2024年5月31日 (金)

益田のひとづくり益田と関わりたい方,私にとっての益田生きがい益田20地区,高津

「大学生のライフキャリア」島根県立大学 鹿野真央さん

「大学生のライフキャリア」シリーズでは、益田市でいきいきと暮らしている大学生を紹介し、自分なりの豊かな暮らしについて考える機会をお届けします。今回紹介するのは、島根県立大学の鹿野真央さんです。

柿本神社を和傘でライトアップ・高校時代の挑戦

最初に、簡単に自己紹介をお願いします。

鹿野真央といいます。2022年3月に益田高校を卒業し、島根県立大学地域政策学部に進学しました。この春から3年生です。

 

-鹿野さんは高校時代から多くの地域活動をされてきたと聞いています。まずは高校時代のお話から伺ってもいいですか?

高校時代に行った地域活動で特に大きなものは、高津地区の柿本神社を舞台にした「和傘のライトアップイベント」です。きっかけは高校での課題探究という授業なんですけど、地域課題について考えて、その解消につながりそうな提案や実践をする、という時間で。そこで私は、地元の高津柿本神社で何かしたいなと思ったんです。その時に偶然、人麿没後1300年ということと、地域の方からに「こんなイベントやろうと思ってるんだけど、一緒にやらない?」と声をかけていただいたので、協力して実践をする形になりました。

 

-当日は多くの人が集まり、大賑わいのイベントになったと聞いています。高津柿本神社を課題探究で取り上げたいと思った経緯や、準備のことなど、もう少し詳しく教えていただけますか?

私は高津地区で生まれ育ったので、柿本神社は小さいころから参拝してきた親しみのある神社です。そんな柿本神社に、もっと足を運んでもらうきっかけをつくりたいと思ったんです。そんなときに声をかけてもらい、地域の大人の方と、「チーム和傘ライトアップMASUDA」を結成し、協賛企業・個人や個人を募った結果、当日までに和傘60本を用意して、神社の鳥居に続く石段に飾ることができました。

-とても本格的なイベントですね!地域の方とチームになったり、協賛を募ったりするなど、社会人が企画しているかのような取り組みで驚きました。

ありがとうございます。準備は本当に大変だったんですけど、柿本神社が多くの人で賑わっていて、来てくださった方が和傘を眺めたり記念撮影をしたりする姿を見られたので、やってよかったなと。このときの縁もあって、高校時代には、他にも公民館主催の小学生を対象としたイベントのお手伝いや、ワークショップなどもさせてもらっていました。

 

それで多くの地域活動をされてきた、という経緯だったんですね。特に印象的だった思い出はありますか?

やっぱり和傘のライトアップですね。かなり色々と失敗もして。たとえば、数人でチームになって活動をしていたのですが、大人の方と一緒に企画を進める中で、大人と高校生との間で板挟みになってしまったり、高校生チームの中でちょっと意見の食い違いが起きてしまったり……そんなことが色々ありました。

 

-大きいイベントだけに、企画チームのチームビルディングも大変そうですよね。

そうですね。あとは、地域の方から「2回目もやってほしい」と言われたときに、「自分だけでもできる」と思ってしまって、は大人に頼らず、1人でやろうとしちゃったんです。でもそのせいで、さらにうまくいかないことが増えて最終的に色々な人に迷惑かけてしまって……イベントは実施できたものの、自分のなかでは「失敗だったな、本当に申し訳ないな」って思っているんです。人と一緒にプロジェクトを進めていく難しさを時間できて、学びにはなりましたが、苦い経験ではありますね。

 

-そんな苦い思い出もあったんですね。それでもなお地域活動を続けてこられたのは、どのような理由からなのかが気になります。鹿野さんにとって、地域活動の原動力はどこにあるのでしょうか?

やっぱり活動する上では、様々な人が関わってくれてて多分私の見えているところでも、見えていないところでも、いろいろ助けてくれてる人がいるんですよね。だからこそ、その人たちにとても感謝をしていて、その感謝の伝え方として、地域活動を継続していくこと、バトンを繋げることが私ができることだと思いその思いが原動力になっています。地域活動を1回やってもう終わり、っていうのはちょっと違うかなって逃げずに自分がやろう、という使命感のようなものも感じています。

 

-地域活動を通して人との関わりが増え、自分が応援されていると実感できる場面が増えたり、逆に地域を元気にできる自分の可能性に気づくことができたりした、という感じでしょうか。

そうですね、活動する中で、地域の方に名前を覚えてもらえたというのは大きかったように思います。当時はまだ、高津地区で活動している高校生ってあまり多くなかったので、すぐに名前が広がったというか、地域の方に覚えていただけたというか。地域の方から声をかけてもらって、他の活動のお手伝いに入ることもありましたし、逆に、私の方からもやってみたいことがあるときに口に出してみると色々な方が応援してくれて、実現に向けて力を貸してくれるという感じになってきて、つながりから少しずつ活動が広がっていくのが嬉しかったですね。

地域の大人に育まれてきた幼少期

-高校時代にたくさんの地域の方のサポートを感じながら地域活動をしたからこそ、感謝の念と逃げないマインドが芽生え、今に至るまで活動を続けていらっしゃるんですね。とてもパワフルな鹿野さんですが、幼少期からずっと積極的に人と関わったり、一緒に何かを作り上げたりといったことが好きだったんでしょうか?

