そういった益田に戻ってくるときの受け皿として、多くの人に働いてほしいという思いからUIターン者サポート宣言企業にも登録しています。

ここまで様々なことをお聞きしましたが、
最後に一緒に働きたい人物像、若い世代へのメッセージをいただきました。

服部さん 介護は、心を込めて尽くせば相手に思いが通じることを実感できる仕事です。お年寄りに辛いことがあったとき、相手の気持ちに寄り添うだけで心が伝わったり、話さなくても行動でコミュニケーションが取れるんです。
なので、気持ちに寄り添える人、いろいろなことを吸収できる人、相手のことも自分のこともしっかり受け止められる人と一緒に働きたいと思っています。

若い世代には、しっかり悩みなさいと伝えたいですね。
若い人だけでなく、どの世代でも悩まないと何事も前には進めないと思っています。
悩みがあるということは、それに向き合っているということで、そこから外れて楽になっても何も解決しません。どんな困難があっても逃げずにしっかり悩んだら自分の中の答えが出てくるし、道が開けると思います。失敗したとしても、その失敗は成功に行くための大事なプロセスだと思うので、とにかく悩んでほしいなと思います。

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社会福祉法人 梅寿会
〒698-0041 
島根県益田市高津四丁目6番40号
TEL 0856-22-8588

益田市UIターン者サポート宣言企業 宣言内容(社会福祉法人 梅寿会)
①インターンシップや職場見学を積極的に受け入れています。
②ワークライフバランスと子育て支援に取り組み、事業所内保育所を設置して働きやすい職場づくりに努めていきます。
③地域公益活動を実施して私たちの街を元気にする取り組みを実施します。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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