石見人
田中 幾太郎
石見人で在りたい。
石見の自然は、日本中どこを探しても石見にしかない、石見だけのものです。
山や川は一見、同じように見えても全く違うのです。広島の県境に連なる中国山地の山々、出雲地方・石見地方を取り囲む山々。そこに流れる川。ほんのわずかな気候や地質の差が、動植物の営みや風土に大きな変化を与え、そこに暮らす人々を巻き込んで、小さな『宇宙』を形成しているのです。
皆さんの体は、石見の空気を吸い、石見の水を飲み、石見の産物を食べ、石見で生かされているのです。社会の在り様は大きく変わっても、変わらないものがここ、郷土・石見には在るのです。
私の幼少期は、勉強以前に裏庭の溝、川、裏山、海…そこに在る草や木、生き物とともに在りました。机や椅子がなくても、日常の子どもの生活の中に、学びの場が無限に在りました。そこで育ててもらった深い観察力や興味関心が、私自身の生き方の『背骨』となり、地域の動植物に対する強い愛着を生み、郷土・石見の自然について子どもたちに伝えていくライフワークにつながっています。
都会発信の情報のみに惑わされず、まずは家の近くの自然に飛び込んでみてください。教科書の中身を学ぶのではなく、教科書を土台として郷土の自然をじっくり味わってみてください。