2021年2月5日 (金)

仕事,UIターン者サポート宣言企業

レーヨンを通じて、暮らしに身近な存在に

UIターン者サポート宣言企業 企業紹介 ダイワボウレーヨン株式会社

皆さんは「レーヨン」という素材をご存知でしょうか。
実は、日常生活で使っているものや身につけているものにレーヨンは使われています。
「真実と公正」「迅速と完結」を経営理念に掲げ、私たちの暮らしを支える素材メーカー「ダイワボウレーヨン株式会社 益田工場」の紹介を工場長の林 誠さんにお話しいただきました。

レーヨンは様々な商品の原料に

林さん 昭和9年に出雲製織株式会社(当時)が出雲人絹工場として益田に工場を建設しました。その後、昭和11年に工場の運転を開始し、昭和16年に錦華・日出・和歌山・出雲の紡績4社合併し、大和紡績石見人絹工場として誕生。
現在は、分社化してダイワボウレーヨンという名前で17名の本社従業員と156名の工場従業員が4組3交代(80名)で働いています。

今年で工場操業から85年目の歴史のあるダイワボウレーヨン。
そもそも、社名にも入っている「レーヨン」とはどんな材料なのでしょうか。

林さん 木材の中にあるセルロースを精製して、セルロースの純度を上げた溶解パルプにします。そのセルロースを様々な化学薬品と水を使用し一度溶かし(原液工程)、溶かしたもの(ビスコース)を再び細いノズルから押し出し繊維にします。

その後、紡糸したものをお客様が使いやすい形に洗浄等を行い、乾燥工程へと続いていきます。ビスコースを繊維状にしたものがレーヨンです。

ビスコースは私たちの生活でよく使うセロハンテープの原料になっており、そのほかにもサラミソーセージのケーシング材にも使われているそうです。

林さんにレーヨンが日常生活のどんなところに使われているのかをお聞きしました。

林さん 紡糸工程はお客さんが使いやすい形にするための工程として、カット長や繊維の太さなどを調整し、不織布メーカーや紡績メーカーなどに提供しています。

乾燥した綿(ロング)は、ニットや織布といったアパレル向け、シーツやタオルケットなどの寝装リビング、さらにはワイパーやコスメ用などの生活資材に使われています。一方で、湿式の綿(ショートカット)は障子紙や粉塵フィルター、お茶パックなどのウェットレード不織布に使われています。

レーヨンの特徴についてもお聞きしました。

林さん レーヨンの原料がセルロース(パルプ)なので、環境に優しく、生分解性があります。また、レーヨンはいろいろな合繊と混ぜて使用されるのですが、合繊に吸湿性がないため使われることが多いんです。例えば、ウエットティッシュに使われています。ほかには、染色性が良いことや堅牢度が高いこともレーヨンの特徴です。

使われる用途によって、ダイワボウレーヨンの役割は変わるそうで、不織布向けの場合は、レーヨンをそのまま不織布にし、問屋に卸す。一方で、糸を紡いで服を作る場合は、原綿を他素材と混綿し紡績糸にして、織布・ニットにして生地となり、染色・問屋を経て小売業者にいくそうです。

まさに、川上の部分を担うからこそ、社名はあまり表に出ませんが、
ダイワボウレーヨンがあるからこそ私たちの暮らしは成り立っているのかもしれません。

日本国内でレーヨンを作る唯一の会社として

次に、益田工場で働く林さんにとっての「益田で働く良さ」についてお聞きしました。

林さん 主原料が溶解パルプなので、その原料が近くの江津から手に入りやすいということ。あとは、レーヨンを作る上で必要な化学製品も供給元の下関や北九州から近く、水も豊富なので、工場を運営する上で必要な環境が整っている場所だと思います。

