株式会社 右田本店
右田 隆
帰ってきて感じたのは“危機感”でした。
右田本店の創業は慶長七年(1602年)です。400年以上の歴史があります。大学を卒業後、京都の酒屋で5年ほど修行してから、27歳で益田に帰ってきました。別に「帰って来い」とか言われたわけではなくて、技術を習得していくうちに、「どうせやるなら自分の会社で酒造りをしたい」という気持ちが自然と出てきたんですね。
帰ってきて、一番に感じたのは危機感でした。益田で危機感を持って動いている人って、一度は県外に出て行った人が多くないですか?なんだか、そんな風に感じます。僕は京都にいたからかもしれませんが、日本酒の文化がすごく遅れている気がしたんです。「こだわって造り、こだわって飲む」みたいな文化をもっと広めないと、益田の日本酒文化が危ないって思ったんです。
それからは新たなチャレンジをしていこうと思って、「新酒を楽しむ会」や「酒蔵見学」なども始めました。和食だけでなく、イタリアンや洋食とあわせて日本酒を楽しむ企画なんかもやってみましたよ。「何を造るか、どう造るか」だけじゃなくて、「どう飲むか、どんなシチュエーションで飲むか」っていう、楽しみ方の提案です。今までやったことないから、全部手探りから始めたんですけどね。でも、日本酒にはそういった可能性がまだまだ残っているから、自分のやるべきことも色々あるなって思っています。