2024年7月19日 (金)

益田のひとづくり益田と関わりたい方,私にとっての益田益田出身の方

「恩師のライフキャリア」東陽中学校 大島功央先生

恩師のライフキャリアシリーズでは、益田市でいきいきと生活されている教員の方を紹介し、自分なりの豊かな暮らしについて考える機会をお届けします。今回紹介するのは、東陽中学校の大島功央先生です。

益田市立東陽中学校は、益田市の北東部に位置する公立中学校です。昭和51年度に3つの中学校が統合されて、現在の位置に「東陽中学校」として新設開校され、平成31年(令和元年)度には学校再編により、鎌手中学校と統合しました。このような経緯から、校区がとても広いことが特徴で、その中には200万株を越える日本水仙が花開く「唐音水仙公園」も含まれています。

東陽中学校では「鍛える つながる 挑戦する ~私もみんなも 幸せになれる 東陽中学校~」を教育目標に掲げ、地域の方と連携しながら、日々の教育活動にあたっています。

今回は、東陽中学校の大島先生が、どのようなライフストーリーを歩んでこられたのか、お話を伺いました。

読書と理科にのめり込んだ学生時代

-最初に、自己紹介とこれまでのご経歴を教えていただけますか。
大島功央です。東陽中学校で理科を教えています。出雲市大社町の出身で、JRの旧大社駅の近くで生まれ育ち、小中高と学生生活を送りました。その後、島根大学の教育学部に入学し、教員になりました。

-出雲市のご出身なんですね。学生時代のことをもう少し詳しく聞かせてください。
小学生の頃は、ちょっと体が弱かったこともあり、運動が苦手な子でした。小学校の3年生の時に交通事故にあって、1ヶ月半ぐらい入院したんですよね。その時はとにかく、お見舞いに持ってきてもらった本を読みあさっていましたね。もともと結構読んでいる方だったと思いますが、入院中はとにかく読書三昧でした。怪盗ルパンシリーズとか、ファーブル昆虫記とか。

中学校に入ると、星新一作品にはまってSF小説を多く読むようになりました。アニメや特撮、SF映画も好きで、中学を卒業する頃には立派なオタクになってました(笑)

-部活動は何か入っていらっしゃったんですか?
中学の頃は理科部に所属していました。「電気」とか「植物」とか、部のなかにグループがあり、私は「電気」のグループでアマチュア無線の免許を取るための勉強をしていました。

-中学校の頃から理科がお好きだったんですね。学校の先生になろうと思うようになったのはいつ頃からなんですか?
中学2年生の頃です。きっかけは「熱中時代」というテレビドラマでした。小学校の熱血教師が、子供たちのために奔走するストーリーです。それを見てそんな先生になりたいと思い、そのまま高校大学と教員を目指し続けていましたね。

-大学時代はどんな学生生活を送られたんですか?
島根大学教育学部に入学して、1年生の時に、たまたま学園祭の実行委員になったのですが、これが面白くって。在学中はずっと実行委員をしていました。学祭シーズン以外も学生会館にある実行委員の部屋に入り浸ってました。理学部、法学部、医学部と、ほかの学部の先輩との付き合いができるのも楽しくて、いろいろ一緒に遊んでましたね。

小規模校勤務ならではの貴重な体験

-大学卒業後、そのまま学校の先生になられたのでしょうか?
そうですね。最初のうちは正規採用の教諭ではなくて、常勤講師として小学校で勤めていました。頓原町立志々小学校の角井分校といって、中山間地にある小さな学校です。今はもう残念ながら廃校になってしまったのですが、当時は5、6年生あわせて4人くらいの学校でした。その翌年以降は中学校に赴任し、その途中で採用試験に受かって採用となりました。

-先生になって間もない頃の思い出で、特に印象深かったことを聞かせてください。
どの学校も思い出深いものがありますが、一つあげるなら中学校の生徒たちが自ら「やりましょう」と言って実現した、「夜のハイキング」ですね。私が大学のとき、宍道湖を一周する「徹夜ハイキング」というのをやったことがあって。その時の思い出を生徒に話したら、「自分たちもやりたい」という流れになったんです。それで計画書を作成して、管理職にお願いをして……、大田から大社まで深夜にハイキングすることになったんですよね。

-夜のハイキング!?中学生がですか?実現が決まったとき、生徒さんは喜んだでしょうね。
とても喜んでいました。今だとちょっと考えられない企画なんですが、その夜は教頭先生がずっとついてくれて、保護者さんも時々様子を見に来てくれたりましたね。色々な大人が気にかけてくれて、そんな無茶に付き合ってくれたこともありがたかったです。

