2022年12月9日 (金)

益田のひとづくりおしらせ生きがい

「私の益田暮らし」益田市長 山本浩章さん

 「過疎」という言葉発祥のまち島根県益田市では、「ライフキャリアをデザインできるまち」をスローガンに市をPRしています。ライフキャリアとは、仕事の時間(ワークキャリア)だけではなく、家庭・地域・趣味・伝統芸能の時間など、多様な時間をひっくるめて「どんな生き方(暮らし)をしていくか」という意味です。過疎発祥のまちと聞くと、一見するとネガティブな印象を持つかも知れませんが、この町には「都会なのか田舎なのか」といった単純な比較ではない、多様な「幸せのものさし」が溢れています。

 この記事では、実際に益田市の中で、いきいき生活されている方を紹介することで、自分なりの豊かな暮らしについて考える機会をお届けします。

さあ、みなさんはどう生きますか。

本日のゲスト

 さて、今回紹介するのは、益田市長 山本浩章さん。

 1969年に滋賀県で生まれ、奥様が益田出身であったご縁から、1998年に益田市に移住。2012年に43歳の若さで市長となり、現在10年目を迎えました。

山本さんが大事にされている「生き方」

私が生きていく上で大事にしていることは、今の自分が少し手が届かないかもしれないと思うような高めの目標設定を行い、それに向けて努力することです。

と、迷いなく語る山本さん。その信念は、実際の暮らしにどう反映されているのだろうか。市長としてだけではなく、家庭人として、趣味を楽しむ人として、豊かな益田暮らしを実践する山本浩章さんの生き方(ライフキャリア)に迫っていきたいと思います。

仕事の時間

市長を目指したきっかけ

– 市長を目指されたきっかけを教えてください。

山本さん
 きっかけは、40代になったころ。移住してからは、仏壇・仏具の製造・販売をおこなう実業家として活動していました。Iターン者でしたが、地域の方からも受け入れてもらい、本当に暮らしやすい町だと思っていました。
 ただ、40代になり、私の人生はこのままでいいのだろうかと思うように。実業の世界で生きていくことは難しいし、やりがいもあるが、自分が70や80になった時に、私の人生これでよかったのかなと後悔するのではないかと思う気持ちが芽生えてきたんです。今、新しい道に踏み出しておかないと、手遅れになるんじゃないかと思って、政治の道に進むことを決意しました。

市長の仕事とは

– そもそも市長の仕事とは、どのようなものがあるのでしょうか?

山本さん
大きく3つあります。
 1つは、市が進めるまちづくりの最終決定を行うことです。市の仕事は幅広いですが、予算や職員の数には限りがあります。だからこそ、どの事業にどれだけの予算や人を分配して進めていくのかを、地域住民の声を聴いて最終判断を下します。
 2つ目は、益田市を代表して、大事な式典等に参加すること。市を代表して挨拶をしたり、表彰状を渡したりするフォーマルな仕事です。きっとこれが市民の皆さんにとって、一番馴染みのある仕事ではないでしょうか。
 そして最後3つ目は、益田市を代表して、国や県などに要望等を伝える仕事です。例えば、高速道路の整備や空港の便の充実などの陳情・要請などがあります。
 毎日必ず行うルーティンは、あまりないですね。幅広く仕事を行うため、毎朝副市長と秘書課長と3者で1日の動きを確認しています。

市長のやりがい

-市長というお仕事のやりがいは何でしょうか。

山本さん
 毎年災害がどこかで起きてしまう時代。自分には関係ないと他人事にすることだって出来ます。しかし、市長の仕事は違います。市で起きたことに関しては、責任をもって向き合い、時には命に関わる難しい判断が迫られることだってある。

 大変な仕事であることには間違いはないが、だからこそのやりがいがあるんです。

-具体的に、やりがいを感じたお仕事を教えてください。 

山本さん
 特にやりがいを感じた仕事の1つは、萩・石見空港と羽田空港の1日2往復便の実現です。
 私が市長に就任した時は、1日1往復便しかありませんでした。地域住民、特にビジネス関係者から一便では不便だとの声をよく聞いており、どうにかしたいと思っており、そんな矢先に、国土交通省が主催する「羽田発着枠政策コンテスト」というものがあることを知りました。航空会社の努力だけでは採算が合わない地域において、飛行機の利用者確保に向けて、特色のある活動を自治体がPRして、競い合い、上位自治体には国が飛行機の増便を支援するというものです。
 コンテストだからこそ、世間にも知れ渡る。だからこそ、もし逆に落ちれば失敗の実績にもなってしまう。ですが、自身の信念に照らし合わせて、チャレンジを決断。結果としては、最高得点を獲得して採択されました。
 首都圏からの日帰り滞在も可能となり、多くの方から便利になったとの声をいただき、我ながらいい仕事をしたなと思いました。

