2021年3月30日 (火)

益田のひとづくりおしらせ地域づくり益田20地区,二条

「自分で作ることが、自信につながる」マイペースでできる、二条の暮らし

益田20地区を巡る 二条地区編

益田市中心部から南西へ車を走らせること約25分。毎年6月に行われるホタル祭りが有名な二条地区。

今回紹介するのは、3人のお子さんに囲まれ、家族で「無理なく循環する生活」を目標に暮らす横関亜季さん。

3年前、広島での都会的な生活から方向転換をし、畑付きの古民家に家族で移住した。
「子どものためにも食べるものを自分で作って暮らしてみたいな、という軽い気持ちで移住しました。」

「無理せず楽しくやっていくこと」を大切にしながら、自分たちにとって一番心地のいいバランスを見つけている最中という横関さん。

自然豊かなこの地区での暮らしについて伺った。

子育てを通して見えた、価値観の変化

広島から家族でIターンしたきっかけは自身のキャリアや子育てにおいて、当たり前に思っていた価値観を疑う機会がいくつかあったことによるのだという。

それまで、仕事でキャリアアップを目指していた横関さんご夫婦。結婚や子育てを経て価値観が徐々に変化していき、「一般的に幸せと言われていることが自分たちの価値観に当てはまっているのか?」と疑問に感じることが多くなっていったそうだ。

1人目のお子さんが生まれてからは、日々食品や日用品を購入する際に「体に良いこと」や「環境に良いこと」を基準に購入してきたそう。しかし、一般的にそれらは高価であることが多いのが現実だ。

このことを通して、「良いものを購入するために働くこと」に囚われるのではなく、「自分たちで作って自然に近い生活をする」ほうが、楽しんで生活できるのではないかと思うようになったのだという。

「自分で食べるものを自分で作ってみたいなと思って、畑がついている家を探しました。」

こうして、横関さんは益田市の空き家バンクを利用して見つけた古民家に移住することになる。

横関さんのお家のお庭では10数匹のニワトリが飼育されている。このニワトリは残飯を食べ、糞は肥料に、卵は食用に使うことで循環ができている。

ダメだったらまたやり直せばいい

「結構不便ですけど、それも楽しいし。こういった環境で暮らす力がついてきてどこでもやっていけるような気がするんですよね。」

「自分で食べるものを作る」という目的を果たすために、畑がある家に無事引っ越しをしたものの、いつ、どんな農作物を作るかといったことまでは詳しく考えていなかったという。

「一年目からお米作りは無理かな、と思っていたところ、地域の方が『田んぼやってみるか?』と誘ってくれたことを皮切りに、色々な新しいことを始めるようになりました。

そう考えてみると、現状は色んな人からの声かけのおかげでたまたまできているような感じなのだと思います。」

このようにしてスタートした二条での暮らしは、「なるようになるし、断らないことが大切なんじゃないですかね。」と振り返る。

大きな変化が訪れた横関家のお子さん達の反応はどうだったのだろうか。

「最初は広島の友達と離れ離れになって寂しそうだったんですが、すぐにこの環境に慣れていましたね。今は裸足で庭中を歩いて、遊んだりと、親子ともども活き活きと過ごしています。」

しかし、中山間地域ならではの、子育てには小さな不安もあるのだそうだ。

二条地区は面積約22平方キロメートルであるのに対し、保育園が1つと、小学校は全校児童20人(令和2年度)の桂平小学校のみ。小学校に関しては通学校区が広く、1度それぞれの家に帰ると「児童同士が集まって遊ぶこと」ができないのが実態だ。

そのため、来年度から小学生になるお子さんを「放課後に遊べる友達がいるのかな…」と心配する。

そんな横関さんは、「放課後に少しでも、友達と思いっきり遊べる時間を作ってあげたい」と桂平小学校のボランティアハウスに週1回参加し、子どもたちが放課後に地域の人をはじめ、多様な人と関わることができるようにしているそうだ。

「実は、田舎の子ほどゲームばっかりになってしまうんですよね。二条はバスで通学する子も多いし。ボランティアハウス(※)などを通じて、子どもにとって居場所だと思える場所を作りたいなと思っています。」

(※)ボランティアハウス… ボランティアハウスとは、「つろうて子育て」(地域の宝である子どもを地域ぐるみで育む)という基本理念に基づき、日頃から群れて遊ぶことや異年齢とのふれあいの少ない子どもたちに地域の大人が知恵を出し合い、放課後を健やかに過ごせることができる居場所です。 (益田市HPより)

自分のペースで暮らせる、二条地区でのこれから

「田舎暮らし」と聞くと、「地域の人と顔が見える親密な関係を築くことができる」ことをイメージする人もいれば、「近所の方に過度に干渉される」というイメージを持っている人もいるのではないだろうか。

 「二条の人は、困っていたら必ず助けてくれます。住んでいるだけで喜んでくださるのは嬉しいです。」

もちろん、田舎という狭いコミュニティにしかない良さもある。横関さんは、二条地区を「人との距離感が近すぎないこの空気感は、私たち自身が保ちたいペースをうまく持ちやすい気がします。何かしら『やりたいこと』を持っている方には、持ってこいの地域だと思います。」と話す。

このように感じているからこそ、二条を静かに田舎暮らしをしたい人におすすめしたいのだという。

移住して3年。二条に暮らす横関さんに、これからの展望を聞いた。

「自給自足」という理想を掲げて来たものの、想像以上に体力と時間がかかるため、今は「無理なく循環する生活」を目指しているという。

「生活していくためにはどうやってお金を生み出すかを考えたり、時には自然を切り売りしないといけなかったりします。そうやって理想に対してあきらめが必要な時もある。でもそれは、『無理せず楽しくやっていくこと』を一番大切にすることが、続けていくためには必要なのかなと思って、日々そのバランスを見つけようと試行錯誤しています。」

日々自然と向き合いながら、自分にとっての「ちょうどいい」を模索している最中の横関さんはこれから一体どんな道を歩むのだろうか。

二条地区には、十人十色の景色が広がっている。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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