白上山 中嶋院 妙雲寺住職

本田 行信

人は縁のかたまり。

「父さんのようなお坊さんになりたい。そうすれば朝寝坊ができる。」
今となっては笑い話ですが、小学校4年時の有線放送でそう言いました。けれど、その本音は、正月でさえも相談客が絶えず、どんな相談に対しても真摯な姿で応える姿への憧れ。人が相談に来るような、頼られる人間に自分もなりたいという尊敬の念でもありました。
「温かさ」「帰るべき場所」「育ててもらったという感覚」。私は「地域」という言葉からそんなことを連想します。地区運動会や小中学校合同行事等の場に、人が集い、笑顔で言葉を交わし、互いに支え合う。子どもは地域の大人が総がかりで育てる。そんな風景が日常であった私にとっては、当たり前なのかもしれません。
人間関係の希薄化は都市部だけでなく、ふるさと・益田も例外ではありません。「人」と「人」の「間」で生かしていただいていることが実感できてこそ、「人間」らしい人生です。御縁は人と人をつなぐ美しい糸となり、そのたくさんの糸が美しく豊かな人生を織りなすのです。
家族との御縁。友人との御縁。地域との御縁。そんな糸をたぐりよせ、ふるさとに帰りたいと思う人が、ふるさとに帰りたいと思うときに帰ることができる街・益田。ここで私は、今日も生かされています。

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