初めは北仙道の魅力をどうやったら伝えられるだろうかという話し合いからだった。
北仙道地区の地域自治組織「北仙道の明日をつくる会」
部会の一つである「定住促進部会」は、北仙道への移住定住を目的とした活動を行ってきた。
主な活動は北仙道にある空き家の調査や情報発信、地域内でのイベントの開催だ。
2019年8月。
「待ってるだけじゃ人は来ない。外に向けて北仙道をPRしよう。」
定住促進部会の部会長の渡邊英二さんはその想いで北仙道をPRするためのパンフレットをつくることを提案した。
しかし、いざパンフレットを作るとなっても内容が全然決まらなかった。
「北仙道は人を集められるような観光名所もないからなぁ」
どんなパンフレットにするか悩んでいる中、部会に入っている北仙道へIターンしてきた部会員が、
「北仙道の魅力はひとの温かさと、ここでの豊かな暮らしだと思います。」
と言った。
昔から住んでいる住民にとっては当たり前のことも、地域外の人からすればとてもキラキラして映る。
その言葉を聞くまでは従来のような観光パンフレットをイメージして作ろうとしていたが、観光で攻めるのではなく、少しでも北仙道の魅力である“手作り感”に溢れた豊かさや地域での“ひと”とのつながりが伝わるようなパンフレットにしようと方向性が決まった。
そして、北仙道は観光スポットはあまりないものの、綺麗な景色が多くあるため、景色の大きな写真と北仙道の魅力が伝わる文章のシンプルなパンフレットにすることになった。
「なんのパンフレットか分からなくないか?」というような意見もあったが、まずは地域外の人にアピールするよりも、住んでいる住民自身が自分たちの地域や暮らしを見つめ直すことを目的にした。
その後は地域の綺麗な景色を写した写真を集めたり、表紙の色や紙質などの細部にまでこだわって作り上げた。
パンフレットが完成したのは2020年3月だった。
完成した1,000部のパンフレットが届いたときは何ともいえない達成感があった。
1人でも多くの方にこのパンフレットを手に取ってもらいたいと思うと同時に、パンフレットを作るまでの話し合いがとても有意義であったと感じる。
この活動から当たり前を見つめ直すことの大切さと、北仙道にも魅力が溢れているということを改めて学ぶ機会になった。
北仙道の挑戦はこれからも続く。
文責:北仙道公民館/連携のまちづくり推進課