2022年5月27日 (金)

おしらせ,おしらせ益田のひとづくり地域づくり益田20地区,北仙道

楽しい遊びは地域でつくれる!−「地域活動」という時間をデザインする2人−

心躍る時間。
日々の活力となるもの。
気づけば学生時代から続けていたこと。

よく「趣味」という言葉で説明されるこれらを、

「地域活動」という名目で、地域をフィールドにし、自分だけではなく多くの人と楽しさを創る人たちがいます。

 

「アパートの一室に違和感を覚え、たまたま益田市空き家バンクで見つけた古民家で住み始めてから地域を知り、夢が広がりました」と話す広島からのIターン移住者・田中淳央さんと、同じ地区内で生まれ育ち、地域活動を行う波田篤男さん。

育った環境も、地域との関わり方も異なる二人の間には、様々な共通項がありました。

それは「楽しい遊びを、自ら作ること」、結果として「人と人、多世代間の関わりを生むこと」を大切にするというポリシー。

お二人のそれぞれの視点から「地域活動」の在り方や、可能性を語っていただきました。


今回の主人公
田中淳央さん
北仙道のご自宅兼活動拠点は、今や大切なホームグラウンド。建築士として働く傍ら、地域の可能性にスポットライトを当てる活動、竹灯籠作り・イベントに奔走している、広島出身の若きIターン。伝手もない中、たまたま一目惚れした北仙道地区の空き家を通じて、地域との関わり方や夢を開拓してきた。

波田篤男さん
子どもから大人、高齢者まで楽しめる「遊び」の発明者。押入れは自作のレクリエーション道具でいっぱい。某100円ショップの常連客。北仙道地区に生まれ育ち、古き良き時代から現在にかけて地域・子どもの変化を見つめてきた。


 

自分の楽しいが前提

− お二人の竹灯籠とレクリエーションの活動、それぞれどれくらいのペースで活動されていますか?

 

淳央さん
僕は、毎年8月に行われる一番大きい竹灯籠のイベントの開催に合わせて、休みの日に竹を切りに行ったり、”竹ハウス”で主に竹にドリルで穴を開ける作業しています。ここ最近は、他にも個人的に「竹灯籠をしたい」というお話をいただくようになり、年間大体10回くらい近隣の地域に”灯しに”出向いたりも。

 

篤男さん
50代後半の時にハマった時は、『とにかく恥を掻いてやろう!』っていう意気込みでね、レクリエーションインストラクターの資格をとったりして、講習があったら遠征もしてたよ(笑)少しの暇さえあれば、遊びのネタや知識をとにかく吸収してたかな。

 

− すごい、どうしてそんなに時間もお金もさけるんでしょうか・・・!

 

篤男さん
もう、ただ楽しいと思えるからだよ。そうじゃないと時間もお金もさけないじゃろ。
レクリエーションを通じて、遊びながら色んなことを子どもたちと学ぶ、これが好きだからこそできるんかな。あと、途中から道具作るのに熱中してからは、百均にはよう通った。

 

淳央さん
そうそう、篤男さんの押入れにたくさん自作のボードゲームがしまわれているんだけど、これは大人でもすごい楽しいんだよ!

 

篤男さん
一番最初は北仙道の子ども会の手伝いをしていたんだけど、それがきっかけでレクリエーションに興味を持ったんよ。最近、老人ホームにもワークショップをしにいくようになってから、やっぱり遊びに年齢は関係ないんだな、と思ったよ。

 

淳央さん
僕がやってる竹灯籠も、自分がやりたいからやる』が前提だし、それにみんなで作るのが楽しい、ってこともあって。楽しいと、自然と大人も、子どもも集まるんだよね。最終的なゴールとしては、やっぱり夜点灯したら綺麗、とか、色んな人に鑑賞してもらえる、っていうこともすごく大きいのは確か。でも、それまでの作る過程が、もはやみんなの遊びになってるんじゃないかな

 

− なるほど!あくまで楽しさの主語は自分。でも、関わる人の多さや世代の幅が広がる可能性は無限大ということでしょうか。

遊びと学びの関係

− お二人からは、集まるのは世代関係なく、というお話を伺っていましたが、とはいえ写真を見てみると、地域の子どもたちが中心にいるという共通点もあるのかな、と思いました。

 

淳央さん
そうだね。一番最初に僕がこの地域に住んで初めてやった活動は、物置になっていた公民館の一室を”みんな”が集える場所にリノベーションするっていう企画だった。僕はその時、子どもたちに完成品を提案するんじゃなくて、模型を作って持っていってみたの。今度は、子どもたちがそれを土台にして、色々参照しながらレイアウトを作るところからやっていって欲しくて。

 

 

− 彼ら彼女らの人生も考えた上での、関わりしろを全て含めた”設計”だったんですか?