私自身も環境面が益田で働く良さと捉えています。
若い頃は、遊びたいという気持ちもありましたが、それ以上に海の幸が美味しいですし、生活するにはいい場所ですよね。

ダイワボウレーヨンで働く中での、林さんの仕事のやりがいに迫る中で、日本のレーヨン市場についてのお話まで広がりました。

林さん 日本におけるレーヨンは、1960年くらいまで12社ほどありました。
ただ、時代の変化によって今は、国内で私たち1社になりました。
私たちがなぜ生き残れたのかは、資材用の防炎・難炎レーヨンといった差別化商品の開発や新しいことをやろうという思いがあったからだと思います。

世界規模ではレーヨン市場は右肩上がりの産業なのですが、通常のレーヨンを作っていても日本国内でやっている意味がないということで、差別化をしています。私は差別化する素材を担当している部署になるので、それが世の中に出たり、ある程度の数量を皆さんに使っていただくのが私のやりがいです。

衣食住に関わる仕事に魅力を感じた

林さんが化学の分野に興味を持ったきっかけやこのダイワボウレーヨンに入社したきっかけについて話を伺いました。

林さん 出身が長野で、大学で繊維関係の学問を専攻していたため、紡績関係の仕事ができる大和紡績に入社しました。入社後1年半してから益田工場に配属になり、そこから今まで益田で働きはじめて29年になります。益田に来てからは、ずっと開発の仕事に携わっています。

当時からいろいろなものを開発させていただきましたし、開発したものが市場に出てお客さんに評価してもらうところに魅力を感じています。

繊維関係の仕事に興味を持ったのは、衣食住が人々の生活で重要な分野であると言われてきたからだそうです。

暮らしと社会を考え続ける

そんな林さんは工場の関係で益田に移り住んだIターン者。だからこそ、UIターン者に対する思いは強いと話します。

林さん 益田の高校を出て益田に残る人はあまりおらず、大阪や広島・九州に出ていく人が多いです。益田の地に工場がありますし、住みやすい環境が益田にはあるので、UターンはもちろんIターンの方に来ていただきたいという思いでUIターン者サポート宣言企業に登録することにしました。

ここ最近、ダイワボウレーヨンに入社された方の中にも様々な土地から益田に移住してきた方も多いそうです。

UIターン者サポート宣言の内容にある「ファミリー制度」について、さらには今後一緒に働きたい人物像についてお聞きしました。

林さん 新しく入ってきた社員に対して、元々いる社員が家族のような関係で日々話をしながら、技術や組織文化を伝えていく仕組みです。それを通じて、伝える側の社員も色々と覚えますし、教わる側もファミリーから教わることで、堅苦しさを感じずに自社について学べると思います。

大人しい方が多いので、自分のことをはっきりと話してくれる方や元気でハキハキした活発な方と仕事がしたいですね。

レーヨンという素材は人々の生活を支える存在だと今回の取材で感じました。
そこで、自社の魅力を今後どのように多くの方に届けていきたいのか、林さんにお伺いしました。

林さん 繊維業界にもいろいろな課題がありますが、中でもマイクロプラスチック問題があります。レーヨンはセルロースでできているため、環境に優しい製品とアピールしているものをここで開発しています。益田の人でダイワボウレーヨンのことをまだ知らない方に、日々の暮らしのいろんな場面にダイワボウレーヨンが関わった商品が使われていることを知ってもらえれば親しみを持っていただけるかなと思います。

最後に、これからのビジョンをお聞きしました。

林さん 国連が提唱しているSDGsがありますが、セルロースのリサイクルの観点から環境問題・CO2排出の部分に携わる仕事やレーヨン以外でSDGsに貢献できる製品の提案をしていきたいです。

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ダイワボウレーヨン 株式会社
〒698-0036
島根県益田市須子町3番1号
TEL 0856-31-0550
FAX 0856-22-8930

益田市UIターン者サポート宣言企業 宣言内容(ダイワボウレーヨン)
①新入社員の定着・育成を目的としたファミリー制度を導入。
②若年求職者を対象としたインターンシップを実施

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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お客様に満足のいただけるサービスを地域の人へ。

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