過疎発祥のまち、島根県益田市。この100年間で6回もの合併を繰り返して、21町村が集まってできた、大きなまちです。
だからこそ、地域づくりのあり方も多様です。
2021年4月には、市内の20地区全てにおいて「地域自治組織」が設立され、それぞれの地域の特色を活かした地域づくりが行われています。
今回の記事では、益田市の「地域自治組織」とは何か、どのような役割を担っているのか、紹介していきます。
国の制度の一環として推進
益田市では、2014年から地域自治組織の構想が始まりました。
実は益田市だけが独自で行っている活動ではなく、元をたどると、総務省が提案した取り組みの一環として推進されています。
総務省では、「地域運営組織」と呼ばれており、「地域の暮らしを守るため地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域内の様々な関係主体が参加する協議組織が定めた地域経営の指針に基づき、地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する取り組み」とされています。
少子高齢化が進み人口減少が加速する中で、地域の暮らしを支える人の割合はどんどん少なくなっています。そうした地域では、町内会や社会福祉団体、NPOなどがバラバラに取り組んでも解決することが難しいかもしれません。
だからこそ、地域で暮らす人々や様々な団体の関係者の話し合いにより活動が行われる、調整役となる組織が必要になってきているのです。
(参考:総務省ホームページ)
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益田市における、地域自治組織
では、ここからは益田市においての「地域自治組織」について、ご紹介します。
益田市では、2021年には、市内の公民館単位の20地区全てにおいて「地域自治組織」が設立されました。
益田市は、2015年から「地域自治組織ガイドブック」を作っているので、その内容に沿って説明します。
益田市では、従来から、既にいろいろな各種団体が地域の中に生まれてきています。各地域の地域住民が独自に作ったものもあれば、行政機関のもとで作られたものもあります。行政機関のもとで作られたものとしては、例えば、危機管理課が各地区に自主防災組織を作ったり、子育てや教育に関する部署が子ども会やPTAを作ったりしています。
このように、行政と住民が一緒になり、各種団体を作り、運営を行ってきました。
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ただ、そうした動きの中で課題も生じてきました。人口が各地区においてどんどん減っていく中で、数百人規模の地区も出てきています。そのような状況において、図のような各種団体を運営しようとすると、会長を兼任される方がいらっしゃったり、構成員が被ってきてしまったりします。つまり、これだけの団体を限られた人数で回すということに限界が生じ、住民1人にかかる負担が大きくなってしまったのです。
そうした中で、新たに「地域自治組織」が導入され、地域で活動する様々な団体の調整役を担うということが期待されています。
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(「地域自治組織ガイドブック」より引用)
つまり、地域自治組織とは、地域にある従来の団体に並列で並ぶものではなく、その全体を取りまとめる役割を持っているということです。
そうした役割の組織があることによって、団体同士が協働し、限られた予算の中で効率的に課題に取り組みやすくなります。その地域の特性に合わせて課題を設定し、活動を作ることができるため、自治会等の規模では実施困難で、かつ全市的に取り組むには非効率な課題にも取り組みやすくなります。
実際に益田市でどのような地域自治組織が活動しているのかについては、こちらのページをご覧ください。
お互いの活動について学びあう
このように、地域自治組織において、各地域で特色ある取り組みが作られてきています。一方で、地域性を大切にしながらも、20地区それぞれで推進するだけでなく、お互いの活動を知り、学びあう機会も重要になります。
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益田市では、毎年「益田市地域づくりフォーラム」など、地域自治組織同士が学びあい、意欲を高めるための場も作られています。
▼昨年度の様子
今後とも、行政と地域自治組織、各種団体が協働し、より良い地域づくりを推進できるよう、住民の皆さんのご協力をいただければ幸いです。
文責:益田市連携のまちづくり推進課
文章:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー