地元産の素材を使ったわんちゃん・ねこちゃんにとって安心なおやつを手作りして販売されている方がいます。益田市内だけでなく、広島、萩、田万川・・・中国地方の各所で行われるマルシェにも積極的に参加されているペットのおやつocomaru(オコマル)さん。
そのocomaruをお一人で切り盛りされている城市里美さんに始めたきっかけや、名前の由来、大切にしていることなどを教えてもらいました。
ペットのおやつocomaruさんのInstagramはこちらです。
自分にも何かできないか悩んで悩んで苦しんだ4年間
-はじめられたきっかけはなんだったんですか?
きっかけは子どものことです。
長女が小学校3年生ぐらいから不登校になって、ずっともやもやしながら働いていたんですけど、そうこうするうちに、3番目の子も不登校になって。色々と詳しい検査とかもして、これは仕事してる場合じゃないなと思って仕事をやめました。
でも、やっぱり働かないと生活は苦しい。なんとかしないとっていう思いもあって、もう本当に苦しんで苦しんで、実質4年くらい悩んでたんですけどね。ようやく去年の春ぐらいかな。
家で犬を飼っていて、その子のご飯を作ったりしていたんです。
それで、私、わんちゃんの手づくりのお菓子を作れるんじゃないかってふっと思ったんです。
思いつきというか、そういう感じで。
まずは、クッキーから始めました。
そこからドライフード作りたいなって思ったときに、母が、機械は用意するからやってみんちゃいって背中を押してくれたんです。それで今に至るんですが、いろんな人の力を借りて今までやってきました。
いま思うと、子どものときから自分で何かしたいっていう思いがずっとあったんです。
きっかけがどうであれ、これがいわゆる夢が叶ったってことかなと思っています。
-以前はお勤めされていたということですが、出身は益田で、ずっと益田で働いていたんですか?
いいえ。高校卒業で関西にでました。10年くらい関西にいて29の年だったかな、会社の都合で退職しないといけなくなって、少し疲れもあったので益田に帰ってきました。
ひととのつながりの中で私はできている
-生産、販売、営業とすべておひとりでされていますが、前職が営業などのお仕事だったんですか?
全然違います。関西にいたころの知り合いに、小さくても起業されている方が多かったんです。
それを見てたので、負けてられないなって思って。動くなら自分の足で動いて取って、打ちひしがれることもあるけど、そんな時があるから強くなっていくんだって思ったんですよね。
それに本当に面白いんです。どきどきが止まらない。
打ちひしがれるときもあるけど、やった分は全部自分にかえってくる。
実際に、マルシェでいいですねって言われたら、やっぱり嬉しいんですよ。
関西に出て益田に帰ってきて、ずっと考えていたのは、ひととのつながりで私ってできてるなってことです。
自分が動けば周りも理解して動いてくれる。やっぱり大切にしないといけないのはひととのつながりかなっていうのがあります。
ocomaruっていう名前もそうです。うちの犬がおこげっていう名前ですけど、おこげが家に来てくれて、点だったものが線になって、少しずつ円(縁)になっていって、だからocomaru(オコマル)って名前にしたんです。まだ完璧な丸ではないけど、あの子がつないでくれました。
主人がいて子供がいて、周りのバックアップもあってですけどね。
-印象に残った出来事があれば教えてください。
美都の道の駅に納品に行った帰りに、美都温泉まで行ったら、犬の絵が描いてある車があったんです。すごく気になったので、その車の方に声をかけて、名刺渡して、こんなことしてますってお伝えしたことがあったんです。
そうしたら、忘れたころにメールがあって、あのときに名刺交換したもので、実はわんちゃんの動画を募集して順番つけていこうと思うので、その景品を作ってくださいっていうお話だったんです。本当にびっくりしました。
それ以降、毎月景品として商品を松江に送っています。
ほかにも兵庫の方がわんちゃんのイベントしているんだけど、魚って珍しいからよかったら出してみないかと声をかけてくださったこともあります。
保育園のお母さんがocomaruって知っていたけど、城市さんだったんだって驚かれたり。それで、城市さんなら買うわって言ってくれたこともありました。
やっぱり嬉しいですね。
伝えるなら自分の言葉で、それが売るってこと
商品を持って行って売ってあげるよって言ってくださる方もいました。
だけど、これまで自分の言葉でしゃべって売ってきたから、人に託すのはまだできない。
自分が作った商品をお客様に自分で説明するまでが売るってことだと思っています。
-自分自身の言葉で商品の説明をすることを大切にされているんですね。
記憶力はあまりよくないので名前とかあまり覚えられないんですけど、なるべくお客様とは話すようにして、理解してもらって買っていただくようにしています。
話しているとやっぱり嬉しい言葉をもらえます。
嫌な言葉もたくさんありますけど、そこはあまり気にせず、100人いれば100人の考えがある、いい言葉だけ吸収しようって思っています。
-これまで取り組んでこられて、苦戦したのはどんなことでしたか。
ずっと苦労しているのが、自分の気持ちを持ち上げることですね。いまでもできないです。
気持ちが落ちていってしまったときに自分を取り戻すまでが、つらい。
でも、そういう時は土をさわるようにしています。家に畑があるので主人と一緒に土いじりをするんです。鳥の声とか自然の音を聞いていると、生きてるなって感じるんですよ。それがいいリフレッシュになっています。
目標は達成できた、だから続けていくことを大事にしたい
-今後の目標はありますか?
ひとりでやってるので、そこまで大きくしようとは思っていないんですけどね。
でも最近すごく思うのは、やっぱり地元の人を優先にしていきたいなっていうことです。外へ出ることもいいですけど、市内や島根県内でもうちょっと活動できるようにしたい。
あとはネット販売ですね。
まだ仕組みは作っていないんですけど、インスタグラムなどで連絡をくれた方で、送料、振込手数料などの負担を理解してくださる方に少しずつ送っています。
何かをしたかったっていう目標は達成できたけど、これからはできる範囲でずっと長く続けたいなって思っています。
そのためには、お客様とのつながりを大切にして、いいものを同じようにコンスタントに届けられるようにしたい。ちょっと浮気されても、やっぱり城市さんのがって思ったときに帰ってこれるように頑張っていきたいですね。
-貴重なお話ありがとうございました!
文責:益田市産業支援センター