2022年3月24日 (木)

益田のひとづくり教育益田20地区,匹見下益田20地区,匹見上益田20地区,道川

益田市型GIGAスクール構想 ~学びが「広がる」「つながる」「深まる」匹見小・中での動画を活かした取組~

匹見中生×株式会社ラック(サイバー・グリッド・ジャパン

益田市教育委員会と株式会社ラック(サイバー・グリッド・ジャパン)と協働して、情報モラル講座と動画作成講座を匹見中学校で実施しました。この取組は、1人1台端末の配布等もあり、動画を作成する機会が増えるので、その際に必要な情報モラルを理解しながら、動画作成の技術を身に付けることを目的に令和3年度から行ったものです。

匹見中学校の生徒は、総合学習の時間に匹見の自然や文化、特産物を教材として探究活動を行っています。この講座で学んだことを活かして、探求のまとめとして、動画を作成し公開することとしました。講師の先生からは、動画作成の方法だけでなく、動画を作成し公開するときに、肖像権や著作権についてどのように留意すればよいかを学んでいきます。そして、放課後や長期休業中に1人1台端末を持ち出して、撮影に向かい、自分たちで探求の学習を進めていきます。そして自分たちで撮影したこと、学んだことを動画にまとめていきます。

1人1台端末を持ち出して撮影にいく生徒たちはいきいきしています。そして、自分から休み時間にも編集用PCに向かい、動画編集に取り組む姿がみられました。この講座を活かした動画作成は成功に終わり、発表会も大盛り上がりでした。

匹見小・中の先生たち×地域の人たち

匹見小・中の先生は、1人1台端末の導入もあり、ICTの可能性を感じていました。そんなとき、地域の方と一緒に子どもたちがクラスルームプレートづくりをすることになりました。先生たちは、子どもの振り返りのきっかけになればと、その様子を動画にまとめることにしました。

つくった動画は、子どもたちに大好評でした。 それならばと先生たちは、体育祭や文化祭など、子どもたちが取り組んだ活動をどんどん動画にまとめて、活動を振り返る場面をつくっていきます。 また、学校の玄関にモニターを設置し、作った動画をいつでも見ることができるようにもしました。そして、 「せっかくだからこの動画を地域の人にも見てもらおう」という校長先生のアイデアを社会教育コーディネーターと公民館が実現し、百歳体操に集まる地域の方々に動画を見てもらう機会もつくりました。

そうすると、地域の方々にも変化が生まれてきました。学校に縁遠くなっていた世代の地域の方々が、小学生や中学生のこと、そして学校のことを話題に話すようになりました。そして、子どもたちのことを話す地域の人達は笑顔になっていきました。また、子どもたちの頑張りを見て、そこから元気をもらったという想いを手紙に書いてもってこられる方もおられました。行事のときには、子どもたちの頑張りがもっと伝わるように、地域の大人たちで看板を作ろうという動きも生まれました。子どもたちの学びを知ることで、地域の大人たちが自ら集まって、どんどん主体的に活動していきます。そして、今度は先生方からも「この動画を地域の人たちに見てもらえませんか。」という言葉がでてくるようになりました。

匹見小生×社会教育コーディネーター×地元Youtuber

社会教育コーディネーターは、小学校に席を置き、学校と地域の活動を結ぶ仕事をしている益田市独自のコーディネーターです。中学生の自発的な活動や先生たちの動画を見た匹見小・中の社会教育コーディネーターの東島さんは、ある小学生がつぶやいた「Youtuberになりたい」という言葉を思い出し、動画を活かして小学生を地域の活動に誘うことができそうだと考えました。

早速東島さんは動き出します。地元のYoutuberに小学生に動画作成講座を一緒にしてもらえないか依頼します。地元のYoutuberからはすぐに「OK!」、「匹見の魅力を一緒に紹介したいな」という思いをもっておられました。そこで子どもたちに動画作成講座の話をすると、なんと子どもたちからも「匹見を魅力を動画で伝えたい!」との声が聞かれたため、すぐに匹見峡温泉と公民館で匹見の魅力を紹介する動画を作成する機会を設けました。

実際にやってみると子どもたちからは「公民館や地域のことが学校の学習よりもさらに知ることができた」との感想がありました。そして地元Youtuberからも「色々な人とつないでもらえたから、取材の幅も広がったし経験を深めることができた。」との感想がありました。そして、取材に協力していただいた匹見峡温泉や公民館からも「動画という発信方法を知れた。これは使えそうだ!」という感想もありました。関わる人々に様々な学びが生まれました。

動画を活用した取組は加速的に広がっていく…

これらの取組をきっかけに、匹見小・中学校に変化が起きていきます。生徒たちからは「もっと様々な活動や学びを動画にまとめたい」と先生たちに提案があります。また、先生たちも「動画が子どもたちの振り返りにもなるし、子どもたちの頑張りを伝えるきっかけになる!」との思いをもちます。社会教育コーディネーターも、「動画を活かしたら、もっと子どもたちに地域をフィールドにした豊かな学びを育むことができる、そして地域づくりにもつながる」という気持ちになってきました。そう、みんなの心に「もっと動画を活かして様々な活動をやってみたい」という灯をつけることとなりました。

卒業生を送る会では、中学生が小学生に動画の作り方を教えながら、児童生徒だけで思い出を振り返る動画を作成しました。また、休み時間を利用して、自分で端末を活用して動画づくりをする生徒もいます。その作品はひとづくりフォーラムで展示されました。また、自治組織や公民館も、自分たちの活動を動画で発信できるといいねと動き出しています。

1人1台端末という文房具を活用しながら、人と人とがつながり合い、様々な取組が動きだしていきました。子どもたちの学びは、学校だけでなく地域でも行われていきます。 また、地域の人たちも子どもたちの学びを知ることによって自分が何ができるようになるか考え、行動し始めています。 どの事例でも学びが「広がり」、「つながり」、「深められていく」姿が見られました。そして、児童生徒の学びは1人1台の端末の中に記録されてもいきます。

このように益田市型GIGAスクール構想は、単にICTリテラシーを高めることを目的とするだけでなく、本質的な学びを深めること、そしてでデジタル・キャリア・パスポートとして記録していくことを大切にしています。そして、ふるさとを愛情をもって語り、地球的視野に立って社会貢献をする自立した子どもを育成していくことを目指しています。

文責:学校教育課

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