2023年3月15日 (水)

益田のひとづくり仕事,働くひと生きがい

「大学生インタビュー」国際基督教大学 當銘瀬菜さん

大学生インタビューシリーズでは、益田市でいきいきと暮らしている大学生を紹介し、自分なりの豊かな暮らしについて考える機会をお届けします。
今回紹介するのは、一般社団法人豊かな暮らしラボラトリーでインターンをしている国際基督教大学の當銘瀬菜さんです。

国際協力について学びたい

-まず最初に、簡単に自己紹介をお願いします。

當銘瀬菜です。出身は沖縄県です。
東京にある国際基督教大学の3年生で、去年の12月より1年間休学をして益田に来ました。
現在は、鎌手地区で暮らしながら学生インターンをしています。

-沖縄出身なのですね!どんな高校生でしたか?

活発的な高校生だったと思います。
部活動で部長をして、勉強も頑張って、文化祭などのイベントを友達と一緒に盛り上げるようなタイプでした。

沖縄は時間の流れもゆっくりで、人もあたたかく大好きな土地なのですが、一方で東京や都会に対する憧れもあって。
卒業後は関東や関西の大学に行きたいと思い、今の大学へ進学しました。

-なるほど。関東や関西の大学の中でも、なぜ今の大学を選んだのですか?

今の大学を選んだ理由は、国際協力について学びたいと思ったからです。
私が国際協力に興味を持ったきっかけは、中学生の頃にノーベル平和賞を受賞した「マララ・ユスフザイ」さんの本を読んだことでした。
当時マララさんが暮らしていた中東地域では、女子教育が禁止されていて、
「女子も教育を受けるべきだ」と授業を受けていたところ、過激派勢力に撃たれてしまったという事件がありました。

なんとか一命を取り留めたマララさんはその後も諦めずに女子教育を実現すべく活動されてノーベル平和賞を受賞されたという本を読んで、自分は今当たり前に教育を受けられているけれど、それが当たり前ではない世界があることはおかしいのではないかと興味を持つようになりました。

そこから、「国際協力」「青年海外協力隊」などに興味を持ち、学んでみたいと思ったものの、国際協力の中でも何を専門とするかが決めきれずにいました。

国際基督教大学は入学時に専攻を決める必要がなかったため、国際協力について広く学びながら、どの分野のエキスパートになりたいかを後から決めようと思い、進学を決めました。

ご縁でつながった益田市との出会い

-実際に大学生になって、いかがでしたか?

東京へは全国各地から様々な学生が集まってくるので、刺激的でとても楽しかったです。
ただ、思った通りではなかったことが2つありました。
1つ目が国際協力の授業への違和感と、2つ目がコロナ禍での生活でした。

実際に国際協力を学び始めて、自分自身がとても単純に物事を考えていたなと気がつきました。
国際協力とは「先進国が発展途上国をサポートすること」と思っていたのですが、それは一方的な押しつけにすぎないよな、と。
「そのサポートが、発展途上国の人にとって本当に必要なのか?」「本当にその援助を受けることが幸せなのか?」という内容を授業で学んだときに、それは自分のエゴでしかないのかもしれないと思うようになりました。

そこで、他の授業も受けるようになり、現在は主専攻でジェンダーセクシャリティ論について、副専攻でメディアコミュニケーションやメディア文化について学んでいます。

2つ目の思った通りではなかったことは、コロナ禍の生活でした。
ちょうど大学2年生に入った時にコロナが流行り始めて、授業が全てオンラインになりました。
寮や家からオンラインで授業を受けるだけの日々が1年以上続き、そのまま就職活動を始めたのですが、自分がやりたいこともわからず「このまま大学生活が終わってしまって良いのだろうか」という焦りを感じていました。

将来的にまた地方に住みたいという気持ちもあったので、そのあたりのアンテナを張っていたときに、大学の先輩が益田市のインターンのオンライントークセッションに登壇するという話を聞きました。

「なんだか面白そう」と、トークセッションに参加をしてみて、そこで初めて益田市と出会いました。

-そうだったのですね。トークセッションに参加をしてみていかがでしたか?

軽い気持ちで参加したイベントだったのですが、直感でビビッときて。
その後1ヶ月ほどで休学を決めて、益田でのインターンを始めることにしました。

一度見学に来させてもらった時に、私のようなどこの誰かもわからない人を、とてもあたたかく受け入れてくれるところだな、と感じたのを覚えています。
地域によっては外部の人をあまり快く思わないような場所もある中で、誰に対してもウェルカムな地域なのだな、と思いましたね。

益田暮らしの醍醐味

-去年の12月からインターン生活が始まったとのことで、1年が経ちますがいかがですか?

