2021年1月21日 (木)

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自分がやりたいことが喜ばれる

UIターン者サポート宣言企業 社員紹介 株式会社エイト 大橋 真智子さん

株式会社エイトが運営する地域の産直市場「あったか市」で働いている大橋 真智子さんは、人生のほとんどを益田市で過ごした生粋の「益田人」。
地域の頼れるお母さんとしての一面もある大橋さんの仕事や暮らしがどういったものなのか、お話を伺いました。

楽しい時期とつまらない時期の両方を経験した

鎌手地区の大浜で生まれ、家族の都合で小学2年生から匹見地区で過ごしていた大橋さん。
その後実家を離れ、匹見の全寮制の中学校に入学された当時のことを振り返っていただきました。

大橋さん 当時は男子生徒が薪割りや農業、女子生徒は朝夕に炊事をする生活で、中学卒業後に県外に就職することが珍しくない時代でした。というのも4人兄弟がいて姉が高校に行ったので、下の子は頭が良かったり家庭が裕福でなければ進学は難しいと思っていたのと同時に私自身は高校に行かなくてもいいと思っていました。

中学校卒業後は学校からの紹介で名古屋の紡績会社に就職し、業務外の時間はソフトボール部でキャッチャーとして輝かしい成績を残すなど充実した青春時代を送っていた大橋さん。
しかし、ご両親の体調を理由に1年ほどで益田に戻らなければいけなかったそうです。

大橋さん 戻ってきた直後は、農作業や両親の世話の毎日に変わったことで、それまでの生活とのギャップと好きで戻ってきたわけではないという思いから日常生活がつまらなく感じました。そのうち結婚し、美都に嫁ぎ、子どもが生まれたのですが、お金のやりくりとか大変な日々もあり、家出したこともありました。それからも困難は尽きなかったけれど、その都度色々チャレンジしてきたと思います。牛を50頭飼ったこともありました。

挑戦の数だけたくさん失敗もしてきました。

必要とされていることをし続ける

大橋さん 産直市が土日のみ開いていたときからこの会社に関わっていましたが、9年前に「あったか市を作るから働かないか」と声をかけられた時に、「私には何ができるんだろうか」と疑問に思いました。レジを扱ったことはないし私に出来るか分からなかったのですが、「出来るかできないか分かりませんがやってみます」ということでやり始めました。

大橋さんが働いている「あったか市」は、家で食べきれない野菜を集めて売るというスタイルで長い間続いてきました。その中で、大橋さんは農家さんとの連絡・調整や値段交渉といった業務が担当だといいます。

大橋さん 生産者の平均年齢が80代ということもあり、何曜日はどこに取りに行くという風に農家さんとやりとりをしています。値段をおまかせしますという方もいるのですが、このあったか市は私たちが値段を決めるのではなく生産者が値段を決めるので、スーパーで売っている野菜の値段を踏まえて、値段の提案をするのも私たちの仕事です。

あったか市で働き始めて9年という大橋さん。
スーパーよりも安値のため、市内からのお客さんが多いものの、観光バスで団体客がどさっと来ることもあったオープン当時に比べると、今は県外のお客さんが多くなったそうです。

大橋さん 生産者から直接仕入れていることもあり、値段の安さに驚かれる方もいます。

私は生産者と直接やりとりをするので、店頭に野菜が少ない時は野菜が余っていないかを電話をしたり、FAXをしています。それが出来るのは、生産者と密接な関係性があるからだと思います。
新型コロナウイルスの影響で隣の美都温泉が休みになった時でもあったか市を開けていると、驚くくらいお客さんがきてくださいました。多くの方に利用してもらうことは嬉しいですね。

おせっかいが喜ばれる

あったか市でお仕事をしている一方で、得意料理は手抜き料理なんだよと冗談で話す大橋さん。仕事外の時間で楽しんでいることをお聞きしました。

大橋さん 栗ご飯を作って、近所の人に配ったりしています。おせっかいだと言われるけど、なんだかんだおいしいって言ってくれたり、栗ご飯はまだか?なんて言われたり。みんなが喜んでくれるとね、嬉しいですよね。週に一度同世代の方が集まる「よもぎの会」で、柚子プリンを作ったりもしています。

大橋さんの「地域活動」はそれだけに留まりません。

大橋さん 毎朝3時からご近所さんに新聞配達もしています。私が運転して、お父さんが助手席でポストに新聞を入れていくのを2時間くらい。この地域では私が一番若く、誰かがやらなければいけないことなので、他の人がやったら大変だろうと思っています。

新聞がポストにずっと入ったままだと、安否確認も兼ねて民生委員さんや公民館に報告したりしてます。誰かに頼まれたわけではないけれど、新聞配達をずっとやっていると、新聞を配っている家のポストに手紙が入っていて、郵便に出しておいてと言われるようなこともあります。
それって、誰かに必要とされているのかなって思いましたし、そうなったら新聞配達を続けていくことは自然かなって。

そんな地域で活動する大橋さんにとって、少し寂しい思いもあったようです。

大橋さん 今でこそ『おっせかいおばさん』はいなくなったけど、昔は普通でした。醤油とか油を貸しあったりもよくあった。だけど、最近は近所付き合いが希薄になり、ちょっと寂しいなと思っています。

このような助け合いは、益田で育つ中では日常だったことが分かりました。
現代の日本の多くの都市では、「活動」や「ボランティア」という名前が付いてもおかしくない取り組みでも、大橋さんにとってはごく自然な行動なのだと感じます。

ここまで仕事や仕事外についてお聞きしましたが、
最後に自分自身のこれからについて伺いました。

大橋さん 私自身は自分がやりたいことができているので、今が一番楽しいです。なので、このあったか市でのお仕事も地域でのおせっかいもできるだけずっとやっていきたいです。
あとは、家に帰ったら『2人の猫』がいるから。子ども(猫)の世話も頑張りたいです。

取材:一般社団法人豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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