-生徒さんの「やりたいこと」をみなさんが尊重する雰囲気があったんですね。その後の教員生活はどんな感じだったのでしょうか。
その後、益田・鹿足地域で勤務するようになってからも、小規模校が多かったですね。そのなかで得られた体験は楽しいものばかりでした。地域の人から声をかけてもらって、神輿を初めて担いだり、敬老会で水戸黄門をしたり。田植え囃子をやらせてもらいましたね。学校の教員として、地域の方と交流する機会が増えて面白かったです。

-地域の方との交流エピソードが次から次へと!大島先生はもともと、そういう地域行事や地域の方との交流の場に出ていくことがお好きだったんでしょうか?
最初から意識して関わりたい!と思っていたわけではないのですが、地域の方、特にシニア層の方が結構学校に来るんです。その頃は総合的な学習の時間が始まってきた過渡期だったのかもしれないけれど、とにかく地域の人と協働する場面が校内外にたくさんありました。あるときなんて「イノシシ捕れたけん、食おうや」と急に持ちかけられて、校庭で焼き肉をしたんですよ(笑)

-イノシシの焼き肉!子どもたちもですか?
そうです、子どもたちと。地域の方が「イノシシは普通に焼いたら固くなるけん、中を蒸すようにしてやるといい」なんて言って、包丁で下ろすところから見せてくれるんです。普段なかなか見られない貴重な経験をさせてもらいましたし、なにより面白かったですね。

子どもたちの頑張りをもっと地域に届けたい

-里山に位置する小規模校だからこそ得られた体験のように感じました。その後も小規模校勤務が続いたのでしょうか。
その後は、今度は益田中学校に赴任したんです。規模が全然違って、大人数なんですよね。全校集会のときなんて、体育館に生徒が入りきらないぐらい。これはこれで面白かったです。生徒会をやらせてもらったこともあり、生徒と一緒にあれこれ活動しましたね。

-生徒会活動で思い出深かったことを教えていただけますか?
化学部の生徒が育てている花があったのですが、それをプランターに植え替えて駅前の商店街に置かせてもらおうという企画が立ち上がったんです。生徒会の子たちが休みの日に出てきて、駅前の商店に1件ずつプランターを置かせてもらえないかお願いして回って。それから、全校生徒で花をポットからプランターに移して、ねこぐるまで駅前まで運んだんですよ。

-実際に花を見かけた地域の方の反応はどうだったんですか?
「なんか面白いことやってるね」といった声を多く寄せていただきました。子どもたちの実際の姿、頑張っている姿を地域の人にもっともっと見てほしいなと思って生徒会企画を一緒にやっていたので、気にとめてもらえたり、声をかけてもらえたりするのはとても嬉しかったですね。

それまでの勤務経験の影響も大きくて。何もなくても地域の人がどんどん学校に入ってくる山間部の小規模校で過ごした日々には、子どもたちの頑張りが地域の人にも見てもらえることのありがたさを感じる場面が多くありました。大きい学校であっても、地域の人にひとりひとりの生徒の姿を感じてもらえる場面を生み出していきたいという思っていましたね。

大切にしたいのは「固定概念を壊すこと」

-大島先生が生徒と関わるなかで大切にされているのはどのようなことでしょうか。
子どもたちのなかにある固定概念を壊す、ということでしょうか。これまで身につけてきた知識や概念が揺さぶられると、「え?なんで?」という思いが生まれますよね。それがとても大事だなと思っています。「なんでそうなるの?」という疑問から、「ちょっと調べてみようか」という探究心が芽生える。それで調べてみて、「そうなんだ!」と、頭に浮かんでいた「はてなマーク」が「びっくりマーク」に変わる。その体験こそが学びなのかな、ということをよく考えますね。授業の導入でも、そういうことを心がけています。

今日は色々なものをもってきたんですけど、たとえばこれ、実はこの釘、2、4、6……全部で10本あるんですけど、これが全部、この1本の釘の上に乗るんですよ。

-え、10本全部ですか?無理なように見えるんですけど。……!?すごい!乗った……!!
面白いでしょ?
こんな感じで、「無理だろう」とか、「当然こうでしょ」とか、そう思っていたことが、「え?違うの?」となる体験を作っていきたいんですよね。変なことをして、人をびっくりさせるが昔から好きなんです。「え、何それ?」みたいな反応をされると嬉しくて。

-子どもたちも絶対わくわくするでしょうね。理科への興味が芽生えそうです。
自作のロケットもありますよ。打ち上げると時速100キロぐらいで空に昇るので、子どもたちもとてもびっくりしてくれるんです。