 

淳央さん
建築をやる上でも、家の設計にはその依頼者の人生設計、多くの場合は子どもの育ち方にも関わってくる。普段からそうやって考えてたからか、仕事外の活動においても、子ども中心に考えるっていうのを自然にできたかな。

 

篤男さん
例えば、班を作って、いつもヤンチャするような子にリーダー的役割を与えると、全然普段とは違う表情を見せたり、急に振る舞いが変わるよね。失敗したり、怪我をしたりすることもあるが、それも丸ごと信頼するっていうのが、大切だと思っとる。でも、叱る時は叱る。

 

淳央さん
そうそう、僕が子どもたちに任せている場面で作業にならなくなってくる時は、篤男さんが引き締めてくれたりすることも多いです。進めていくと、だんだん僕がそこにいなくても、子どもたちの中で継承されていくんだなって気づいたかな。


− つまり、一見楽しそうな活動でも、実は、子どもたちにとって単なる遊びではなくなっていくと・・・?

篤男さん
そもそも遊びって、学びと一体だったもの。それは、遊びに主体性があったからなんだけど、これまでずっと子どもとの遊びに関わってきた数十年で、それがどんどん失われていってしまった。だから、大人側があえて手を離すというのは、遊びに本来あった主体性を取り戻すための工夫なんだ。

 

淳央さん
みんな、役割がそれぞれ分かれば、主体者意識を持って、やってくれるもの。今までは全部自分でやろうとしてたり、子どもたちとの関わり方って分からなかったけど、規模が大きくなるにつれて、信頼することや、指示をする側に立つことの大切さを、地域活動を通して教えてもらったなあ。

今度は関わりしろを作って種をまく番

− 信頼すること・・・。そうはいっても、大人として、リーダーとして責任を持つこととのバランス感覚は、なかなか実践しないと身につかないようにも思います。

淳央さん
でも、考えてみると、僕がこうやってどんどん地域活動なるものをやるようになったきっかけって、僕自身が”頼られたこと”なんだよね。北仙道に引っ越して数ヶ月目に、公民館長にリノベーションの件を依頼された時って、実際は、予算だけ預けられて、打ち合わせとか発注も全部丸投げだったんだよ(笑)なんでそんなに見ず知らずの移住者に投げられるの?って、不思議に思いながらも、そうやって信頼してくれたから、純粋にやりたい!と思えた。


− なるほど。その実体験が、全ての根拠になっているんですね。

篤男さん
ただ、そうやって踏み切ってリーダーシップを取れる人は、僕も含めて、地域にはなかなかいないだろうなというのも本音。やっぱり、やってみんと分からんから、移住者の人に協力してもらえないか声をかけてみよう、っていうのは、なかなか勇気がいることだなっていうのは、今でも思う。

 

淳央さん
でも、やっぱり原動力ってそこなんじゃないかなって思うんですよね。”楽しい”はもちろん前提。その上で、関わってくれた人、特に子どもたちや地域に何らかの変化が見えるのが嬉しかったり、毎回予想以上の出来事が起きることが楽しいのもあって、これまでの4年間続けられてると思います。

− 様々な人との関係性の上で、頼り頼られ、常に化学反応が生まれる時間。
こういった活動がご自身に与えた影響はありますか?

 

淳央さん
活動で子どもが関わると起こる想定に対して、ルーズっていうか、『そんなに全部きっちりじゃなくていいんだな。逆に、みんなで作ったら想定外の化学反応を生むんだな』、って思えるようになった。

 

篤男さん
そういう意味でも、子どもっていうのはやっぱりすごい。僕らがどんなに頭ひねらしても、思いつかないことも、子どもたちはすぐに考えついちゃう。そうやって、大人たちが何かを指導するばっかりじゃなくて、子どもたちから”学ぶ”ことはすごく多いよ。

 


 

”ボランティア”、”地域教育”、”社会教育”でもない、新しい活動の在り方としての”地域活動”。

 

地域をフィールドにする以外には特に決まった定義がなさそうなこの言葉にこそ、無限大の可能性を感じる対談となりました。

 

移住者、地元の方も関係ない。
自分の楽しいを前提にして好きに活動をアレンジできる余白。
そして、関わる人によってさらに膨らむ予定不調和性。

 

これらはきっと、地域をホクホクと醸成し続けるための大切なヒントでもあるのではないでしょうか。

 

 

 

取材:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市連携のまちづくり推進課

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