2021年3月25日 (木)

仕事,UIターン者サポート宣言企業

きこりの仕事を広めるための挑戦

益田市UIターン者サポート宣言企業 企業紹介
伸共木材協同組合

伸和産業株式会社を中心に7社が集って作られたのが、伸共木材協同組合です。
「後継者不足が叫ばれている林業において、若い世代を育成しなければいけません」と語るのは、伸共木材協同組合で理事を務めている篠原 卓己さん
今回は、篠原さんに伸共木材協同組合の取り組みについてお話を伺いました。

素材生産に特化して事業展開

篠原さん 山から木を切って、その木から作られたチップの材料を伸和産業に納入することが主な仕事です。木を集めるための方法として、架線集材という方法があります。

架線集材は、ゲームセンターのUFOキャッチャーのイメージをしてもらえればと思います。集材機を操作して、材木を吊るして運ぶ滑車(搬器)を木材の集積場所(土場)から伐採現場に向かわせ、伐採された丸太状の材木をワイヤーに結び、土場まで搬送するのが架線集材です。

伸共木材協同組合は、素材生産事業に特化しており、山林の購入などの営業活動は組合員である伸和産業株式会社がやっていると篠原さんは話します。

篠原さん 保育や素材生産・建設伐採など、林業1つとっても色々な仕事がありますが、弊社は素材生産に特化をしています。私たちはぶれずに素材生産のみをやってきたので、その点は強みにつながっているのではないかと感じています。

ある時期に木材価格が下落した影響で安定した素材生産ができず、経営的に厳しくなったことがありました。そんな状況下でも、素材生産事業を続けていく中で、時代が変化し「木は伐採しましょう」という時代となりました。

その時は、木を伐採できる会社が少なかったことで、競合先も少なく、弊社には全国的に廃っていた架線集材の技術が残っていました。そのため、全国から視察に来ますし、農林大学校で架線を張る技術の講師を弊社の統括班長が来年度から務めることにもつながりました。

ブレない信念と高い技術力によって、厳しい林業界の中でも生き残り続けている伸共木材協同組合。一方で、林業従事者の獲得には苦戦しているようです。

篠原さん 他の産業と同じで、林業は若返りが間に合っていないと感じます。
この仕事は、やる気さえあれば出来ることが多いと思います。建設機械を扱ったり、集材機を使ったり、誘導して材木を吊るなどその人の持っている能力が偏っていたとしても、能力を生かせる場面はあります。そのため、やる気がある人であれば、いつでも歓迎しています。

とはいえ、昔の育成方法のままではオールマイティに仕事ができる人を育てるのは難しいので、今の時代にあった形でまずは1つでもできることを作り、それを早い時期から経験させられたらと考えています。

自然の奥深さにハマった

ここまで会社のことについて篠原さんに伺いましたが、次に篠原さん自身がなぜこの会社に入ることになったのかを尋ねました。

篠原さん 私自身は他の会社に就いていたのですが、この会社の創業者である私の祖父から孫世代の私たちに「誰かこの会社を経営しないか」ということを言われたんです。その当時、私は働いていた会社が自分と合わず、ここで働きたくないと思っていました。そのため、これもタイミングなのかなと思い、この会社に就職することになりました。

それまではほとんど林業については何も知らなかったので、最初は社員との関係構築や仕事を覚えることに苦労しました。しかし、時間が経つにつれて林業が好きになり、仕事自体も楽しくなりました。

それまで働いていた会社から未知なる世界へ。
林業の楽しさに気づいた篠原さんだからこそ感じる、林業の好きなところや面白いところはどういったところなのでしょうか。

篠原さん 田舎の中でも特に、自然に触れられる環境が好きなんですよね。
普段の仕事の中に山の調査があるのですが、先輩の影響を受けて山野草に興味を持ちました。実は、前職時代は年度またぎで色々なトラブルが起きたり、営業成績を残せず怒られたのが印象に残っているためか、春が嫌いでした。しかし、それが今は、季節ごとの山野草や動物たちに触れる経験を通じて、春が1番好きな季節になりました。

以前は人が作ったものを右から左に売ることが仕事でしたが、今は自然が作ったもの(木)を苦労しながらも切り出し、新たな形で使われていることに喜びを感じています。

林業に関わる人を増やすために

この仕事を通じて、季節を感じるようになったという篠原さん。
一度は益田を離れた経験を持つ篠原さんに、益田で仕事をする良さをお聞きしました。

篠原さん 土地柄や人柄を含めた、この街の空気感が私は好きです。林業的な観点だと、取引先の工場の多くが会社と比較的近い距離にあることで、木を余すことなく活用できますし、この地域は島根県内でも有数の資源量を誇っているいい場所だと思います。

益田周辺は、人工林率が低く天然林が多い地域です。
天然林が多いのは海や川の豊かさにつながるので、この環境を保っていきたいです。

今後も変わらぬ環境を守りつつ、木材の生産を行っていく上でも人材確保が求められています。そこで、人材確保のためにできることはやっていく方針の下、UIターン者サポート宣言企業への登録を決められた伸共木材協同組合。

インタビューの最後に伺ったこれからのビジョンでも、情報発信を強化したいという思いが垣間見えました。

篠原さん まだまだ林業の仕事や魅力が伝わっていないと感じていますし、林業は特殊な仕事ですが、この仕事に向いている人は絶対にいると思っています。そのため、今後は情報発信を増やし、多くの方に林業や木材業界のことを認知してもらえるように頑張りたいです。

これからの時代は、都会に行くことが全てではなくなると考えているので、様々な人から選んでもらえる仕事にするためにも待遇を整え、仕事の面白さを伝えていきます。

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伸共木材協同組合
〒699-5126 
島根県益田市隅村町623番地2
TEL 0856-25-2333  
FAX 0856-25-2907
HP https://shinkyo-mokuzai.com/

益田市UIターン者サポート宣言企業 宣言内容(伸共木材協同組合)
①大学生や若年求職者を対象としたインターンシップを実施します。 
②「能力評価システム」を活用して人材育成に努めます。 
③平均年齢(35歳)の若い仲間で新入社員をサポートします。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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