2021年1月21日 (木)

仕事,UIターン者サポート宣言企業益田20地区,都茂

益田で持続的に暮らし続けるための一助に

UIターン者サポート宣言企業 企業紹介 株式会社エイト

益田市の指定管理業者として美都温泉「湯元館」や食事処ゆずのき、みと自然の森、美都温泉あったか市などの運営を行いながら美都地域へ貢献し続ける株式会社エイト。事業内容や企業経営をする中での思いを代表取締役社長の青木 正美さんに伺いました。

青木さん 経営理念に「地域経済の活性化と地域住民生活の向上に貢献する」とありますが、過疎高齢化が進む地域でみんなが住み続けられる地域づくりをすることがテーマになっています。

竹下元首相のふるさと創生事業で美都温泉ができ、それを運営する第3セクターとして設立されたのが今の会社なので、株主や出資者は益田市(旧:美都町)や経済三団体(島根県農業協同組合・美濃商工会・高津川森林組合)が中心となっています。会社の利潤追求ではなく、この地域を元気にして地域の人の生活を守るというのが会社の位置付けとなっています。

温泉と自然の森でスタートした当時は、景気の良い時代だったので交流人口を外から呼び込むことをメインにやってきました。温泉ができたことで予想外に人が来て、停滞気味だったこの地域が息を吹き返すように元気になり、他所から人を呼んで交流をしていくのがスタートでした。

しかし最近になって、地域の人口が減少したこともあり人を呼び込むことはもちろん、地域の生活を守るという元々の理念に対する比重が高まりはじめました。

会社の中だけの生活からの脱却

東仙道の三谷地区出身の青木さん。
高校は電気を学ぶために松江高専に進学、その後新日鐵(現:日本製鉄)に電気技術職として山口に配属。しかし、就職後に自身の生き方に変化が生まれたと話します。

青木さん 就職直後はUターンや田舎でというのは全く考えておらず、大きい会社で色んなことをしていくという思いでいました。給料も良く大きい仕事も任せてもらえて順風満帆でしたが、4年半後にUターンして益田に戻りました。

そのきっかけは、お盆や正月に帰省した時に不思議な感覚を覚えたことでした。勤務地が山口だったので、長期休みに帰省しては友達と会っていました。田舎に帰ると、会社も職種も違う人が仕事をしながら青年団活動や地域活動を楽しむ姿を見てきました。一方の自分は、環境面など恵まれている点が多いながらも、友人の大半が会社関係の人でした。

その時、人生頑張っていると思っていても会社という掌の中でしか人間関係も日常生活もやっていなかったと感じました。自分は狭い世界で生きているのではないかとモヤモヤしていた矢先に当時エイトが新たに町の物産館(現:道の駅)を作るために社員募集をするという話がありました。友人が応募して帰ってこないか?と冗談半分で誘ってくれたのですが、私はモヤモヤしていたこともあって真剣に考え、自分が生まれたところで人のため地域のために仕事をすることがいいなと思い始めました。その決断を伝えた当初は家族は驚き、会社からは反対されましたが、自分の思いや熱意を最終的には理解してくれて、会社を退社し益田にUターンすることに決めました。

道の駅の一社員として株式会社エイトに入社し、総務の仕事を経験した後、
10年前に社長に就任した青木さん。
社長を打診された際は、身近な人に反対されたものの、今後の人生で断り癖がついてしまうのではないか、とりあえず受けてみてやれなかったらしょうがないという気持ちで社長に就任したそうです。

苦労だけではなく喜びがあるから続けられる

社長就任から10年たった今、この仕事の苦労ややりがいについて伺いました。

青木さん 事業継続のための資金繰りや最終決定の際に相談相手がいないプレッシャーで特に苦労しました。これまでは社員に同僚として接していたため、責任感をあまり持てていませんでした。しかし、社長になると社員の人生を預かっていると感じる瞬間が多々あり、責任感のある中で仕事をさせてもらうのはこの立場にならないと実感できないことでした。社長は大変ですが、谷の深さと喜びの高みを経験できるのはありがたいと思うし、業態が広がるというのは徐々に会社としても皆さんに存在を認められ、頼りにされていると実感する瞬間が多くなっているので、喜びは大きいですね。

益田にある企業として、どういった思いで事業をすすめているのかに迫りました。

青木さん この地域で生活をすることに意欲を持ってもらえるような仕事がしたいと思っています。益田や美都に海山川があって自然が素敵だという方はいますが、客観的にみてこの益田の自然が他の地域よりもすごいということではなく、益田に生まれ育った人間として絶大的な益田の自然・人の環境の良さが益田の魅力だと思います。

各個人の中に街の良さがあり、生まれ育った街で仕事ができ、生活ができるという幸せ感を僕は感じているので、そういう幸せを感じられる世代をつなげていかないといけないですよね。次の若い世代の人たちがここで生活しようとした時に、仕事ができて生活ができるのはすごい幸せなんだと思い続けられるような環境を作らなければと思うので、自分たちの生き方を人は見ているからこそドタバタする背中を見せられないですね。

損得を考えずにまずはやってみて楽しむ

UIターン者サポート宣言企業に登録したのも自身がUIターンとして戻ってきたからという思いがあったようです。

青木さん 登録をして役に立たなければと思っていました。特に、3つ目の宣言内容「仕事以外の地域活動に社員が積極的に取り組むことを奨励し、応援します。」は僕らも大事にしているので、社員の人にも仕事ができる以外にも自治会の役員やPTAの役員といった形で地域の中で役に立つ・頑張ってほしいと考えています。

私もUターンで益田に戻り、この会社に入ってから青年団活動や公民館の役員・商工会青年部・消防団・石見神楽の社中といったあらゆる地域活動に入りました。どこまでが仕事として、どこまでが自分のプライベートの楽しみなのか線引きができないくらい地域の色んな場面に首を突っ込んでワイワイしていたので、そういう生き方を子どもたちには見て欲しいですね。

最後に、「これから一緒に働きたい人について」と「若い世代に期待することについて」話していただきました。

青木さん こちらの望む人物像ではなく、ご縁があったら一緒にやろうというスタイルです。頼まれごとを損だと感じない人、それならやりましょうかという軽いノリで動ける人、さらにはこの仕事が、夜や土日・正月・ゴールデンウィークが仕事のピークなのでそれを楽しめるメンバーであって欲しいと思います。

地域のことを考えすぎるとプレッシャーになりますが、従業員の元気が結果的に地域の人の元気につながるので、地域に関心を持ちながら頑張りましょうということを大事にしています。

若い世代には情報をすぐにとれる時代なので、他と比べて損か得かを考えずにとりあえず楽しんでやってほしいなと思います。青年団なんて損得を考えていたらできない世界ですが、結果的には豊かな人生につながっていると確認しているので、何事においても「とりあえずやってみんちゃい」と僕は伝えたいですね。

自分に合わなかったらあとでやめればいいと思いますし、初めから物事を計算づくで捉えずにやってほしいと思います。

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株式会社エイト
〒698-0202
島根県益田市美都町宇津川ロ630-3
TEL:0856-52-2212
FAX:0856-52-2227

益田市 UIターン者サポート宣言企業 宣言内容(株式会社エイト)
①新規採用社員の定着と育成を図るため、メンター制度を導入します。
②育児休暇が取得しやすい職場環境づくりに努めます。
③仕事以外の地域活動に社員が積極的に取り組むことを奨励し、応援します。

取材:一般社団法人 豊かな暮らしラボラトリー
文責:益田市人口拡大課

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