2022年3月31日 (木)

仕事,UIターン者サポート宣言企業益田20地区,東仙道

求められた品質を守るために。 「24時間365日の安定供給に向けた仕組みづくり」に取り組む島根中井工業とは。

昨今、製造業における品質不正問題により、
企業の信用問題に発展するケースが多くなっている。

安心・安全だと思っていた製品に不具合があったとなれば、その製品を使用・利用していた消費者の中には、使い続けたり、購入したりするのを躊躇ってしまう人もいるのではないだろうか。

時代の変化に対応する形で、 “蒸着技術” を活用したフィルム製造やハードコートフィルムの製造などを行っている島根中井工業株式会社は、現在行っている構造改革の中で、品質レベルの向上に一段と力を入れている。

中井工業グループの製造の大部分を担う、島根中井工業の島根工場で工場長をされている太屋岡 啓二(たやおか けいじ)さんに、この会社での事業内容やものづくりに対する思いをお聞きしました。


真空蒸着の技術を最大限に活用して

太屋岡さん 昭和43年6月に県の誘致企業として、前身の中井産業が美都町(現:益田市)に立ち上げられ、島根中井工業自体は、昭和63年10月に設立されました。

当社は、プラスチックフィルム(薄膜フィルム)に付加価値をつける仕事をしています。一つは、真空蒸着による薄膜フィルムの製造、もう一つは、コーティング・印刷によって、製品に付加価値・機能性を持たせることです。

※真空蒸着
真空中でアルミや銀などの金属や金属酸化物などの成膜材料を加熱し、溶融・蒸発または昇華させ、基材や基板の表面に蒸発、昇華した粒子(原子・分子)を付着・堆積させて薄膜を形成すること

太屋岡さん 蒸着やコーティングは、各設備を3~4名のチームにわかれて作業します。作業にあたっては、各人が基準や手順を遵守した上で行動することを重要視しています。


スマートフォンのバックライトユニットや、スナック菓子の包装袋、雑誌・お酒のラベルの文字部分に蒸着の技術が使われていたり、机や家具の表面材には傷を防止するコーティング技術が使用されていたりと、蒸着やコーティングはわたしたちの日常生活にも馴染み深いもの。金属や樹脂の特質を踏まえながら、お客さまの用途に応えているそうです。

お客さまと決めた品質を守る

島根中井工業の島根工場には、現在125名の社員が働いており、
島根中井工業全体では、193名の社員が在籍している。

中井工業グループは管理部門・営業部門・技術開発部門を行う中井工業株式会社と、製造部門を担う島根中井工業に分かれており、開発部門で企画・開発された製品を、島根中井工業の島根工場で製造しているという。

太屋岡さん 開発部門とは密に連携を図り、24時間365日安定的に製品を供給できるよう、技術部門と協働で製造の基準や手順のレベルアップに取り組んでいます。曖昧な点があれば、その都度相談をし、問題解決を図っており、「お客様と約束した品質を守り抜く」という意識を常に共有しながら行動しています。

滋賀県草津市にある工場(島根中井工業ナカイテクノ事業所)とも連携を図り、製造の基準や手順にとどまらず、物流の安定化などの観点からも、レベルアップしようと励んでいます。

「品質」はお客さまと約束した規格なので、求められている品質を守り抜くことは極めて重要なことです。営業部門は、お客さまの求めるニーズをお客さまとすり合わせ、開発部門はそのニーズを満たすために、製品を開発します。我々の工場は、開発される製品の品質を常に守り抜けるようにする。お客さまと約束した品質を24時間365日守るために、我々がレベルアップすることはもちろんですが、自社が守り抜けない品質については、お客さまに変更をお願いすることもあります。

いいものをつくるというのは、お客さまと約束した品質を守ること。それ以上でもそれ以下でもいけない。決められた品質を守ろうと、全社的に構造改革を進めています。


お客さまと約束した品質を守ること、お客さまが求めた品質に応えるために、この2年で行動指針が改定されたという。

「中井工業グループの6つの行動指針」
・団体戦(=全体最適に徹する)
・完成基準・作業手順に徹する
・一人二役にチャレンジする
・同時実現にチャレンジする
・トライアル&エラーに徹する
・違和感を放置しない

会社の利益をみんなで作ることを意識するため、この6つの行動指針を大事にしながら、24時間365日安定供給するために、誰もが等しく作業をできるような仕組みを整えていこうと取り組んでいるといいます。

太屋岡さん 器用な人や要領がいい人、物覚えがいい人もいれば、不器用な人や要領があまり良くない人がいます。ですが、このままだと仕事のばらつきが大きくなってしまいますよね。

工場としては、誰が作業をしても安定供給できることが理想なので、従来からの手順や仕組みをレベルアップすることに取り組んでいます。それにより、担当者によるブレが少しずつ減少してきたように感じています。

行動指針の「一人二役に徹する」のテーマに関しては、繁忙期になると、設備によって業務量のバラツキが生まれてしまい、一つの設備しか扱えないと、場合によっては仕事がない状態になってしまいます。それが課題だったので、複数の設備を扱えるようになれば、業務の集中が起こった時にも対応できるようになりますよね。なので、今後は、人員の積極的な配置換えを行い、各人が多くの設備を担当できるようにレベルアップを図ろうと考えています。


決められた通りに動けるから、違和感にも気づくことができる


24時間365日、お客さまが求めている品質を逸脱してはならず、品質のブレがないようにすることを大切にされています。そのため、この会社で働くとすれば、基準や手順、規則どおりに行動できる人であってほしいと太屋岡さんはお話しされます。

太屋岡さん 決めた通りに動くというと、誤解が生まれそうですが、言われたことだけやっておけばいいわけではありません。決めた通りにやるからこそ、狙った結果が得られなければ、何かブレがあることが分かります。そのブレを修正していくことで、仕事の精度を上げることができます。なので、まずは基準通りに仕事をしてもらい、ズレが生じた時に抱いた違和感を周囲へ発信してほしいなと思います。

蒸着の技術とコーティングの技術、それを合わせたコンポジットの技術が同時にできている企業って、日本でもごくわずかしかない。それが島根中井工業の強みだと思います。それを活かしながら、その強みをお客さまに伝えていくことも忘れずにいたいです。


インタビューの最後に、これからのビジョンをお聞きしました。

太屋岡さん 24時間365日、お客さまとの約束を守る。そのために、計画通りに行動して、決めた通りにものづくりできる工場を作る。その一歩目として、分かりやすくレベルの高い基準や手順を作り、誰が担当してもブレない組織づくりをしたいです。そして、生産量が増えたとしても、対応できるよう一人二役を担い、仕事ができるような組織を実現していきたいと考えています。

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「益田市UIターン者サポート宣言企業 宣言内容」(島根中井工業株式会社)
①若年者を対象としたトライアル雇用を実施します。
②新規採用の従業員が気軽に悩みを相談できる窓口を設置、サポートしていきます。
③育児・介護休暇が取得しやすい環境づくりに努めていきます。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市 連携のまちづくり推進課

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