本当に来てよかったなと思っています。
東京にいた時は周りに知り合いの大人がいなかったので、なおさら地域の方に気にかけてもらえる今がとても嬉しくて。
例えば、たまたま家の前で会って「元気?」と声をかけてくれたり、大家さんからお裾分けをもらったり。
インターン先でのイベントを聞きつけて、「自分の子供にも参加させたかった」などと声をかけてもらえるのが嬉しいですね。

春から夏にかけて家の畑で自家栽培をしていたのですが、きゅうりやピーマン、カボチャを育てていたら、近所の方から「こういうふうにしたらいけんよ」「きゅうりはこれくらいになったら取ってね」と色々教えてもらえて。
そういった関係性が築けたことが、何より嬉しいですね。

あとは、海が好きで海の近くの空き家を選んだということもあるので、お休みの日は岩場で海を眺めながら読書をして過ごしています。

-地域の方との関わりやお休みの過ごし方など、とても素敵ですね。
その他益田ならではだなと思う活動は何かありますか?

鎌手地区の自治組織、チャームラボの活動と、Masudaカグラボの活動のふたつですね。

チャームラボは鎌手の良さを色々な方に知ってもらうために活動している団体です。
オリジナルのブレンドコーヒーを作ってお祭りで販売したり、水上スポーツのSUPを用いながら海の綺麗さを知ってもらえるように活動しています。
私も週末は、海の前で一緒にコーヒーを飲んだり、隣の地区のお祭りに出店をしに行ったりと活動に参加しています。

Masudaカグラボは、益田市の石見神楽の保存と活用に向けた将来ビジョンの作成を目的とした検討チームです。
私は石見神楽の舞手の方のサポート役として関わらせてもらっています。

舞手の皆さんも平日は本業がありつつ、土日は神楽公演で広島などに行っていて、とにかく熱量が素敵だなと思っています。
益田で神楽を続けるために益田市内での仕事を探すという方もいらっしゃるので、人生においてそこまで熱量を注げるものがあることがすごいなと思いますし、そうやって熱を持って取り組んでいるひとたちの応援やサポートができるのが楽しいです。

昔から愛されている伝統芸能なので、公演に行くたびにお客さんから「また来てくださいね!」と言ってもらえるのも嬉しいですね。

石見神楽では、「大蛇(おろち)」という演目が一番好きです。
ベタですが、一番最初に見た時に本当に蛇が動いているんじゃないかと思うほど感動しましたね。

何があるかわからないからこそ、人生が楽しみになった

-益田暮らしもあと少しですが、最後にやってみたいことはありますか?

自分の興味関心がある「ジェンダー」の分野を業務としてできるようになってきたので、自分の中で満足できる状態で終わらせたいですね。

あとは、遊びの面でもやっておきたいことがたくさんあります。
温泉やテントサウナにも行きたいし、喫茶店にも行きたいです。
お世話になった方と、最後にご飯にも行きたいですね。

-素敵ですね。インターン期間が終了したあとは、何をするか決めていますか?

名残惜しいですが、東京に戻って大学生に戻る予定です。
本当は3月まで休学期間を伸ばして益田に滞在しようかなと思っていたのですが、同級生がこの春に卒業するので、最後に一緒にキャンパスライフを過ごすためにも戻ることに決めました。
戻ったらすぐ就職活動が始まるので、それがちょっと怖いですね(笑)

-そうなのですね!どういった方面で就職活動を行う予定なのでしょうか?

まだ迷っています。

上京した時は東京が魅力的に見えていたのですが、人の多さや忙しなさに疲れてしまって、年々沖縄に帰りたいという気持ちが強まってきました。
就職も沖縄か地方で考えていたのですが、これから先のことを考えると、今のうちに東京で働くという選択もありなのではないかと思っています。
自分の性格的に、30代になってから東京で働くチャレンジをする、ということはない気がするので。
そのため、新卒で2,3年東京で働いて、色々な経験を積んでスキルを身につけてから、地方でその力を生かす、という働き方ができたらいいなと思っています。

あとは、まだ何をしたいということは明確に決まっていないのですが、益田に来てこれからの人生が楽しみになりました。
自分の会社やお仕事がありつつも、趣味や好きなことにまっすぐな大人に益田でたくさん出会えたからです。
そして、1つの会社で長く勤めるだけでなく、色々なお仕事を転々とする生き方があるということも知ることができました。

人生は何があるかわからないけれど、自分次第でどうにでもなるんだなあと思えたのもこの1年のおかげだと思っています。
数年後の私は、東京に住んでいるかもしれないし、海外に行っているかもしれません。

わからないからこそ、楽しみだなと思えるようになりました。

-とても素敵ですね。貴重なお話をどうもありがとうございました!

取材:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市連携のまちづくり推進課

facebook twitter
NEW

2023年3月15日 (水)

おしらせ,イベント情報

益田UIターン者交流会【MASUDA からフェス】を開催します

同カテゴリーのエントリー

生きがいのエントリー