 萩・石見空港では、滑走路を走ることができる「空港マラソン」、アジア初の空港内の養蜂場で作られた「空港ハチミツ」など、全国でも珍しい取り組みがなされています。

仕事以外の時間

家庭の時間

-家庭の時間について教えてください。山本家は、どのような家族構成なのでしょうか。

山本さん
 私の家族は、妻と子ども4人。ただ、現在進学で子ども3人が全国散り散りとなっており、全員で集まるのは年に数回しかありません。お盆正月のタイミングで家族団欒で食卓を囲むことが楽しみとなっています。

-山本さんも、家事をされるのでしょうか。

山本さん
 これまでは、めっきり妻に任せていたのですが、最近新しいチャレンジを始めました。それは、料理です! 今まで料理も妻に頼っていましたが、急に思い立ち、月に1回程度台所に立っています。
 慣れない私の料理の先生は、YouTubeの動画。今はカレーづくりを研究しています。最初はルーからでしたが、今ではスパイスを自ら調合しながらつくれるようになりました。
 私が料理をつくった時は、いつも妻が喜んでいます(笑)。

山本さんが作られた、手作りカレー

趣味の時間: ロードバイク

– 続いて、趣味について、お聞かせください。山本さんは、どういった趣味をお持ちですか。

山本さん
 趣味は「自転車(ロードバイク)」です。
 きっかけは、市役所の政策でオリンピックパラリンピックのロードバイク競技の事前練習場として、アイルランド代表を誘致したことでした。誘致にあたって、市長としても「ロードバイクをやっています。」とPRするために始めたのですが、気づいたらハマってしまいました。

-ロードバイクの魅力は何でしょうか。

山本さん
 私のロードバイクの楽しみ方は、敢えてアップダウンの激しいコースを選び、自分を追い込むことです。何も考えないで夢中になって漕ぐことが、いろんなことを忘れることができて、気持ちがリラックスするんです。
 また、1人だけではなく、今年から市役所内で「市役所自転車部(バイカーズ)」を立ち上げて、月に一回仲間とライドを楽しんでいます。

市役所自転車部(バイカーズ)のメンバーと

-山本さんが、よく走られるコースはありますか。

山本さん
 はい。私の定番コースがあります。自宅が高津地区にあることもあり、萩・石見空港、国営農地開発地(国営開パイ)、万葉公園あたりのアップダウンが繰り返される結構ハードなコースをよく走っています。この辺りは海が近いこともあり、息切れしながら苦しみながらも、景色を楽しめるのがおすすめです。

高津地区の持石海岸から眺める日本海

趣味の時間: 読書の時間

山本さん
 もう1つ、私には趣味があります。それは読書です。ノンフィクション物が中心で、歴史や経済など、勉強のために読んでいます。

-読書の魅力は何でしょうか。

山本さん
 新しいことを知ったり、物事の新しい見方ができるようになることが好きで、本を読むことはとても楽しんです。

 まだ読み終わってない本があるにも関わらず、つい次から次へと新しい本に手が出てしまう。一冊に集中して読むというよりは、何冊も並走して読むタイプです(笑)。年間トータルで20冊程度は読んでいますね。

山本さん宅の本棚

-ちなみに、山本さんの愛読書は何でしょうか。

山本さん
 私の愛読書は、司馬遼太郎の『翔ぶが如く』です。幕末明治初期の時代に、西郷隆盛や大久保利通がどのような思いで国づくりをしていたのか、私の政治信条にも少なからず影響を与えています。

山本浩章という生き方

– 山本さんが生きていく上で、大事にしていることを教えてください。

 山本さん
  私が生きていく上で大事にしていることは、今の自分が少し手が届かないかもしれないと思うような高めの目標設定を行い、それに向けて努力することです。

 市長への挑戦、料理の研究、自分を追い込むロードバイク、新しい発見のための読書。今日お伺いした話の随所で、山本さんの信念を感じることができたように思います。

 最後に、これからの目標について、山本さんはこう語りました。

私は今年で53歳になりましたが、今でも出来ないと思っていたことを出来るようになりたいと考えています。さらに、私が知らないことをもっとたくさん知りたいという思いに溢れています。これからも、その向上心を持ち続けて、チャレンジし続けていきたいと思います。

次のチャレンジは何があるのだろうか。これからも山本さんの生き方に目が離せません。

みなさんも、ぜひ益田で自分ならではの「幸せのものさし」を見つけて、ライフキャリアをデザインしてみませんか。

 取材:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市連携のまちづくり推進課

 

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