元々人見知りで、あまり人と話すのが得意なわけではなかったです。でも、6歳ぐらいから、お父さんが地域のお祭りの打ち上げに連れてってくれるようになったんです。私の場合は、そこでコミュニケーション力を高められたなと思っていて、その経験があってよかったなと。

 

-地域の大人たちの社交場で、地域の人との結びつきを強めていったということでしょうか。

そうですね、お父さんの英才教育でした(笑)おじさんたちがかわいがってくれて、わたしに興味をもって「今流行ってるのはなんじゃ」って、話しかけてくれるんです。最初はあまり話せなかった私も、答えているうちに場が盛り上がってくるんですよね。「地域のおじさんたちって話しやすいな」と思うようになって、同じように話してみようと意識するうちに、コミュニケーションをとるのが楽しいと感じられるようになったんです。

 

-なるほど、そういった経験があるからこそ、高校でも地域の大人と一緒に企画をしようと主体的に行動できたんですね。他にもその頃から地域と関わる機会はいろいろとあったんですか?

そうですね、地域の大人と関わることの多かった幼少期を経て、小学5年生の頃にはもう自治のクリスマス会の企画を任されていました。「買い出しも全部あなたたちで行ってきてねとか人数決めてるから、プレゼントを作ってきてねとか。地域のお祭りでやりたい企画があると口にすると、「どうやったらできるか、予算調べてきてやってみてって返されて。そうやって巻き込んでもらった経験が、今に繋がっているように思います。

大学での学びを地域で実践

-子どもを信じて委ねるスタイルの地域だったんですね。その経験の先に、高校生のころの活動や、大学生としての今があるということなんですね。大学でも地域のことについて学んでいるという鹿野さんですが、大学で学んでいる内容や、大学生活についても教えていただけますか?

はい、私は地域政策学部という学部で学んでいるのですが、地域の課題を見つけ、それに対してどのようなアプローチができるのか、手法を学んで実践することが中心ですだから、地域活動をするときも、大学生になってからは、大学で新たに学んだことを活かしながらやりたいと思うようになりました。たとえば、「こういうチームの作り方がある」と大学で学んだら、それを実際の地域活動に持ち込んで試してみる。それで力をつける、といった学びと実践の繰り返しに挑戦しています。

-地域活動につながる「知識」を大学で学び、それを自身の活動のなかで「実践」する、そのサイクルが、鹿野さんの地域活動をより充実させている印象を受けました。でも、学業と地域活動の両立をしようとなると難しいことも出てきそうですが、両立するうえで大変なこと頑張っていることはありますか?

大変なことは結構あるのですが、一番は時間のやりくりですね。やっぱり益田に住みながら浜田のキャンパスに通っているので、通学時間が結構かかっていて、何か地域活動をしようというときに、企画会議をしたくても、大人の方と学生の自分の両方にとって都合のいい時間に設定するのがなかなか難しいこともあります。結果、夜遅い時間に会議をすることになって、そうなると次の朝がつらいんですよね。それでも、大学に行くとそこで学んだことは全部、地域活動とつながっているので、やっぱり楽しんです。

「やらなきゃ」って思うと、ついつい楽しい気持ちを忘れそうになっちゃうんですけど、今は「やりたい」という思いを大事にしたいと思っています。下の世代にもそういう姿を見せたいし、「大変なこともあるけど、自分がやりたいことができるよ、応援してもらえるよ」って、地域活動の楽しさを伝えて、どんどん一緒にやってくれる人を増やしていきたいです。

私が益田にいる理由・地域活動で感謝を届けたい

-これからの活動について、益田市挑戦てみたいことや、継続してやっていきたいことがあれば教えていただけますか?

大学生になってから新たに「MASUDAご飯」という企画に携わるようになりました。益田の大人と、益田出身の大学生が、楽しく食事を囲みながら交流できたらと思って、高校時代の同級生と一緒にやっている企画です。そうした企画をする中で、学生から大人までがもっと関われた方がいいなと、あらためて感じるようになりました。小学生から大人までが、一緒に楽しく話せたり、一緒に何かに取り組んだりできたらなと。私自身が幼少期からそれで世界を広げてもらってきて、今につながっているので。は、どうすれば多様な世代の人たちが楽しく関われるかを考えて、あれこれ策を練っているところです

「第2回 MASUDAご飯」の様子

-これから鹿野さんがどのような仕掛けづくりをしてくるのか、とても楽しみです。応援しています。

ありがとうございます。就職も益田でしたいと思っていますし、たぶんここでずっと地域活動をしていくと思うので、これからも何かやろうとなったら気にかけてもらえると嬉しいです。

 

-同世代の中には、進学や就職に際して、益田を出るという選択をする方もいると思うのですが、鹿野さんが益田での地域活動を続けたいと考えるに至ったのはどうしてでしょうか。

そうですね、都会も面白いと思いますし、都会に行ってみるという選択肢も思い描いたことはあったんですが……。これは私の考えですが、都会の面白さって、遊びに行けば感じられるんです。単発でも行ったら、その時、その場で、華やかさや楽しさを味わえる。でも、田舎の面白さを本当に感じようと思ったら、そこに「いる」というのが一番で。地域の一員としてこの地に「いる」からこそ感じられる面白さを逃したくなくて、そう考えた時から、「益田に残る」の一択になりました。

また、この地で地域活動を続けたいと思う理由として、一番大きいのは「恩返しをしたい」という気持ちです。最初にお話したように、地域活動をすればするほど、いろんな人に支えてもらっていることに気づいて、感謝しないといけないな、という思いが強くなるんです。高校時代の活動もそうだし、幼少期のこともありますから。見えているところはもちろん、見えないところでも、本当にたくさんの人に関わってもらっているはずなので。恩返し、という言葉がふさわしいかどうかはわかりませんが、やっぱり私は行動して感謝を伝えていきたい。感謝を伝えるために、益田でできることを続けていこうと思います。

 

-貴重なお話ありがとうございました!

文責:益田市連携のまちづくり推進課
文章:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー

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