2022年5月9日 (月)

益田のひとづくり教育,未就学児仕事,働くひと

大人も育つ保育を目指す ― 幼児教育・保育の質向上の取り組み

①巡回支援指導の目的と内容

益田市では、子どもの育ちをより良いものにするため、保育士・幼稚園教諭等の育成支援の取り組みをしています。令和3年度からは「巡回支援指導事業」という名称で、市内の36施設を対象に、各施設の課題発見・環境改善のための研修を開始しました。

今年度講師を務めたのは、合同会社『子どもベース』の保育コンサルタント佐伯さん、石神さん。会社が設立されたのは令和3年2月と近年のことですが、お二人は保育士や園長として保育に携わっていた長年の実務経験があり、理論だけではなく、様々な課題に対処してきた経験から見えてくる、保育現場に寄り添ったアドバイスをくださいました。

②研修の様子

今回の研修は、各施設ごとに行われました。午前中は普段の保育の様子を講師に見てもらい、午後からは施設全体が抱えている課題を保育士で共有し、講師を交えて対応を考えました。

普段の保育の様子

課題の共有・解決に向けた話し合い

普段は子供たちに問いかけ、答えてもらう皆さんが、この日は答える側に。偶然にも、午前と午後で同じような構図の写真が撮れました。

③感想

今年度の事業を終えて、研修に参加された方から様々な感想や意見が集まりました。内容を見てみると、良かったこと、気づいたこと、改善したいことなど、それぞれの想いを持って研修を終えていましたので、その一部を紹介します。

③-1 研修全体の感想

「とにかくたくさん褒めてくださって、これからも頑張ろう!と思えた。」

「大人になっても褒められると凄く嬉しいので、子ども達をいっぱい褒めていきます。」

「なかなか保育を評価してもらう機会が無いので、高評価をいただいたことで自信につな がったと思います。」

大人は頑張っている姿が評価されにくいもの。特に、保育という保護者の目につかない現場での仕事では、子育ての在り方が正しいのかどうかさえ不安になる方も多いのではないでしょうか。そんな中、今回の研修で、講師が自分たちの活動や指導の仕方を肯定してくれたことで、保育士自身が自己肯定感・安心感を持つことができたようでした。

この記事では書ききれませんでしたが、上記以外にも、第三者から評価してもらうことの嬉しさを綴った内容が多数ありました。他の感想としては「こうした取り組みを継続してほしい」「次回も是非参加したい」といった、来年度の研修を望む声もたくさんあり、想像以上に保育士の皆さんのモチベーションアップに繋がったことを嬉しく思っています。

③-2 保育の在り方について

「保育の中でどうしても保育士が設定した保育になりがちです。もっと自然の中で生きていくための根っこの部分を育てていけるような子どもたちが自分で考えて遊びを広げていくような保育がしたいです。」

「小中学校での不登校やいじめの現状が知りたいと同時に、幼小合同研修や情報交換の場の必要性を感じています。」

子どもを主体とした保育を目指している方からは、大人の考えた型にはまる子ども、ではなく、自分で考えて活動できる子どもを育てることができるようになりたいと感想をいただきました。また、「小1プロブレム」とも言われる、子供が小学校へ就学する際に環境の変化についていけず、新しい生活に適応できない問題について言及している方もおられました。次代の人材育成は益田市の総合振興計画の横断目標でもあり、今後も複数の機関で連携をより強めていきます。就学以降の子どもの育ちについては、ますだのひと記事『学びの中で活きる力を-放課後の子どもの充実に向けて』を掲載していますので、そちらもご覧ください。

③-3 課題の発見

ただし、今回の研修では、学びという点では大きな成果ですが、大きな課題が発見された施設もありました。「今回の研修を受けて定期的にミーティングを行うようにした結果、職員の間で保育に対する考え方が対極にあることが分かった。意見の相違を解消するのは容易なことではないけれど、研修や対話を繰り返し、子供に寄り添った保育ができるようにしたい。」と、今後の取り組み方を綴っておられました。

研修で学びを得たとしても、実際の現場の環境は様々です。もらったアドバイスを職場に反映させようにも、うまくいかない場合もあるかと思います。感想の中にも、「今回のような指導が現場に即していて、園内全体の質の向上につながりやすい。良い研修内容であっても、受講者の捉え方や置かれている立場によって聞き方、取り入れ方も違うし、全職員への周知が難しい。次年度も以降も(受講を)強く強く要望したい。」という意見がありました。

益田版SDGsには「子どもも大人も一緒に成長しよう」という目標が掲げられています。益田市では子育て支援に力を入れていますが、未来の担い手である子どもを育てることは、自分自身の成長にも繋がるのだと、より多くの保育士に実感してもらえるような幼児教育・保育の実践を目指し、教育者等の質向上に繋がる研修事業を進めていきます。

文責:子ども福祉課

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