鎌手中学校の生徒と手がけたプロジェクト「七色大作戦」

-最近の地域活動についてお話を聞かせていただけますか?鎌手地区の地域活動に携わっていらっしゃるとうかがったのですが。
鎌手中学校が閉校になる直前、最後の2年間に赴任することになりました。その時、水仙ウォークという1月にあるクイズラリーイベントを、ボランティアスタッフとして参加した中学生と一緒に運営しました。それが鎌手地区で地域活動に関わった最初ですね。

その後、鎌手中学校と東陽中学校が統合になって、今勤務している東陽中学校に勤めるようになりました。その年に鎌手中学校の最後の卒業生が「お世話になった鎌手になにかしたいんです」って相談をもちかけてきたんです。そこで、仲間を集めて活動してみようという話になりました。

別々の高校に進学した鎌手中学校の卒業生4人が集まって、「ビヨンド」というチーム名を決め、活動をスタートすることになりました。

ただ、そこまでは順調だったんですが、いざ色々やろうというときに、コロナで……。

-たしかに、そういう時期ですね。いろいろな活動に制限がかかった数年間でした。
当初は月1で集まっていましたが、それも難しくなってしまいました。オンラインで話しながら、「集まらなくてもできることは何かないか」と投げかけたところ、廃校になった鎌手中の窓を七色でデコレーションしようという話になりました。「七色大作戦」と名付けて、コロナ禍が終わったらやってみたいことを大人にも子どもにも書いてもらい、それで校舎の窓を彩ろうと考えたんです。東陽中学校をはじめ、地元の小中学校や公民館に協力のお願いに行き、子どもたちや地域の人に書いてもらいました。

-この一枚一枚に思いが込められているんですね。「七色大作戦」というネーミングも素敵です。ビヨンドというチーム名はどこから来てるんですか?
チームメンバーはみんな通っていた高校が違うんですけど、学校はもちろん、年代、世代も「超えていく(=ビヨンド)」、といった意味合いを込めています。

-地域活動をされるなかで、大切にしたいと考えているのはどのようなことでしょうか? 
大人として出ていきすぎないというか、子どもと一緒に楽しんでみたいと思って活動をしています。職場では教員として子どもたちと関わっていますが、地域活動で子どもたちと何かやろうというときまで、学校と同じになっては面白くないので。地域活動では、学校とは違う子どもたち同士の関わりとか、子どもと大人との関わり方っていうのを作りたいと思っているので、一緒に楽しみながら、アイデアを出し合って作り上げていくというようなことを目指したいんです。

子どもたちが胸を張って益田の魅力を語れる未来へ

-大島先生はもともと出雲ご出身ということでしたが、こちらに赴任されて様々な地域活動をされるなかで、益田に対する見方や思いは変わっていったのでしょうか?
そうですね、当初はほとんど知り合いがいませんでしたが、今では結構な数の知り合いがいます。関わる会議やイベントが増えるにつれて、また新しい出会いもあり、自分の中になかったものを得られる機会も増えていきました。益田に来た当時はアウェイだったのが、今はホームになってきたかなという感じがありますね。それが大きな違いでしょうか。

-最後に、益田で出会った生徒の皆さんや、益田の10代の子にメッセージをお願いします。
ここ数年、益田に移住・定住したという方と出会うことが増えました。お話を聞いてみると、なかには日本全国、世界各地を回ってきて、その上で益田を選んだという方もおられて。私はそこまでいろいろ知っているわけではないけれど、同じように「益田がいいな」と感じて定住したので、子どもたちには、「益田のいいところってなんですか」って聞かれたときに、その魅力を答えられるようになってほしいと思っています。

身近にある幸せとか魅力は、ずっと住んでる人には案外気づきにくいものなのかもしれません。もちろん、益田にないものもあるし、益田から出ていかないと学べないこととか、できない仕事もたくさんあります。ですが、それで益田から出るにしても、出た先で益田の魅力を聞かれることがあったときに、胸を張って答えてほしいんですよね。

「200万株の水仙が咲く公園があるんですよ」とか、「石見神楽ってすごい迫力なんですよ。中学生の時に見に行きました」とか、「公民館のイベントには中学生がたくさんお手伝いに行くんです。私たちも出店したことがあるんですよ」「イルミネーションもあるんですけど、中学生と大学生と一緒に考えて1から作ってくんですよ。自分もやったんです」って。益田でいろいろな活動をしてきたことを、本人たちが自信をもっていきいきと語れるような、そんな子どもたちになってくれればいいなと思っています。

-貴重なお話ありがとうございました!

文責:益田市連携のまちづくり推進課
文章:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー

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